乙女狩り

＃1 第1の死

らくちん美胸メイク♪

美しいレース使いがフェミニンなブラセット。
ラクな着け心地でバストを支え、ボリュームのある美胸をメイクします。
シンプルなデザインでトップスに響きにくいのも嬉しいポイント。
ノンワイヤーでアンダーが痛くなりにくく、デイリー使いはもちろん、リラックスしたいおうち時間にもおすすめ。

　なんてのんびりブラを選んでいる場合ではなかった。

　目覚まし時計に目をやる。

　やべえ。

　もう、8時32分。

　とりあえずカップのついたブラトップを着て、ジーンズを穿く。

　歯磨き→洗顔→メイクを秒速で済ませると、速攻で部屋を出た。

　あたしこと羽村ほむら（19歳・独身）は、駅裏のショッピングモールに勤めるアルバイターだ。

　そのバイト先、和庵（なごみあん）の開店時間まで、あと30分しかない。

　外に出ると、きょうから9月だというのに、頭上から殺人的な暑さが襲いかかってきた。

　街路樹の木陰からクマゼミの大群がギャン鳴きしているせいで、イライラが瞬時に沸点間近へと急上昇する。

　チャリはパンクしていて走るしかない。

　大通りに出、駆け足で橋を渡った。

　何気なく河原を覗くと、誰かが暇そうに川面を眺めているのが視界に入った。

　なんかやせた影の薄いやつ。

　こんな朝っぱらから、あんなところで何してるんだろう？

　あー、ヤバいヤバい！

　んなこと考えてる暇、ないんだってば、こっちには。

　今8時45分だから、うう、あと15分。

　しっかし、なにこの際どさ！

　まあ、そもそも元をたどれば、ゆうべ遅くまで動画見てたあたしが悪いんだけど。

　通勤客のごった返す駅のコンコースに飛び込んだ時だった。

　ふいに黒い影がぬうっと目の前に現れー。

　邪魔！

　と、避けようとしたとたんふいに左胸に激痛が走り、次の瞬間あたしはものの見事に死んでいた。