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第1章 転校生

#19 準備開始

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 毎日朝夕犬の散歩とは、正直なところダルかった。
 唯一の救いは、太郎が外見とは裏腹にずいぶんと大人しい犬だったことである。
 本性はそうでもないのかもしれないけれど、幸いなことに、少なくとも私には従順だった。
 母の言う通り、最初に素顔を見せてやったことで、私を同類と認識したのかもしれない。
 おかげで散歩ははかどり、私はけっこう楽しみながら町内を一周して帰ってきた。
 そしてもうひとつ。
 散歩の途中で私は思わぬ幸運に遭遇した。
 ”犬も歩けば棒に当たる”とはまさにこのことだ。
 散歩の途中、近所の公園の隅にある廃品回収のごみ置き場で、大きな三面鏡のついた立派な鏡台が捨てられているのを見つけたのである。
 太郎を檻に戻し、餌をやって大人しくさせると、私は納屋に直行した。
 納屋の裏には掃除道具だのバケツだの、色々なものが放置されているのだが、そこにリヤカーがあったことを思い出したのだ。
 リヤカーを引き、急いでゴミ置き場に戻ると、苦労して鏡台を荷台に乗せた。
 落ちないようにロープで縛り、人目を避けながら、まっすぐ家に戻った。
 納屋の整備を始めるちょうどいい機会だった。
 鏡台を納屋の裏に隠し、勝手口からそっと台所に忍び込む。
 食器棚の引き出しを順番に開けていくと、3段目で鍵が見つかった。
 真鍮製の大きな重い鍵だった。
 納屋に取って返し、震える手で両開きの扉の鍵穴に、見つけたばかりの鍵を差し込んだ。
 ガチャリ。
 手応えがあった。
 ゆっくりと扉を手前に引いていく。
 目の前にがらんとした殺風景な空間が現れた。
 コンクリート打ちっぱなしの床。
 その隅に、麻袋がいくつも積み上げてある。
 あとは予想通り、鍬やら鋤やらスコップやらの農具がいくつか。
 思ったより物が少ない。
 広さは12畳ほど。
 私の部屋より広いし、何よりも周囲は床同様コンクリートの壁なので、防音性に優れている。
 ここが私と杏里の蜜月の場になるのだ。
 そう思うと、自然、胸の鼓動が高まってきた。
 だが、実際にこの目で確かめてみると、まだ足りないものがいくつもあることがわかってきた。
 最低でも、ベッドかソファが要る。
 いや、その前にカーペットも。
 私の小遣いでは、すべてを買いそろえるなどということは不可能だ。
 だが、あの鏡台みたいに、探せばきっとあるはずだ。
 私は太郎に感謝した。
 明日からは、散歩ついでに町内じゅうのごみ置き場を回ることにしよう。
 そしてこの部屋を飾るのだ。
 壁には壁紙を貼り、杏里の写真でいっぱいにする。
 写真はデータをUSBメモリに入れ、コンビニのコピー機でプリントアウトすればいい。

 鏡台を納屋の中に隠すと、私は床の掃き掃除を済ませておくことにした。
 農具と麻袋は外に出し、納屋の裏に積み上げた。
 明り取りの窓を開け放し、埃っぽい空気を入れ替えた。 
 気がつくと、外が暗くなってきていた。
 鍵をかけ直し、体中についたほこりを払う。
 腹を空かせた母が怒鳴り出さないうちにと、私は小走りに勝手口へと駆け戻った。
 朝のうちにカレーのルーを仕込んである。
 あとはそれを温め直して出せばいい。

 その夜。
 母が寝静まった後、私は新たな画像をパソコンに落とし、男に体を弄り回される杏里のしどけない姿を目に焼き付けながら、激しい自慰にふけった。
 しとどに濡れた肉襞の中で空豆ほどに肥大したクリトリスを弄りながら、潮を吹いて果てた。
 そして汗まみれの体をベッドに横たえると、思った。
 明日一日行けば、土日と学校は休みになる。
 杏里を誘って買い物にでも行くというのはどうだろう。
 納屋を飾り付ける壁紙やカーテンも買いたいし、ほかの何よりもっとたくさん杏里の写真や動画がほしい。
 明日杏里に頼んでみよう。
 優しい彼女のことだから、きっとふたつ返事でOKしてくれるはずだ。
 私は裸のまま枕を抱いて猫のように丸くなった。
 早く杏里に会いたくてたまらない。
 あの甘やかな声を聞き、あの馥郁たるにおいを胸いっぱいに嗅いでいたい。
 できればもう一度、キスしてほしい…。
 いつのまにか私は、また股間をまさぐっていた。
 痛いほど乳首が勃ってしまっていた。
 夢うつつの中で、杏里の白い乳房を私はふたつの口いっぱいに頬張った。
 私がもう一度絶頂を迎えるのに、長くはかからなかった。


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