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第8部 妄執のハーデス
#3 淫獣たち
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杏里はとっさに目を逸らそうとした。
が、唯佳が低い声でそれを制止した。
「ちゃんと見なさいよ。そんなに見たいなら、見せてあげるから」
椅子を心持ちこちらに向け、おもむろにスカートをたくし上げた。
薄い水色の下着に包まれた下半身が現れた。
身体を杏里のほうに向けながら、ゆっくりと足を開き始める。
みずみずしい太腿と太腿の間に、水色の三角形の生地が見えてくる。
その中央がわずかに盛り上がり、縦に筋が浮き出ている。
唯佳が杏里をにらみつけたまま、その下着の隅から人さし指を中に差し入れた。
指の形に布地が盛り上がる。
「ああ」
切なげに吐息を漏らす。
くちゅくちゅと、淫らな音が響く。
指をくの字に曲げ、割れ目を縦になぞっているのだ。
その傍ら、左手はむき出しにした乳房を揉み締めていた。
小さめの乳房を片手でつかみ、ふたついっぺんに揉みしだいている。
「見てよ」
息を切らしながら、唯佳がささやいた。
「染みができてるの、わかるでしょ。私のパンティ」
なるほど。
本人の言う通りだった。
指の動きに合わせて、布地の表面に薄い染みが広がり始めている。
「ねえ、感じないの? こんなになった私を見ても、あなた、何も感じないでいられるの?」
唯佳の股間から、杏里は無理やり視線を引き剝がした。
黒板では、木更津が板書の真っ最中だ。
一方的に授業を進めるタイプらしく、長ったらしい数式をチョークで書き殴りながら、ひたすらひとりでしゃべっている。
生徒たちがどんな様子なのか、まるで視界に入っていないのだ。
杏里がどきりとしたのは、斜め前の男子生徒がだしぬけに後ろを振り向いたからだった。
ぽっちゃりした、変に色の白い、いかにもオタクふうの少年だ。
杏璃がまだ名前も覚えていないほど、地味で冴えない男子生徒である。
その少年が、分厚い眼鏡のレンズの奥から、燃えるような目で杏里を見つめている。
それだけならいいのだが、問題はそのズボンの前の部分だった。
ファスナーが全開になり、その間から赤紫色に膨れ上がった肉の棒が屹立しているのだ。
まだ半ば皮をかぶった、成長途上の貧弱な男根だった。
何かに憑かれたような目を杏里に据えながら、少年の右手が動き出した。
ペニスをしごいているのだ。
皮が剥けるたびに、桜色に充血した亀頭が先からぴょこぴょこ飛び出した。
その先端、尿道の入口の切れ目あたりが、次第に粘液でてらてら光り始めている。
片手をカッターシャツの中に入れているのは、己の乳首を弄っているからだろうか。
「あぐっ」
突然、潰れた蛙のような声を発したかと思うと、ペニスを握りしめたまま、少年が前かがみになった。
飛沫が飛び散った。
杏里の上履きに、ゼリーのような物質を含んだ白い液がべちゃりと付着する。
「ちょ、ちょっと…」
抗議しようとして、杏里ははっと口をつぐんだ。
木更津に見とがめられたからではない、
同じような現象が、教室中で起こっていることに気づいたからだった。
教師に近い前から2列を除き、クラスの半数以上の生徒が、なんらかの形で自慰にふけっている。
ズボンの上から間接的にペニスをしごく男子たち。
女子の多くは机に突っ伏して、スカートの中に手を入れている。
中学2年生という年代は、生徒間の肉体的成長の差が激しい。
高校生なみに成熟した体つきの者もいれば、小学生に毛の生えた程度の少年少女も多い。
が、今は皆、ひとしなみに己の快楽を貪っている。
さすがに誰も声こそ漏らさないが、その淫靡な空気は教室中に充満し、息も詰まるほどだ。
杏里を”おかず”にしている者も多かった。
気がつくと、半径5メートル以内の生徒は、皆、杏里のほうに下半身を向けていた。
な、なに。これ…?
