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第8部 妄執のハーデス

#19 逆襲

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「どういうこと? あんたの血に、何か混じってたってこと?」

 ふみがたるんだ頬をぶるっとふるわせた。

 ブルドッグみたいな顔。

 ほとんど穴だけの鼻。

 眼は、さながら肉の中に埋もれたビーズの玉だ。

 ウェーブのかかった髪の毛が、鳥の巣そっくりでいかにも不潔そうだった。

 杏里は軽く上体を揺すって触手を引き戻した。

 璃子は部屋の隅に投げ出され、気を失ってしまったのか、動く気配もない。

「試してみる?」

 杏里は薄く笑った。

 今度は自分が悪魔にでもなった気がした。

 軽く念じただけで、すうっと触手が伸びた。

 今まさに杏里につかみかかろうと足を踏み出した大女の股間に、音もなくその先端が吸い込まれていった。

 ふみのそこは、だらしないほどねとねとに潤っていた。

 触手で膨れ上がった陰核をつつき、肉襞のはざまにもう一本の先端を突っ込んでやるだけでよかった。

「ひいいいっ!」

 だしぬけにふみが奇声を発した。

 グローブみたいな手で、たるんだ乳房を揉みしだき始めた。

 杏里の一撃で、媚薬効果が表面化した証拠だった。

 地響きを立てて、ふみの巨大な尻が床に落ちた。

 その場に座り込むと、大きく股を開き、空いたほうの手で陰部をがむしゃらに弄り始めた。

「あうあうあうあうっ! き、気持ち、いいよお、ふみ、い、いっちゃうよォッ!」

 尻でどんどん床を叩く。

 大口を開け、分厚い舌で顔中を舐め回している。

 杏里がまたわずかに身体を揺すると、触手が縮んで右の乳房の先端と鳩尾の傷口に回収された。

 気を失った璃子と、床をのたうち回るふみを尻目に、下着を身に着け、ブラウスを羽織った。

 スカートに足を通し、ファスナーを上げると、壁にかかった汚い鏡で髪型を調える。

 引き戸を開け、外に出た。

 空はすでに、茜色に染まっている。

 大きく息を吸う。

 初秋の空気が、肺に心地よかった。

 タナトスの機能の一部は失われたが、新たな力が手に入った。

 タナトスには珍しい、美里の持っていた先制攻撃用の”武器”である。

 これはこれで、便利かもしれない。

 正門に向かって歩き出しながら、杏里は思った。

 ほとんど自分の手を汚さずとも、相手を意のままにできるのだ。

 でも、どのくらい使えるか、じっくり試してみる必要がある…。

 その時、杏里の脳裏に閃いたのは、勝気そうな少女の顔だった。

 由羅。

 しばらく会ってないけど、今の私を見たら、どう思うかな?

 無性に会いたくなった。

 明日にでも行ってみよう、と杏里は思った。

 由羅の家に。

 そして、由良の身体で、”これ”を試してみるのだ。
 

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