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第2章 謝肉祭

#37 公開私刑④

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 そこから先は、さながら悪夢の中の出来事だった。
 様々な形、大きさのペニスが杏里の膣や口に突っ込まれ、白濁した精液をまき散らしていった。
 もっとも、全員が挿入に成功したわけではなく、そこは童貞の悲しさで、杏里の入口に亀頭が触れただけで爆死してしまう者も多かった。
 それでも杏里は、相手が変わるたびに仰向けにされたりうつ伏せにされたりと壊れたダッチワイフよろしく弄ばれ、全員が事を終えた時には、顔から胸や腹、そして太腿まで、20人分の精液をぶちまけられて、全身ドロドロの見るも無残な有様を呈してしまっていた。
「これで全員、男子も終了だね」
 最後に野球部の巨漢が杏里を机の上でふたつに折りたたみ、その尻を両手で抱え上げてすさまじい咆哮とともに果てるのを見届けると、満足げな口調で理沙が言った。
「じゃ、フィナーレと行きますか」
 いつのまに用意したのか、片手に奇妙な物体をぶら下げて、大股に杏里のほうへ近づいていく。
「いっぺんこれ、使ってみたかったのよね」
 そうつぶやいて掲げてみせたのは、子供の腕ほどの太さのある双頭バイブだった。
 両端に亀頭のついた、禍々しい大人のおもちゃである。
 机の上によじのぼると、理沙が横たわる杏里の上に四つん這いになった。
「犯してやる、このクソ女」
 上から杏里を見つめて、憎々しげにそう言った。
「あん時の続きだよ。待ってたんだろ? あたしにやられるの。いいさ。今、おまえのお望み通り、ぐちゃぐちゃにしてやるから、このビッチ」
 うわ言のように言いながら、己の股間に手を回し、ずぶずぶとバイブの端をめり込ませていく。
「ああ、いい…」
 小さくうめくと、両手で杏里の膝を左右に開いた。
 あらわになった肉の割れ目は完全に開き切っていて、サーモンピンクの中身とひくひく動く穴までが、モロに見えてしまっている。
 腰を沈めて、理沙がそこにバイブのもう片方の亀頭をぶち込んだ。
 その瞬間、同時にスイッチを入れたらしく、小刻みな振動音が空気を震わせ始めた。
「あふ」
 理沙がのけぞった。
 両手は杏里の乳房を千切れるほど強くつかんでいる。
「ああああ、す、すごい」
 理沙のこめかみに、見る間に青黒い血管が浮かび上がる。
 腰を動かし始めた。
 どの男子生徒にも負けないくらい、激しいピストン運動だった。
 粘膜のこすれ合う音が、バイブの振動音をBGMにして、徐々に空気を満たしていく。
「くそっ、これでもか」
 長い髪を振り乱して、理沙が吼えた。
 が、杏里はガラス玉のような目で、下からそんな理沙をぼんやり見つめるばかり。
 いつのまにやら、あたりは水を打ったように静まり返っていた。
 周囲を見回した私は、そこで奇妙な事実に気づいてぎょっとなった。
 杏里と理沙を取り囲んだクラスメートたちは、誰ひとりとしてふたりのセックスに注意を向けていないのだ。
 みんななんだか眠そうな顔をして、一様にこっくりこっくりと舟をこぎ始めている。
「ああうっ」
 理沙が感極まったように叫んだ。
「く、くう、い、いっちゃいそう!」
 その時だった。
 それまでされるがままだった杏里が、理沙を抱きしめるようにしてむっくりと上体を起こした。
 バイブでつながったまま体を横にひねって理沙を下にすると、重い乳房をゆすりながらその上に四つん這いになった。
「いいのよ。イって」
 静かな声で言った。
 瞳に意志が戻ってきている。
 え?
 どういうこと? 
 私はわが目を疑った。
 杏里は完全に正気なのだ。
 じゃあ、今までのあれは何だったのか。
 全部演技だったとでもいうのだろうか。
「い、いや…」
 杏里に組み伏せられ、理沙がゆるゆるとかぶりを振った。
「いやだよ、おまえより先に、イくなんて…」
 目尻に光っているのは、悔し涙のようだった。
「これでも?」
 杏里がひと突き、理沙を突いた。
「ああああっ」
 理沙の喘ぎが大きくなる。
「いや、やめ、て…。いやだったらあああ!」
 理沙の抗議の声を無視して、今度は杏里がピストン運動を開始した。
 理沙などに比べると、はるかに慣れた動きだった。
 ただ腰を前後に動かすだけでなく、グラインドさせるように尻で円を描いたり、腰を浮かせてバイブを半分抜きながらじらしたりと、さまざまな手法で理沙を追い込んでいく。
「イきなさい」
 理沙の口をこじ開け、舌を強く吸って離すと、ひと際激しく突きを入れて杏里が言った。
「あふ」
 その瞬間、理沙の身体に電気が走った。
 両足がピンと伸び、全身ががくがく震え、やがて黒目がくるりと裏返る。
 理沙が動かなくなったのを見届けて、杏里がおもむろに身を起こした。
 股間から慎重にバイブを抜き取ると、それを理沙に突き立てたまま、机から降りる。
「終わったよ」
 私のほうを振り返ると、額に貼りついた前髪を指でかき上げながら、何事もなかったような顔で、杏里が言った。
 
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