173 / 249
第6章 アンアン魔界行
#76 アンアン、地底軍艦に乗る⑧
しおりを挟む
タタタタタッ。
スタカートを刻むような歯切れのよい音に合わせて、玉の両腕が振動した。
楽器ケースごと背後から玉を抱きしめた一ノ瀬が、シューティングゲームで狙いを定めるように、玉の向きを動かしていく。
サブマシンガンは、拳銃とマシンガンの中間に位置していて、殺傷力はあまり高くないし、どちらかというと射程も短いほうだ。
だが、さすがにこの近距離で、的があれほど多いとなると、外そうにも外しようがないといった感じである。
なにしろ、秒速30発の連射なのだ。
突進してくるオークの第一集団が、僕らの目の前で無数の銃弾を浴び、あっという間にミンチに姿を変えるのに、ものの10秒もかからなかった。
「うははは、こりゃすげえ!」
「次行きますよお! はい! はい! はい! はい!」
玉と一ノ瀬のコンビのこのテンションの高さはどうだ。
まるでお祭り騒ぎ。
「いいよーん、玉ちゃーん、いい感じー! ほれ! ほれ! ほれ! ほれ!」
まさしく夏祭りの縁日ではしゃぐ小学生のノリじゃないか。
第2弾、第3弾がぐちゃぐちゃの挽肉と化し、床に山盛りになって湯気を立て始めた頃、玉の弾丸が尽きた。
オークはあと、10匹ほど残っている。
「アンアン、阿修羅さま、交代よろしくですぅ!」
「あいよ」
一ノ瀬に引っ張られて後ろに下がった玉の代わりに、ハイレグアーマーのアンアンと、セーラー服の阿修羅が前線に飛び出した。
もともと知能が低いのか、あるいは餓鬼に操られているからそうなのか。
目の前で仲間が次々に細切れ肉に変えられていくというのに、オークたちにはひるんだ様子もない。
牙を剥き出して、われ先に「がああっ!」と吠えながら、武器を振り上げて無謀にもアンアンたちにつっかかる。
ここで刮目すべき第一の項目は、アンアンの足の長さだった。
オークは1匹1匹がけっこう大きくて、身長は2メートルを超えている。
なのにアンアンが繰り出すハイキックは、その顎を正確に捉えて打ち砕いてしまうのだ。
ひるんだところに、新兵器のあのアンアン・ナックルをはめたこぶしが、超音速で襲いかかるものだからたまらない。
オークの顔面が、そのたびに爆竹をつっこんだスイカみたいに爆発して、血と脳漿をまき散らす。
次に驚愕に値するのは、これも阿修羅の新兵器、SMプレイちっくな鞭である。
どういう仕組みなのか、
「や」
「た」
と阿修羅がそのウィップを振り回すだけで、オークの手足や首が切断されてポンポン面白いように跳ね飛ぶのだ。
だるま落としみたいに、その太った胴体を5段ぐらいにスライスされるやつもいる始末だった。
なんだか知らないけど、触れるものすべてをぶった切ってしまう、そんなぶっそうな鞭らしい。
「終了でーす」
死体の数を数えて、玉が宣言した。
「ちょうど頭が50個ありまーす。オークは全滅したもようでーす」
「なんでもいいけど、ちとグロいな」
眼前にてんこもりになったミンチの山を見上げて、苦虫を噛み潰したみたいな顔で、アンアンがつぶやいた。
「次はもう少し、綺麗に済ませたいもんだ」
「そうだね」
阿修羅は鞭を振って、こびりついた血と肉片を振り落としている。
「たぶん、今度は大丈夫じゃないかな。お次の相手は、ただのゴーレムだからさ」
スタカートを刻むような歯切れのよい音に合わせて、玉の両腕が振動した。
楽器ケースごと背後から玉を抱きしめた一ノ瀬が、シューティングゲームで狙いを定めるように、玉の向きを動かしていく。
サブマシンガンは、拳銃とマシンガンの中間に位置していて、殺傷力はあまり高くないし、どちらかというと射程も短いほうだ。
だが、さすがにこの近距離で、的があれほど多いとなると、外そうにも外しようがないといった感じである。
なにしろ、秒速30発の連射なのだ。
突進してくるオークの第一集団が、僕らの目の前で無数の銃弾を浴び、あっという間にミンチに姿を変えるのに、ものの10秒もかからなかった。
「うははは、こりゃすげえ!」
「次行きますよお! はい! はい! はい! はい!」
玉と一ノ瀬のコンビのこのテンションの高さはどうだ。
まるでお祭り騒ぎ。
「いいよーん、玉ちゃーん、いい感じー! ほれ! ほれ! ほれ! ほれ!」
まさしく夏祭りの縁日ではしゃぐ小学生のノリじゃないか。
第2弾、第3弾がぐちゃぐちゃの挽肉と化し、床に山盛りになって湯気を立て始めた頃、玉の弾丸が尽きた。
オークはあと、10匹ほど残っている。
「アンアン、阿修羅さま、交代よろしくですぅ!」
「あいよ」
一ノ瀬に引っ張られて後ろに下がった玉の代わりに、ハイレグアーマーのアンアンと、セーラー服の阿修羅が前線に飛び出した。
もともと知能が低いのか、あるいは餓鬼に操られているからそうなのか。
目の前で仲間が次々に細切れ肉に変えられていくというのに、オークたちにはひるんだ様子もない。
牙を剥き出して、われ先に「がああっ!」と吠えながら、武器を振り上げて無謀にもアンアンたちにつっかかる。
ここで刮目すべき第一の項目は、アンアンの足の長さだった。
オークは1匹1匹がけっこう大きくて、身長は2メートルを超えている。
なのにアンアンが繰り出すハイキックは、その顎を正確に捉えて打ち砕いてしまうのだ。
ひるんだところに、新兵器のあのアンアン・ナックルをはめたこぶしが、超音速で襲いかかるものだからたまらない。
オークの顔面が、そのたびに爆竹をつっこんだスイカみたいに爆発して、血と脳漿をまき散らす。
次に驚愕に値するのは、これも阿修羅の新兵器、SMプレイちっくな鞭である。
どういう仕組みなのか、
「や」
「た」
と阿修羅がそのウィップを振り回すだけで、オークの手足や首が切断されてポンポン面白いように跳ね飛ぶのだ。
だるま落としみたいに、その太った胴体を5段ぐらいにスライスされるやつもいる始末だった。
なんだか知らないけど、触れるものすべてをぶった切ってしまう、そんなぶっそうな鞭らしい。
「終了でーす」
死体の数を数えて、玉が宣言した。
「ちょうど頭が50個ありまーす。オークは全滅したもようでーす」
「なんでもいいけど、ちとグロいな」
眼前にてんこもりになったミンチの山を見上げて、苦虫を噛み潰したみたいな顔で、アンアンがつぶやいた。
「次はもう少し、綺麗に済ませたいもんだ」
「そうだね」
阿修羅は鞭を振って、こびりついた血と肉片を振り落としている。
「たぶん、今度は大丈夫じゃないかな。お次の相手は、ただのゴーレムだからさ」
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる