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#3 僕のママ
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玄関の鍵は開いていた。
重い扉を引いて、隙間からなかに潜り込む。
「早かったのね」
靴を脱いでいると、左手の台所から、ママの声がした。
「きょうから短縮授業だから」
炒め物の匂いに混じって、ママの匂いがする。
おそるおそる顔を上げると、フライパン片手にママが笑っていた。
アーモンド型の整った顔を、柔らかそうな長い髪がふんわりと縁取っている。
子どもの僕が言うのもなんだけど、ママは近所では評判の美人だ。
歳は30代半ばなのに、女子大生といっても通るほど、肌の艶もよく、若々しい。
そう他の人に褒められるたびに、ママは笑いながら、
「おいしいもの食べてるから」
と答えて、手をつないでいる僕をちらっと見る。
ね、そうだよね?
と確認を求めるように。
きょうのママは機嫌がよさそうだ。
鼻歌を歌いながら、フライパンの野菜に調味料を加えてかき混ぜている。
「きょうの夕飯、楽しみでしょう?」
いたずらっぽい目で僕を見て、少女のようにくすっと笑った。
「1週間我慢したんだものね。熟成して、きっと最高の味になってるよ」
「う、うん」
僕の返事はぎこちない。
原因は、ママの恰好にあった。
ママはエプロンをしているだけで、それ以外は裸なのだ。
だから、脇からこんもりとした白いふくらみが見えているし、後ろは背中も丸いお尻も丸出しだ。
これは何も、きょうに限ったことじゃない。
ママは昔から、家ではいつもこうなのだ。
たいてい裸でいるか、下着だけで過ごしていて、僕の前にその美しい裸身を常時惜しげもなくさらけ出しているのである。
股間が熱を持ち、半ズボンの前がひどく窮屈になってしまっていた。
前はこんなんじゃなかったのに。
ママの裸を見ても、何も感じなかったのに。
後ろめたい思いで胸がいっぱいになり、僕は下ろしたランドセルで前を隠した。
エレベーターを使わず、5階まで駆け上がってきたせいで、臀部の古傷が痛み始めていた。
無意識に顔をしかめていたのだろう。
「まだ痛むの?」
気づかわしげな表情で、ママが僕の顔を覗き込んだ。
エプロンの前が空き、裸の胸が僕の眼に大写しになった。
雪のように白いふくらみの頂で、ピンク色のつぼみが尖っている。
その谷間から平らな下腹が見え、すべすべした肌がむっちりした太腿の間の淡い茂みに続いているのがわかった。
気がつくと、ママがしゃべっていた。
「お薬、塗ってくる? ちょっと遠いけど、ひとりで行ける?」
「う、うん」
僕は頬をひきつらせて微笑んだ。
「大丈夫。何度も行ってるから」
薬部屋。
正直言うと、あそこは少し苦手だった。
暗いし、臭いし、なにより、何か出そうで気味が悪い。
「そう。じゃ、明るいうちに済ませてらっしゃい。ママ、おいしいデザート作って待っててあげるから」
ママの使うボディソ-プの匂いが近づいてきて、温かいものが僕の唇に触れた。
「あ」
その瞬間、僕は反射的に小さく叫んでいた。
下着の中の”あれ”がふいに鎌首をもたげ、瞬時にしてあの熱い汁を吐き出したような気がしたからである。
重い扉を引いて、隙間からなかに潜り込む。
「早かったのね」
靴を脱いでいると、左手の台所から、ママの声がした。
「きょうから短縮授業だから」
炒め物の匂いに混じって、ママの匂いがする。
おそるおそる顔を上げると、フライパン片手にママが笑っていた。
アーモンド型の整った顔を、柔らかそうな長い髪がふんわりと縁取っている。
子どもの僕が言うのもなんだけど、ママは近所では評判の美人だ。
歳は30代半ばなのに、女子大生といっても通るほど、肌の艶もよく、若々しい。
そう他の人に褒められるたびに、ママは笑いながら、
「おいしいもの食べてるから」
と答えて、手をつないでいる僕をちらっと見る。
ね、そうだよね?
と確認を求めるように。
きょうのママは機嫌がよさそうだ。
鼻歌を歌いながら、フライパンの野菜に調味料を加えてかき混ぜている。
「きょうの夕飯、楽しみでしょう?」
いたずらっぽい目で僕を見て、少女のようにくすっと笑った。
「1週間我慢したんだものね。熟成して、きっと最高の味になってるよ」
「う、うん」
僕の返事はぎこちない。
原因は、ママの恰好にあった。
ママはエプロンをしているだけで、それ以外は裸なのだ。
だから、脇からこんもりとした白いふくらみが見えているし、後ろは背中も丸いお尻も丸出しだ。
これは何も、きょうに限ったことじゃない。
ママは昔から、家ではいつもこうなのだ。
たいてい裸でいるか、下着だけで過ごしていて、僕の前にその美しい裸身を常時惜しげもなくさらけ出しているのである。
股間が熱を持ち、半ズボンの前がひどく窮屈になってしまっていた。
前はこんなんじゃなかったのに。
ママの裸を見ても、何も感じなかったのに。
後ろめたい思いで胸がいっぱいになり、僕は下ろしたランドセルで前を隠した。
エレベーターを使わず、5階まで駆け上がってきたせいで、臀部の古傷が痛み始めていた。
無意識に顔をしかめていたのだろう。
「まだ痛むの?」
気づかわしげな表情で、ママが僕の顔を覗き込んだ。
エプロンの前が空き、裸の胸が僕の眼に大写しになった。
雪のように白いふくらみの頂で、ピンク色のつぼみが尖っている。
その谷間から平らな下腹が見え、すべすべした肌がむっちりした太腿の間の淡い茂みに続いているのがわかった。
気がつくと、ママがしゃべっていた。
「お薬、塗ってくる? ちょっと遠いけど、ひとりで行ける?」
「う、うん」
僕は頬をひきつらせて微笑んだ。
「大丈夫。何度も行ってるから」
薬部屋。
正直言うと、あそこは少し苦手だった。
暗いし、臭いし、なにより、何か出そうで気味が悪い。
「そう。じゃ、明るいうちに済ませてらっしゃい。ママ、おいしいデザート作って待っててあげるから」
ママの使うボディソ-プの匂いが近づいてきて、温かいものが僕の唇に触れた。
「あ」
その瞬間、僕は反射的に小さく叫んでいた。
下着の中の”あれ”がふいに鎌首をもたげ、瞬時にしてあの熱い汁を吐き出したような気がしたからである。
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