キチママ

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
14 / 15

#14 暴露

しおりを挟む
 しばらくの間、僕は気を失っていたらしい。
 ふと気がつくと、押し入れの戸が開けられ、能面のように無表情なママが、じっと僕を見上げていた。
「こんなことだろうと思ったわ」
 布団にもふすまの裏側にも、僕の放出したものがべったりと貼りついて、青臭い匂いを放っている。
「のぞいてたのね。この変態」
 声にトゲがあった。
「最近、ママの下着の位置が変わってると思ったら…あなたの仕業だったのね」
 隠しようがなかった。
 僕は青ざめ、押し入れの2段目で身を縮こまらせた。
 見つかってしまったのだ。
 動悸が激しくなった。
 今にも心臓が喉から飛び出しそうだ。
 舌が干からびた上あごにくっついて、何か言おうにも声が出せなかった。
「お肉がまずくなったと思ったら…。やっぱり、あったのね、精通が」
 押し入れの下段にしたたる僕の精液を見やって、無気味なほど静かな声で、ママが言った。
 僕は懸命にかぶりを振った。
 これは何かの間違いだよ。
 そう叫びたかった。
 だからまだ捨てないで。
 お願い、ママ。
 もう二度としないから。
「出てらっしゃい」
 汚らわしいものでも見るようなまなざしを僕の股間に当て、ママが言った。
「悪いものは、みんな出してしまわないと」

 すでに自治会長は帰った後で、窓の外は暗くなっていた。
 ママは容赦がなかった。
 僕を裸にすると、背中の側に手足を折り曲げ、手首と足首をロープでひとつに結んで、僕の身体を天井の桟から吊り下げた。
 僕はさながら死にかけた蜘蛛のようなありさまだった。
 性器を真下に突き出して、ロープで宙吊りになっているのである。
 ママが、妙なものを手にして戻ってきた。
 肩こりの時に使う、バイブレーターだ。
「お仕置きよ」
 コンセントにコードをつなぎ、スイッチを入れる。
 高速回転するウレタン製の先端部が、萎びた僕の性器に押し当てられた。
「くっ」
 僕はのけぞった。
 痛かったからではない。
 むずかゆいような感触が、たちまちのうちに快感に変わっていく。
 あれほど放出したにもかかわらず、5秒としないうちに僕の性器は硬さを取り戻していた。
 その先っぽの皮の剥けかけた部分を、ママがバイブレーターで弄ぶ。
「だ、だめ。で、出ちゃう」
 そう口にした途端、どくんどくんとペニスが脈打った。
 床に音を立てて汁が飛んだ。
 射精の愉悦に、僕は痙攣した。
 が、ママはまだやめようとしない。
 いったん萎れかけたペニスに、またしてもバイブレーターをぐりぐり押しつけてきた。
「あ、あうっ」
 次の瞬間、信じられないことに、僕はまた精を放っていた。
「純。残念ね。こんなになったら、もう…あなたのお肉は、まずくて食べられない」 
 バイブの先で僕のペニスをこね回しながら、冷ややか口調でママが言った。
「どうやら、きょうが最後の晩餐になりそうだわ」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

バベル病院の怪

中岡 始
ホラー
地方都市の市街地に、70年前に建設された円柱形の奇妙な廃病院がある。かつては最先端のモダンなデザインとして話題になったが、今では心霊スポットとして知られ、地元の若者が肝試しに訪れる場所となっていた。 大学生の 森川悠斗 は都市伝説をテーマにした卒業研究のため、この病院の調査を始める。そして、彼はX(旧Twitter)アカウント @babel_report を開設し、廃病院での探索をリアルタイムで投稿しながらフォロワーと情報を共有していった。 最初は何の変哲もない探索だったが、次第に不審な現象が彼の投稿に現れ始める。「背景に知らない人が写っている」「投稿の時間が巻き戻っている」「彼が知らないはずの情報を、誰かが先に投稿している」。フォロワーたちは不安を募らせるが、悠斗本人は気づかない。 そして、ある日を境に @babel_report の投稿が途絶える。 その後、彼のフォロワーの元に、不気味なメッセージが届き始める—— 「次は、君の番だよ」

たまご

蒼河颯人
ホラー
──ひっそりと静かに眺め続けているものとは?── 雨の日も風の日も晴れの日も どんな日でも 眺め続けているモノがいる あなたのお家の中にもいるかもしれませんね 表紙画像はかんたん表紙メーカー(https://sscard.monokakitools.net/covermaker.html) で作成しました。

その教室に秩序はない

つなかん
ホラー
 主人公である糸杉伊織は、地主の本家の息子ということで、一年生でありながら、生徒会に入ることになる。  今年の生徒会長は、生徒会で行われている“ある行事”を廃止するという発表をする、  その発表後、学校内で不信な失踪を遂げる者がでる。 残酷な描写あり。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ジンロウゲーム

JOKER
ホラー
この作品で人狼ゲームのゲーム説明はありません。 目が覚めると、紗良は知らないところにいた。そこには親友の夏美が。 そこで紗良たちの12人が死のゲームを繰り広げる…… とても見にくい文章かと思いますが、優しい目で見てやってください。

処理中です...