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第2章 百合と髑髏の狂騒曲
#17 杏里、絶句する
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東の方から、白々と夜が明け始めている。
開け放したサッシ戸の向こうは猫の額ほどの庭。
その真ん中に掘られているのは、長方形の生簀である。
生簀の中に作業服姿の鑑識課員が数人降りて、しきりに何か調べている。
生簀の手前、庭と室内をつなぐ縁側には、青いビニールシートが敷かれ、そこに4つの髑髏がお行儀よく並んでいた。
ソフトボール大のサイズのものが、最初の犠牲者である、あの名もなき赤ん坊のもの。
それより少し大きめなのが、小学生の秋田真名のもの。
無残にも、額の部分が半壊してしまっている頭骨が、中学生の倉橋美夕のもの。
これは、零が苦無で”あれ”を仕留めた時にできた傷だ。
そして最後の一つが、まだ肉のついている、冷蔵庫から見つかった成人女性の頭部だった。
「あり得ねえ、こんなの信じねえぞ」
ずらりとならんださまざまなサイズの頭部。
それを前にして唸り声をあげているのは、班長の韮崎だ。
「ヤドカリだと? 人間の頭蓋骨を貝殻の代わりにするヤドカリ? この世の中に、そんなもの、居てたまるか!」
よほどショックだったのか、韮崎はさっきからずっと同じ言葉を繰り返している。
「でも、現に居たんだから仕方ないでしょ。ほらここに」
答えたのは、つい1時間ほど前に到着した七尾ヤチカだった。
ヤチカの足元に置かれているのは、大きめのクーラーボックスだ。
その中に、ドライアイスに囲まれて青黒い奇妙な生き物の死骸が入っていた。
子猫ほどもある、巨大なヤドカリである。
左右で大きさの違うハサミ。
腹から先は半透明の芋虫みたい。
その背中に亀裂が入っているのは、零が苦無で”殻”をぶち割った時ついた傷だった。
そう、あの時杏里が目撃したもの。
それは、倉橋美夕の頭蓋骨をかぶった、この巨大ヤドカリだったのである。
「岩田本人もそう供述しています。まあ、本格的な取り調べは本部に到着してからということになりますが、これまでのやつの話によるとですね、ヤドカリがあまり大きくなりすぎて、適当なサイズの貝殻が見つからなくなってしまった。だから人間の頭蓋骨に目をつけたと、どうもそういうことらしいです。あまりにばかばかしい動機でにわかには信じがたいのですが、最初は赤ん坊の頭蓋骨で間に合っていたのが、ヤドカリの成長が予想以上に早く、1週間で窮屈になって、仕方なく新たな”殻”を手に入れるために小学生を殺し、それもまた1週間できつくなってきたので、次に中学生を…という具合に、首狩り殺人を繰り返すことになったというわけです。ちなみに4番目の被害者は、岩田が同居していた母親の順子47歳。もっとも、殺害されたのは1ヶ月以上前のことで、岩田はその死体をバラバラにしてあのお化けヤドカリに食わせていたようですね。母親の頭部が残っていたのは単に処理に困って、ということらしいんですが、本人は、4番目の貝殻に使えそうだから、逆にラッキーだと思ったと言っています」
メモ帳の文字を目で追いながら、三上が報告した。
「あのタッパに入ってたのは、被害者たちの脳。保存していた母親の肉が腐り始めたので、最近は頭蓋骨から取り出した脳のほうをヤドカリの餌にしていたみたい」
タイミングよく、ヤチカがフォローする。
「あり得ねえ…。くそ、俺は信じねえぞ、こんなクソみてえな事件」
重要な犯行現場だというのに、イライラと煙草を吹かしながら歩き回る韮崎。
振り返ると、部屋の片隅には真っ青な顔をした高山がうずくまっていた。
刑事のくせに血が苦手なこの先輩刑事は、冷蔵庫の中の肉塊と生簀の中の髑髏のダブルパンチで、到着早々卒倒してしまったのである。
山田と野崎は岩田をパトカーに乗せ、本部に連行するためにひと足先に現場を離れていた。
誰も自分に注意を向けないのを幸いに、杏里は現場の母屋を出て、道路を渡り、堤防を越えて、前に広がる砂浜に下りた。
三河湾に続く海は、曇り空を映して鉛色をしている。
零を探してみたが、刑事たちの到着と入れ違いに姿をくらましてしまい、どこにもいなかった。
零ったら、まさかここから家まで走って帰ったとか…。
いやいや、それはさすがにないよね。
この時間ならもう電車も動いてるし、もしかしたらまたあの秘密の”時間短縮通路”を見つけて、速攻帰宅してもう寝てるのかも。
そんなことをつらつら考えていると、砂を踏む足音が近づいてきた。
振り返ると、白衣のポケットに両手を突っ込んだヤチカが立っていた。
「ニラさんも高山君もあんなだから、あなたに話すけど」
細身のシガレットを唇に咥えて、そのヤチカが言った。
