案山子の家

戸影絵麻

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#4 わだかまる闇

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「悪い。まだ仕事の途中でな。今はちょっと様子見に寄っただけなんだ。落ち着いたらゆっくり話そう」

 炊飯器に残った飯をお茶漬けにして立ったままかきこむと、兄さんは急ぎ足で出て行った。

「あ、ああ」

 茫然とその後ろ姿を見送っていると、隣の部屋との境のふすまが音もなく開き、見晴が顔をのぞかせた。

「おい、どうなってんだ? この家」

 思わずそんなこ言葉が口をついて出た。

 が、見晴は肩をすくめるだけで答えようとしない。

「おまえ、どこに居たんだよ」

 仕方なく話題を変えると、

「自分の部屋に決まってるじゃん。あたしもこう見えて色々忙しいんだよ」

 と、唇をとがらせた。

「ま、いいけど。それより、腹減らないか? よければ何かおごるぞ」

「ハンバーグステーキ」

 見晴が打てば響くように答えた。

「さすがサトル。そうくると思ってた」

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