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第6章 アンアン魔界行
#6 触れなばアンアン①
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「い、いや。それだけは…」
度肝を抜かれ、僕は青ざめた。
魔界へ行って、魔王と面会?
マジか。
有り得ない。
そんなことをするぐらいなら、いっそのこと…。
「だって、そうでもしなきゃ、ずっとこの状態が続くんだろ?」
アンアンはすっかりおかんむりだ。
せめてパンツぐらい穿いてほしいものだが、パンツの代わりに、抱き上げたラスで股間を隠している。
「何も、そんなにあわてなくても…どうせ、この国の法律では、俺らの歳で結婚は無理なんだし…。せめてあと5年、いや、3年待ってほしい」
僕は必死に言いつのった。
今の成績では難しいけど、できれば大学ぐらい卒業したい。
まあそれは無理でも、高校を卒業して、何かの資格を取って就職するとか、僕だって人並みの生活を送りたい。
確かにアンアンは魔石を売ってお金を稼ぐという手段を持っているから、僕が就職しなくてもやっていけるだろうけど、そんなヒモみたいな生活はいやなのだ。
「3年? そんなに待てない! 身体がうずうずしてたまんない! 元気はその間、あたしは浮気してもいいのかよ? 今はこのラスが相手だからいいけれど、そのうち人間の男に誘惑されるかもしれないし、魔界から淫魔でもやってきたら、すぐ寝ちゃうかもしれないぞ?」
「うーん」
僕は腕組みをして考え込んだ。
それもはっきり言って、いやである。
アンアンがほかの誰と寝る…?
考えるだけで、嫉妬の炎が沸き上がる。
そういえば、サマエルやダゴンに犯されそうになるアンアンを見るのは辛かった。
あんな思いは、したくない。
「わかった」
僕は決心した。
「しよう。おまえの望み通り」
「しようって、何をだ? はっきり言ってくれなきゃ、わかんない」
アンアンの大きな瞳に、ちらりと期待の光が宿った。
「つまりその、交尾、いや、セックスだ」
「いつ?」
半信半疑の面持ちで、アンアンが訊いてくる。
ごまかしは許さないといった勢いだ。
「今晩」
清水の舞台から飛び降りる思いで、僕は言い放った。
「風呂に入って、十分準備ができたら、今晩決行というのはどうだ?」
「嘘じゃないな」
怖い目で睨んでくる。
「ああ。ただし、条件がある」
咳払いとともに、僕は言った。
「魔王に絶対に知られないように、ラスを部屋から出してほしい。そいつが魔王の手先だって可能性も、あるだろう?」
「ラスが親父の?」
アンアンが意外そうな表情をした。
「それはないと思うが…。親父は大の犬嫌いだから」
魔王は犬が嫌い?
そんな話、初耳だぞ。
「まあ、いい。おまえの気が済むなら、そうしよう。では、1時間後、この部屋に集合だ。嘘ついたら、針千本どころか、血の池地獄に突き落としてやるからな」
にこりともせず、真顔でアンアンがそう言った。
「OK。とにかく風呂に入っておいてくれないか。俺はバターもハチミツもいらないから」
「もちろんだ。勝負下着だって用意してある。コンドームを持ってくるのを忘れるな」
「わかった」
僕だって、男の端くれ。
コンドームくらい、机の引き出しに隠してある。
いつか使う時が来るだろうと、一ノ瀬がインターネット通販で買い、ひとつ分けてくれたのだ。
まったくもって、持つべきものだ友である。
しかし、緊張する。
いよいよ初体験なのだ。
うまくできるだろうか。
風呂から出たら、ネットで予習しなきゃ。
股間で息子が育ち始めていた。
それを悟られぬよう、僕は前かがみでアンアンの部屋を後にした。
度肝を抜かれ、僕は青ざめた。
魔界へ行って、魔王と面会?
マジか。
有り得ない。
そんなことをするぐらいなら、いっそのこと…。
「だって、そうでもしなきゃ、ずっとこの状態が続くんだろ?」
アンアンはすっかりおかんむりだ。
せめてパンツぐらい穿いてほしいものだが、パンツの代わりに、抱き上げたラスで股間を隠している。
「何も、そんなにあわてなくても…どうせ、この国の法律では、俺らの歳で結婚は無理なんだし…。せめてあと5年、いや、3年待ってほしい」
僕は必死に言いつのった。
今の成績では難しいけど、できれば大学ぐらい卒業したい。
まあそれは無理でも、高校を卒業して、何かの資格を取って就職するとか、僕だって人並みの生活を送りたい。
確かにアンアンは魔石を売ってお金を稼ぐという手段を持っているから、僕が就職しなくてもやっていけるだろうけど、そんなヒモみたいな生活はいやなのだ。
「3年? そんなに待てない! 身体がうずうずしてたまんない! 元気はその間、あたしは浮気してもいいのかよ? 今はこのラスが相手だからいいけれど、そのうち人間の男に誘惑されるかもしれないし、魔界から淫魔でもやってきたら、すぐ寝ちゃうかもしれないぞ?」
「うーん」
僕は腕組みをして考え込んだ。
それもはっきり言って、いやである。
アンアンがほかの誰と寝る…?
考えるだけで、嫉妬の炎が沸き上がる。
そういえば、サマエルやダゴンに犯されそうになるアンアンを見るのは辛かった。
あんな思いは、したくない。
「わかった」
僕は決心した。
「しよう。おまえの望み通り」
「しようって、何をだ? はっきり言ってくれなきゃ、わかんない」
アンアンの大きな瞳に、ちらりと期待の光が宿った。
「つまりその、交尾、いや、セックスだ」
「いつ?」
半信半疑の面持ちで、アンアンが訊いてくる。
ごまかしは許さないといった勢いだ。
「今晩」
清水の舞台から飛び降りる思いで、僕は言い放った。
「風呂に入って、十分準備ができたら、今晩決行というのはどうだ?」
「嘘じゃないな」
怖い目で睨んでくる。
「ああ。ただし、条件がある」
咳払いとともに、僕は言った。
「魔王に絶対に知られないように、ラスを部屋から出してほしい。そいつが魔王の手先だって可能性も、あるだろう?」
「ラスが親父の?」
アンアンが意外そうな表情をした。
「それはないと思うが…。親父は大の犬嫌いだから」
魔王は犬が嫌い?
そんな話、初耳だぞ。
「まあ、いい。おまえの気が済むなら、そうしよう。では、1時間後、この部屋に集合だ。嘘ついたら、針千本どころか、血の池地獄に突き落としてやるからな」
にこりともせず、真顔でアンアンがそう言った。
「OK。とにかく風呂に入っておいてくれないか。俺はバターもハチミツもいらないから」
「もちろんだ。勝負下着だって用意してある。コンドームを持ってくるのを忘れるな」
「わかった」
僕だって、男の端くれ。
コンドームくらい、机の引き出しに隠してある。
いつか使う時が来るだろうと、一ノ瀬がインターネット通販で買い、ひとつ分けてくれたのだ。
まったくもって、持つべきものだ友である。
しかし、緊張する。
いよいよ初体験なのだ。
うまくできるだろうか。
風呂から出たら、ネットで予習しなきゃ。
股間で息子が育ち始めていた。
それを悟られぬよう、僕は前かがみでアンアンの部屋を後にした。
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