「この前の事件の犯人といい、今度のお化けヤドカリといい、なんだかセカイがやばいことになってるんじゃないかって気がしてならないのよねえ」
「やばいこと?」
「うん。実はさ、このセカイのどっかには、あたしたちが知ってるのとは全然別の生態系があって、そこから外来生物がこっち側に侵入してきてるんじゃないかって、そんな気がしてならないの」
「外来生物…」
零ならその異界を”淀み”と表現するのだろう。
そして、そこからやってくる邪悪な生き物が、”外道”たち。
里のオシラサマや零は、その外来生物からこの世界の生態系を守る、いわば”番人”のようなものなのかもしれない…。
「これで済むとは、とても思えないのよねえ」
水平線に目を向けて、静かに紫煙を吐き出しながら、ヤチカがつぶやいた。
「覚えてるでしょ? 前の事件の時、犯人のアジトに飾られてた羊皮紙の絵。あれが何なのか、まだ何もわかってないしさあ」
「ウロボロス、でしたっけ」
一瞬だけ見た図案を思い返して、杏里は言った。
「そう。無限の象徴、邪龍ウロボロス。どうして西洋の神話に出てくる怪物が、あんなところに祀られてたのか、さっぱりわかんないわけよ。しかも祀ってた本人は、正体不明の臓器のいっぱいつまった、骨なしの妖怪みたいな生き物だった。現在もまだ国際科学研究所で分析中だけど、今のところ分類不能で、わけわかんなくて、みんなお手上げ状態なの」
伸縮自在の肉体を備えた、顔かたちすら変えられるのっぺらぼう。
そういえば、岩田守も言っていた。
あのヤドカリは、のっぺらぼうの少年におしつけられたのだと…。
「あなたも気をつけなさい」
煙草の吸殻を携帯灰皿の中に放り込むと、ヤチカが杏里を見た。
「杏里ちゃん、あなた、いつもこの手の事件の中心にいる気がするんだけど…。あんまり目立って、あの外来種たちの標的にならないようにね」
「わ、私が…?」
顔が引きつるのが分かった。
うわ。
と思う。
確かに…。
その可能性は、十分ある。
「警告はしたからね」
ヤチカが背を向ける。
「暇になったら、科捜研に遊びにおいで。もっと詳しくいろいろ話してあげるから」
肩越しに手を振りながら、そう言い残して去っていった。
杏里は茫然と立ちすくんだ。
そして、思った。
まだ何も終わっていないのだ。
むしろ、今までのは序の口で、本当にとんでもないことは、これから始まるのかも…。
その思いは、もはや確信に近かった。
杏里はぶるっと身を震わせた。
そして、切実に願った。
零に、会いたい。
会って、抱き締められて、ベッドで静かに眠りたい。
そう、嫌なことは、何もかも忘れて…。
開け放したサッシ戸の向こうは猫の額ほどの庭。
その真ん中に掘られているのは、長方形の生簀である。
生簀の中に作業服姿の鑑識課員が数人降りて、しきりに何か調べている。
生簀の手前、庭と室内をつなぐ縁側には、青いビニールシートが敷かれ、そこに4つの髑髏がお行儀よく並んでいた。
ソフトボール大のサイズのものが、最初の犠牲者である、あの名もなき赤ん坊のもの。
それより少し大きめなのが、小学生の秋田真名のもの。
無残にも、額の部分が半壊してしまっている頭骨が、中学生の倉橋美夕のもの。
これは、零が苦無で”あれ”を仕留めた時にできた傷だ。
そして最後の一つが、まだ肉のついている、冷蔵庫から見つかった成人女性の頭部だった。
「あり得ねえ、こんなの信じねえぞ」
ずらりとならんださまざまなサイズの頭部。
それを前にして唸り声をあげているのは、班長の韮崎だ。
「ヤドカリだと? 人間の頭蓋骨を貝殻の代わりにするヤドカリ? この世の中に、そんなもの、居てたまるか!」
よほどショックだったのか、韮崎はさっきからずっと同じ言葉を繰り返している。
「でも、現に居たんだから仕方ないでしょ。ほらここに」
答えたのは、つい1時間ほど前に到着した七尾ヤチカだった。
ヤチカの足元に置かれているのは、大きめのクーラーボックスだ。
その中に、ドライアイスに囲まれて青黒い奇妙な生き物の死骸が入っていた。
子猫ほどもある、巨大なヤドカリである。
左右で大きさの違うハサミ。
腹から先は半透明の芋虫みたい。
その背中に亀裂が入っているのは、零が苦無で”殻”をぶち割った時ついた傷だった。
そう、あの時杏里が目撃したもの。
それは、倉橋美夕の頭蓋骨をかぶった、この巨大ヤドカリだったのである。
「岩田本人もそう供述しています。まあ、本格的な取り調べは本部に到着してからということになりますが、これまでのやつの話によるとですね、ヤドカリがあまり大きくなりすぎて、適当なサイズの貝殻が見つからなくなってしまった。だから人間の頭蓋骨に目をつけたと、どうもそういうことらしいです。あまりにばかばかしい動機でにわかには信じがたいのですが、最初は赤ん坊の頭蓋骨で間に合っていたのが、ヤドカリの成長が予想以上に早く、1週間で窮屈になって、仕方なく新たな”殻”を手に入れるために小学生を殺し、それもまた1週間できつくなってきたので、次に中学生を…という具合に、首狩り殺人を繰り返すことになったというわけです。ちなみに4番目の被害者は、岩田が同居していた母親の順子47歳。もっとも、殺害されたのは1ヶ月以上前のことで、岩田はその死体をバラバラにしてあのお化けヤドカリに食わせていたようですね。母親の頭部が残っていたのは単に処理に困って、ということらしいんですが、本人は、4番目の貝殻に使えそうだから、逆にラッキーだと思ったと言っています」
メモ帳の文字を目で追いながら、三上が報告した。
「あのタッパに入ってたのは、被害者たちの脳。保存していた母親の肉が腐り始めたので、最近は頭蓋骨から取り出した脳のほうをヤドカリの餌にしていたみたい」
タイミングよく、ヤチカがフォローする。
「あり得ねえ…。くそ、俺は信じねえぞ、こんなクソみてえな事件」
重要な犯行現場だというのに、イライラと煙草を吹かしながら歩き回る韮崎。
振り返ると、部屋の片隅には真っ青な顔をした高山がうずくまっていた。
刑事のくせに血が苦手なこの先輩刑事は、冷蔵庫の中の肉塊と生簀の中の髑髏のダブルパンチで、到着早々卒倒してしまったのである。
山田と野崎は岩田をパトカーに乗せ、本部に連行するためにひと足先に現場を離れていた。
誰も自分に注意を向けないのを幸いに、杏里は現場の母屋を出て、道路を渡り、堤防を越えて、前に広がる砂浜に下りた。
三河湾に続く海は、曇り空を映して鉛色をしている。
零を探してみたが、刑事たちの到着と入れ違いに姿をくらましてしまい、どこにもいなかった。
零ったら、まさかここから家まで走って帰ったとか…。
いやいや、それはさすがにないよね。
この時間ならもう電車も動いてるし、もしかしたらまたあの秘密の”時間短縮通路”を見つけて、速攻帰宅してもう寝てるのかも。
そんなことをつらつら考えていると、砂を踏む足音が近づいてきた。
振り返ると、白衣のポケットに両手を突っ込んだヤチカが立っていた。
「ニラさんも高山君もあんなだから、あなたに話すけど」
細身のシガレットを唇に咥えて、そのヤチカが言った。
「この前の事件の犯人といい、今度のお化けヤドカリといい、なんだかセカイがやばいことになってるんじゃないかって気がしてならないのよねえ」
「やばいこと?」
「うん。実はさ、このセカイのどっかには、あたしたちが知ってるのとは全然別の生態系があって、そこから外来生物がこっち側に侵入してきてるんじゃないかって、そんな気がしてならないの」
「外来生物…」
零ならその異界を”淀み”と表現するのだろう。
そして、そこからやってくる邪悪な生き物が、”外道”たち。
里のオシラサマや零は、その外来生物からこの世界の生態系を守る、いわば”番人”のようなものなのかもしれない…。
「これで済むとは、とても思えないのよねえ」
水平線に目を向けて、静かに紫煙を吐き出しながら、ヤチカがつぶやいた。
「覚えてるでしょ? 前の事件の時、犯人のアジトに飾られてた羊皮紙の絵。あれが何なのか、まだ何もわかってないしさあ」
「ウロボロス、でしたっけ」
一瞬だけ見た図案を思い返して、杏里は言った。
「そう。無限の象徴、邪龍ウロボロス。どうして西洋の神話に出てくる怪物が、あんなところに祀られてたのか、さっぱりわかんないわけよ。しかも祀ってた本人は、正体不明の臓器のいっぱいつまった、骨なしの妖怪みたいな生き物だった。現在もまだ国際科学研究所で分析中だけど、今のところ分類不能で、わけわかんなくて、みんなお手上げ状態なの」
伸縮自在の肉体を備えた、顔かたちすら変えられるのっぺらぼう。
そういえば、岩田守も言っていた。
あのヤドカリは、のっぺらぼうの少年におしつけられたのだと…。
「あなたも気をつけなさい」
煙草の吸殻を携帯灰皿の中に放り込むと、ヤチカが杏里を見た。
「杏里ちゃん、あなた、いつもこの手の事件の中心にいる気がするんだけど…。あんまり目立って、あの外来種たちの標的にならないようにね」
「わ、私が…?」
顔が引きつるのが分かった。
うわ。
と思う。
確かに…。
その可能性は、十分ある。
「警告はしたからね」
ヤチカが背を向ける。
「暇になったら、科捜研に遊びにおいで。もっと詳しくいろいろ話してあげるから」
肩越しに手を振りながら、そう言い残して去っていった。
杏里は茫然と立ちすくんだ。
そして、思った。
まだ何も終わっていないのだ。
むしろ、今までのは序の口で、本当にとんでもないことは、これから始まるのかも…。
その思いは、もはや確信に近かった。
杏里はぶるっと身を震わせた。
そして、切実に願った。
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