激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【官能編】

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
154 / 288
第8部 妄執のハーデス

#3 淫獣たち

しおりを挟む
 杏里はとっさに目を逸らそうとした。

 が、唯佳が低い声でそれを制止した。

「ちゃんと見なさいよ。そんなに見たいなら、見せてあげるから」

 椅子を心持ちこちらに向け、おもむろにスカートをたくし上げた。

 薄い水色の下着に包まれた下半身が現れた。

 身体を杏里のほうに向けながら、ゆっくりと足を開き始める。

 みずみずしい太腿と太腿の間に、水色の三角形の生地が見えてくる。

 その中央がわずかに盛り上がり、縦に筋が浮き出ている。

 唯佳が杏里をにらみつけたまま、その下着の隅から人さし指を中に差し入れた。

 指の形に布地が盛り上がる。

「ああ」

 切なげに吐息を漏らす。

 くちゅくちゅと、淫らな音が響く。

 指をくの字に曲げ、割れ目を縦になぞっているのだ。

 その傍ら、左手はむき出しにした乳房を揉み締めていた。

 小さめの乳房を片手でつかみ、ふたついっぺんに揉みしだいている。

「見てよ」

 息を切らしながら、唯佳がささやいた。

「染みができてるの、わかるでしょ。私のパンティ」

 なるほど。

 本人の言う通りだった。

 指の動きに合わせて、布地の表面に薄い染みが広がり始めている。

「ねえ、感じないの? こんなになった私を見ても、あなた、何も感じないでいられるの?」

 唯佳の股間から、杏里は無理やり視線を引き剝がした。

 黒板では、木更津が板書の真っ最中だ。

 一方的に授業を進めるタイプらしく、長ったらしい数式をチョークで書き殴りながら、ひたすらひとりでしゃべっている。

 生徒たちがどんな様子なのか、まるで視界に入っていないのだ。

 杏里がどきりとしたのは、斜め前の男子生徒がだしぬけに後ろを振り向いたからだった。

 ぽっちゃりした、変に色の白い、いかにもオタクふうの少年だ。

 杏璃がまだ名前も覚えていないほど、地味で冴えない男子生徒である。

 その少年が、分厚い眼鏡のレンズの奥から、燃えるような目で杏里を見つめている。

 それだけならいいのだが、問題はそのズボンの前の部分だった。

 ファスナーが全開になり、その間から赤紫色に膨れ上がった肉の棒が屹立しているのだ。

 まだ半ば皮をかぶった、成長途上の貧弱な男根だった。

 何かに憑かれたような目を杏里に据えながら、少年の右手が動き出した。

 ペニスをしごいているのだ。

 皮が剥けるたびに、桜色に充血した亀頭が先からぴょこぴょこ飛び出した。

 その先端、尿道の入口の切れ目あたりが、次第に粘液でてらてら光り始めている。

 片手をカッターシャツの中に入れているのは、己の乳首を弄っているからだろうか。

「あぐっ」

 突然、潰れた蛙のような声を発したかと思うと、ペニスを握りしめたまま、少年が前かがみになった。

 飛沫が飛び散った。

 杏里の上履きに、ゼリーのような物質を含んだ白い液がべちゃりと付着する。

「ちょ、ちょっと…」

 抗議しようとして、杏里ははっと口をつぐんだ。

 木更津に見とがめられたからではない、

 同じような現象が、教室中で起こっていることに気づいたからだった。

 教師に近い前から2列を除き、クラスの半数以上の生徒が、なんらかの形で自慰にふけっている。

 ズボンの上から間接的にペニスをしごく男子たち。

 女子の多くは机に突っ伏して、スカートの中に手を入れている。

 中学2年生という年代は、生徒間の肉体的成長の差が激しい。

 高校生なみに成熟した体つきの者もいれば、小学生に毛の生えた程度の少年少女も多い。

 が、今は皆、ひとしなみに己の快楽を貪っている。

 さすがに誰も声こそ漏らさないが、その淫靡な空気は教室中に充満し、息も詰まるほどだ。

 杏里を”おかず”にしている者も多かった。

 気がつくと、半径5メートル以内の生徒は、皆、杏里のほうに下半身を向けていた。

 な、なに。これ…?

 杏里は圧倒されるのを感じないではいられなかった。

 バスの中で痴漢に取り囲まれるより、異様な気分だった。

 なにせ、ここは曲がりなりにも教室なのだ。

 その神聖な場で、よりによってクラスの半数以上の生徒が、授業中にオナニー三昧とは…。

 べちゃ。

 また飛沫が飛んできた。

 たまらず、杏里は手を挙げた。

「先生。ちょっと、気分が悪いんですけど…」





 

 

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

いつもと違う日常

k33
ホラー
ある日 高校生のハイトはごく普通の日常をおくっていたが...学校に行く途中 空を眺めていた そしたら バルーンが空に飛んでいた...そして 学校につくと...窓にもバルーンが.....そして 恐怖のゲームが始まろうとしている...果たして ハイトは..この数々の恐怖のゲームを クリアできるのか!? そして 無事 ゲームクリアできるのか...そして 現実世界に戻れるのか..恐怖のデスゲーム..開幕!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

終焉の教室

シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。 そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。 提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。 最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。 しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。 そして、一人目の犠牲者が決まった――。 果たして、このデスゲームの真の目的は? 誰が裏切り者で、誰が生き残るのか? 友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...