杏里は圧倒されるのを感じないではいられなかった。
バスの中で痴漢に取り囲まれるより、異様な気分だった。
なにせ、ここは曲がりなりにも教室なのだ。
その神聖な場で、よりによってクラスの半数以上の生徒が、授業中にオナニー三昧とは…。
べちゃ。
また飛沫が飛んできた。
たまらず、杏里は手を挙げた。
「先生。ちょっと、気分が悪いんですけど…」
が、唯佳が低い声でそれを制止した。
「ちゃんと見なさいよ。そんなに見たいなら、見せてあげるから」
椅子を心持ちこちらに向け、おもむろにスカートをたくし上げた。
薄い水色の下着に包まれた下半身が現れた。
身体を杏里のほうに向けながら、ゆっくりと足を開き始める。
みずみずしい太腿と太腿の間に、水色の三角形の生地が見えてくる。
その中央がわずかに盛り上がり、縦に筋が浮き出ている。
唯佳が杏里をにらみつけたまま、その下着の隅から人さし指を中に差し入れた。
指の形に布地が盛り上がる。
「ああ」
切なげに吐息を漏らす。
くちゅくちゅと、淫らな音が響く。
指をくの字に曲げ、割れ目を縦になぞっているのだ。
その傍ら、左手はむき出しにした乳房を揉み締めていた。
小さめの乳房を片手でつかみ、ふたついっぺんに揉みしだいている。
「見てよ」
息を切らしながら、唯佳がささやいた。
「染みができてるの、わかるでしょ。私のパンティ」
なるほど。
本人の言う通りだった。
指の動きに合わせて、布地の表面に薄い染みが広がり始めている。
「ねえ、感じないの? こんなになった私を見ても、あなた、何も感じないでいられるの?」
唯佳の股間から、杏里は無理やり視線を引き剝がした。
黒板では、木更津が板書の真っ最中だ。
一方的に授業を進めるタイプらしく、長ったらしい数式をチョークで書き殴りながら、ひたすらひとりでしゃべっている。
生徒たちがどんな様子なのか、まるで視界に入っていないのだ。
杏里がどきりとしたのは、斜め前の男子生徒がだしぬけに後ろを振り向いたからだった。
ぽっちゃりした、変に色の白い、いかにもオタクふうの少年だ。
杏璃がまだ名前も覚えていないほど、地味で冴えない男子生徒である。
その少年が、分厚い眼鏡のレンズの奥から、燃えるような目で杏里を見つめている。
それだけならいいのだが、問題はそのズボンの前の部分だった。
ファスナーが全開になり、その間から赤紫色に膨れ上がった肉の棒が屹立しているのだ。
まだ半ば皮をかぶった、成長途上の貧弱な男根だった。
何かに憑かれたような目を杏里に据えながら、少年の右手が動き出した。
ペニスをしごいているのだ。
皮が剥けるたびに、桜色に充血した亀頭が先からぴょこぴょこ飛び出した。
その先端、尿道の入口の切れ目あたりが、次第に粘液でてらてら光り始めている。
片手をカッターシャツの中に入れているのは、己の乳首を弄っているからだろうか。
「あぐっ」
突然、潰れた蛙のような声を発したかと思うと、ペニスを握りしめたまま、少年が前かがみになった。
飛沫が飛び散った。
杏里の上履きに、ゼリーのような物質を含んだ白い液がべちゃりと付着する。
「ちょ、ちょっと…」
抗議しようとして、杏里ははっと口をつぐんだ。
木更津に見とがめられたからではない、
同じような現象が、教室中で起こっていることに気づいたからだった。
教師に近い前から2列を除き、クラスの半数以上の生徒が、なんらかの形で自慰にふけっている。
ズボンの上から間接的にペニスをしごく男子たち。
女子の多くは机に突っ伏して、スカートの中に手を入れている。
中学2年生という年代は、生徒間の肉体的成長の差が激しい。
高校生なみに成熟した体つきの者もいれば、小学生に毛の生えた程度の少年少女も多い。
が、今は皆、ひとしなみに己の快楽を貪っている。
さすがに誰も声こそ漏らさないが、その淫靡な空気は教室中に充満し、息も詰まるほどだ。
杏里を”おかず”にしている者も多かった。
気がつくと、半径5メートル以内の生徒は、皆、杏里のほうに下半身を向けていた。
な、なに。これ…?
杏里は圧倒されるのを感じないではいられなかった。
バスの中で痴漢に取り囲まれるより、異様な気分だった。
なにせ、ここは曲がりなりにも教室なのだ。
その神聖な場で、よりによってクラスの半数以上の生徒が、授業中にオナニー三昧とは…。
べちゃ。
また飛沫が飛んできた。
たまらず、杏里は手を挙げた。
「先生。ちょっと、気分が悪いんですけど…」
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