34 / 249
第2章 蠅の王
#10 アンアンと二人目の貴公子⑥
しおりを挟む
そういえば、アンアンのやつ、カロンの前でも僕をフィアンセに仕立て上げ、言い逃れしようとしてたっけ。
まったく、政略結婚もいいところだ。
ていうか、高1で結婚なんて、まず無理だし。
それに、ただそれだけの理由で相手に選ばれるというのも、なんだかうれしくない。
「あのさ、たぶん、法律的に、それ、無理だから」
アンアンの柔らかい体を押しのけると、にべもなく僕は言った。
「確か、結婚の条件って、男が18歳以上、女が16歳以上、未成年の場合は、双方の親の了承が必要とか、そんなんだったと思う。あ、もしかしたら、男女とも18歳以上に変わったんだっけかな」
「法律? 面倒だな。親の了承は尚更無理だぞ」
アンアンが憮然とした顔になる。
「それにだ。結婚ってのは、根底にその、愛とか信頼とか、そういうものがあって初めて成り立つもんだろ? なんで押しかけ悪魔のおまえと俺が結婚しなきゃなんないんだよ?」
すこしむっとして、僕も言い返した。
アンアンは確かに可愛い。
校内美少女コンテストを開催したら、ベスト3は確実だろう。
水着審査があったら、まず1位は間違いない。
しかも、どうやら僕より頭もいいらしいし、歌もダンスもうまい。
さらに言えば、空間に穴を開けるほどのスーパーパワーの持ち主だ。
でも、だからといって、それが恋人や嫁の条件としてどうかとなると、これはかなり疑問である。
だいたい、釣り合わなさすぎる。
僕はそれこそどこにでも遍在するアメーバのごとき高校生なのだ。
特別取り柄もないし、ただ、やむを得ぬ事情でアンアンの家主になっているだけである。
それに、本物の魔王を義理の父に持つというのは…これはある意味最悪だろう。
なんならアンアンファンの一ノ瀬に、席をゆずってやりたいくらいである。
「じゃ、既成事実をつくるしかないか」
巨乳の下で腕組みをして、アンアンがとんでもないことを言い始めた。
「おまえに処女を奪われたことにして、残りの貴公子たちのプロポーズをすべてキャンセルするのだ」
「え? アンアン、おまえ、その身体でまさか処女?」
「失礼な。私はまだ16だ。ヴァージンに決まっている」
そうなのか。
しかし、なんという官能的な処女なのだろう。
「ま、それはそれとしてだ。そんなことをしたら、おまえのとうちゃんに、俺が殺される。だから断る」
「大丈夫だ。レイプではなく、合意の上だと説明すれば」
「いや、でも、いやだ。親父さんがたとえ許しても、おまえの花婿候補たちが黙っていないだろう」
「それはそうだが、そこはあたしが守ってやるから」
「断るったら断る」
「なんならここでしてもいいんだぞ」
アンアンがセーラー服に手をかけた。
マジで脱ぐつもりらしい。
「馬鹿。こんなとこで裸になったら、警察呼ばれるって」
「むう」
ファスナーを途中まで降ろした手を止めて、ふくれるアンアン。
「じゃあ、帰って家でする」
「しつこいな。そういう展開、俺は嫌なんだって」
「どうしてだ? 元気はあたしの体に興味ないのか? 体育の授業の時は、男子全員、先生も含めて、みんなあたしに釘付けだったのに」
「まあ、とにかく帰るぞ」
僕はソファから腰を上げた。
「アンアン、悪いこと言わないから、夜風に当たって、少し頭、冷やすんだな」
まったく、政略結婚もいいところだ。
ていうか、高1で結婚なんて、まず無理だし。
それに、ただそれだけの理由で相手に選ばれるというのも、なんだかうれしくない。
「あのさ、たぶん、法律的に、それ、無理だから」
アンアンの柔らかい体を押しのけると、にべもなく僕は言った。
「確か、結婚の条件って、男が18歳以上、女が16歳以上、未成年の場合は、双方の親の了承が必要とか、そんなんだったと思う。あ、もしかしたら、男女とも18歳以上に変わったんだっけかな」
「法律? 面倒だな。親の了承は尚更無理だぞ」
アンアンが憮然とした顔になる。
「それにだ。結婚ってのは、根底にその、愛とか信頼とか、そういうものがあって初めて成り立つもんだろ? なんで押しかけ悪魔のおまえと俺が結婚しなきゃなんないんだよ?」
すこしむっとして、僕も言い返した。
アンアンは確かに可愛い。
校内美少女コンテストを開催したら、ベスト3は確実だろう。
水着審査があったら、まず1位は間違いない。
しかも、どうやら僕より頭もいいらしいし、歌もダンスもうまい。
さらに言えば、空間に穴を開けるほどのスーパーパワーの持ち主だ。
でも、だからといって、それが恋人や嫁の条件としてどうかとなると、これはかなり疑問である。
だいたい、釣り合わなさすぎる。
僕はそれこそどこにでも遍在するアメーバのごとき高校生なのだ。
特別取り柄もないし、ただ、やむを得ぬ事情でアンアンの家主になっているだけである。
それに、本物の魔王を義理の父に持つというのは…これはある意味最悪だろう。
なんならアンアンファンの一ノ瀬に、席をゆずってやりたいくらいである。
「じゃ、既成事実をつくるしかないか」
巨乳の下で腕組みをして、アンアンがとんでもないことを言い始めた。
「おまえに処女を奪われたことにして、残りの貴公子たちのプロポーズをすべてキャンセルするのだ」
「え? アンアン、おまえ、その身体でまさか処女?」
「失礼な。私はまだ16だ。ヴァージンに決まっている」
そうなのか。
しかし、なんという官能的な処女なのだろう。
「ま、それはそれとしてだ。そんなことをしたら、おまえのとうちゃんに、俺が殺される。だから断る」
「大丈夫だ。レイプではなく、合意の上だと説明すれば」
「いや、でも、いやだ。親父さんがたとえ許しても、おまえの花婿候補たちが黙っていないだろう」
「それはそうだが、そこはあたしが守ってやるから」
「断るったら断る」
「なんならここでしてもいいんだぞ」
アンアンがセーラー服に手をかけた。
マジで脱ぐつもりらしい。
「馬鹿。こんなとこで裸になったら、警察呼ばれるって」
「むう」
ファスナーを途中まで降ろした手を止めて、ふくれるアンアン。
「じゃあ、帰って家でする」
「しつこいな。そういう展開、俺は嫌なんだって」
「どうしてだ? 元気はあたしの体に興味ないのか? 体育の授業の時は、男子全員、先生も含めて、みんなあたしに釘付けだったのに」
「まあ、とにかく帰るぞ」
僕はソファから腰を上げた。
「アンアン、悪いこと言わないから、夜風に当たって、少し頭、冷やすんだな」
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる