激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【官能編】

戸影絵麻

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第7部 蹂躙のヤヌス

#66 監禁調教⑩

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 テーブルの上に、ずらりと並べられた何本ものバイブ。
 同じバイブといっても、実に色々な種類がある。
 色もサイズも形状も、さまざまだ。
 あたかも、外科医が手術時にメスを持ち替えるようなものだった。
 杏里が絶頂に達するたびに、美里はそれまで使っていたバイブを抜き取り、新たなバイブを挿入してきた。
 だから杏里の足元は、使い終わったバイブでいっぱいだ。
 美里が使い終えるたびに、無造作に床に放り出すからである。
 気のせいか、挿入される新たなバイブはどんどん長く、太くなるようだった。
 が、杏里の”口”は貪欲である。
 獲物が太くたくましくなるほど、白いよだれを垂らして物欲しげにひくついた。
 獰猛な肉食の軟体動物。
 それを杏里は下半身に飼っているようなものなのだ。
「あううう! はううっ! あああああああっ! い、いいっ!」
 拘束されたまま、椅子をガタガタ揺らし、杏里は途切れることなく泣き叫び続けている。
 その声は、すでに人語ではなく、獣の雄叫びと化している。
 ぶるぶる小刻みに痙攣する杏里の腹の上に鎮座して、乳房を責めているハナにもその興奮は伝わるようだった。
 ふにゃあ。
 ふうーっ。
 ハナは今や、狂ったように杏里の勃起乳首を交互に噛み、柔らかな乳房に爪を立てていた。
 杏里の白い特大のマシュマロみたいな乳房は、すでに血だらけだ。
 ハナの爪がその柔肌に赤い線を縦横に刻み込み、その頂から飛び出た乳首は、根元の辺りが裂け、今にも千切れそうに震えている。
 夕刻が近いのか、部屋はオレンジ色に翳ってきていた。
 はためくカーテンの隙間から差し込む夕日が、悶え狂う杏里の裸身を照らし出している。
 晴れた秋の日だからさわやかな陽気のはずなのに、この部屋の中だけは熱気でサウナのように蒸し暑い。
 窓が少し開けてあるというのに、杏里の愛液と汗が醸し出す麝香のきつい匂いが部屋中に色濃く漂っている。
 毛穴という毛穴から媚薬の混じった汗と体液を分泌させた杏里は、まるで全身にオイルを塗りたくったかのように光り輝いていた。
 痴呆のように半開きになった口からはみ出た舌は、ねっとりと濡れそぼり、透明な唾液を幾筋も滴らせている。
 眼窩の中で眼球が半ば裏返り、白眼の部分を見せているのは、あまりの愉悦に杏里が気を失いかけている証拠だった。
「どんな具合かしら?」
 1時間近くそうしていたぶられ続けただろうか。
 ふいに美里がそう言って、バイブを抜き、杏里の前にしゃがみ込んだ。
「いい感じね」
 ピンセットで、伸び切ってびらびらになった大陰唇をめくり上げる。
 中のサーモンピンクの部分をのぞき込んで、美里がうなずいた。
 杏里のそこは、すっかり穴を広げてしまっていた。
 膣の中まで見えるくらい、ピンクの肉の間にぽっかりと大きな空洞ができているのだ。
 その空洞の中には、白濁した液体がいっぱい詰まっていて、まるで泉から清水が湧き出すかのように、とろとろと外にあふれてきている。
「最後の仕上げといきましょうか」
 立ち上がり、杏里の背後に回る美里。
 手首と足首の戒めを解くと、杏里の腹の上から、乳房にむしゃぶりついているハナを抱き上げた。
 みゃあん。
 未練げに、でっぷり太ったハナが鳴く。
「あらあら、ひどいことになっちゃって」
 乳房から下腹にかけて、杏里の柔肌にはすだれのように無数の赤い血の筋がついている。
 ハナの立てた爪の痕である。
「でも、あなたにとっては、こんな傷、たいしたことないわよね。だって、タナトスなんだもの」
 杏里はかすかにうなずいた。
 美里の言う通りだった。
 ハナが離れるや否や、杏里の表皮は早速修復を開始した。
 流血が止まり、見る間に傷口がふさがっていく。
 杏里の身体の中では、ホモ・サピエンスの上位種にあたる外来種のミトコンドリアが盛んに活動している。
 外来種の中でも更に生命力の強いメスのミトコンドリアである。
 だから、杏里は大脳をミキサーですり潰されでもしない限り、死ぬことはない。
 ましてや、猫に引っかかれたくらいのすり傷なら、ものの数分で治癒してしまうのだ。
 それは大小さまざまなバイブで蹂躙し尽された陰部も同様だった。
 普通の女性であれば、膣口の周囲の肉が裂け、大怪我を負って不思議はないところである。
 が、杏里の膣は強靭だ。
 出血するどころか、ねっとりと粘液を滴らせて、次の獲物を今か今かと待ち構えるようにひくひく蠢いている。
「ハナはそこで見ててね」
 猫を床に降ろすと、美里はテーブルに歩み寄った。
 残るバイブは1本。
 直径10センチ、長さ30センチはありそうな、特大サイズのバイブである。
 うつろな意識の中、何気なくテーブルに目をやった杏里は、さすがに息を呑んだ。
 な、何、あれ…?
 ば、化け物…。
 あ、あんなの、に、人間の、サイズじゃない…。
 それはまさしく巨人のペニスとでもいうべきものだった。
 たとえて言うならば、黒光りする極太の凶器である。
 一般の女性なら、あれを突っ込まれたが最後、膣が裂けて血だらけになり、激痛のあまり、瞬時に失神してしまうに違いない。
「杏里ちゃん、あなたなら、これ、いけるわよね?」
 美里がバイブを手に取った。
 杏里は答えない。
 いや、答えられないのだ。
 恐怖と期待でただひたすら目を見開き、近づいてくる”怪物”を凝視している。
「逆に言えば、これくらい、入れてくれないと困るのよ」
 美里がバイブのスイッチを入れた。
 ウィンウインウイン…。
 手に余るほどの太さの漆黒の凶器が、おもむろにその膨らんだ亀頭を振り始める。
「太いのは、好きよ…」
 やっとのことで、杏里はうわ言のようにつぶやいた。
 恐怖を期待が上回ったのだ。
「めちゃくちゃにされるのは、もっと、好き…」
 その言葉に、美里の口角が、わずかにだが、吊り上がったようだった。
 ほほ笑んだのだ。
「いい子ね」
 切れ長の目を細めて、うなずいた。
「それでこそ、私の可愛い奴隷猫だわ」
「い、入れて」
 戒めを解かれて自由の身になったというのに、杏里は逃げようともしない。
 いや、それどころか、自分から大きく股を開いてしまっている。
 両手で足首を支え、M字開脚の体勢まで取っているのだ。
 無毛の股間の中心で、濡れた”口”が、次の獲物をくわえ込もうとピクピクと蠢動を繰り返していた。
「気が狂うまで、いきなさい」
 命令口調で、美里が言った。
 鋭い目が、名状しがたい光をたたえている。
「入れ、て…。はや、く」
 うっとりとバイブに目を当て、杏里はおねだりした。
 知らぬ間に、腰を前につき出している。
 そのせいで、”口”が更に大きく開いてしまっていた。
「ふふ」
 杏里の股間をひと目見るなり、美里が声を上げて笑った。
「可愛いお口」
 杏里が初めて聴く笑い声だった。
「さ、お食べ」
 そうして、恐ろしく太い一物が、襞をかき分けて、メリメリと杏里の体内に入ってきた。
 


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