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第6章 アンアン魔界行
#74 アンアン、地底軍艦に乗る⑥
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「ねえ、なして? なして俺だけいつもこういう目に遭うの?」
氷の彫像から人間に戻った一ノ瀬が、最初に発した台詞がこれである。
この男、元から男の割に色白で、うらなり瓢箪みたいな顔をしているのだが、それが今は白を通り越して、限りなく青に近づいてしまっている。
「だってしょうがないじゃない。何の特技もないの、あんただけなんだから」
自分用の武器を探しながら、阿修羅がそっけなく答えた。
「元気くんはね、一応タイムリープって超能力が使えるの。たった5秒間だけの制限付きだけど、それであんたやアンアンの命を助けたこともあるんだよ」
「そ、そうなのか?」
目をぱちぱちさせる一ノ瀬。
あれ、言ってなかったっけ?
話があんまり長いんで、話したかどうか忘れちまったぞ。
「わたしとアンアンは見ての通り、魔人族の王女と破壊神だし、玉はどんなミサイルでもぶっ放せるアンドロイド召喚獣でしょ? でも、あんたはそうじゃない。将来性のないただの人間のエロガキに過ぎないの。だったら身体を張るしかできることはないんじゃなくって?」
「元気い、どう思う? その言い方、あんまりだよな」
落ち込む一ノ瀬を、玉がなぐさめた。
「あー、でも、玉は一ノ瀬君のそういうとこ、可愛いと思いますよ。熱湯風呂や氷風呂に裸で飛び込んだり、ゴキブリやサソリ食べて死にそうになる売れない芸人みたいで、とってもキュートです」
あんまり誉め言葉にはなっていないが、
「そ、そうかなあ」
と、一ノ瀬は満更でもなさそうである。
そこに真紅のハイレグアーマーに身を包んだアンアンがやってきて、武器と防具を差し出した。
「ほら、蚊トンボはこれでいいだろう。武器は元気と同じ、こうもり傘タイプのスパイグッズ、防具はSAT御用達の突入用プロテクターだ。ふたりとも素人だから、グンニグルやラグナログは無理だと思う」
というわけで、僕と一ノ瀬は、プロテクターにこうもり傘という、妙にアンバランスなスタイルになった。
「玉はちょっちミサイルの予備と、機動性を考慮に入れてサブマシンガンを持っていこうと思います。玉の両手首は着脱式ですから、マシンガンを取りつけることもできるのです」
丸眼鏡の玉は、楽しそうに重火器コーナーを眺めている。
まったくその体で、おまえはガン〇ムかよ。
「よし、だいたい準備は整った。で、轟天号のとこにはどう行けばいい?」
アンアンが締めたのは、全員が武器防具を選んだ後のことだった。
「メイン通路をずっとまっすぐ奥まで行くと、地下に下りるらせん階段があるから、そこを100回くらいくるくる回って下りるだけ。格納庫のドアはわたしの指紋認証で開くから、これも問題なし。ただね」
そこまで一気に言って、阿修羅が一瞬、口ごもる。
「ただ、何なんだよ?」
と、眉根を寄せたのは、アンアンだ。
「このメイン通路には、昔から色々魔物が住んでてさあ、それがみんな餓鬼に憑りつかれてるとなると、けっこうやっかいだったりして」
「魔物って、何がいるんだ?」
「オークでしょ、ゴーレムでしょ、デュラハンでしょ、メデューサでしょ…」
アンアンの問いに、阿修羅が唇に人差し指を当て、夢見る少女のような顔で、おぞましい名前を次から次へと列挙する。
いやはや。
僕はげんなりした。
まだまだ先は長そうだ。
つくづくそう思ったからである。
氷の彫像から人間に戻った一ノ瀬が、最初に発した台詞がこれである。
この男、元から男の割に色白で、うらなり瓢箪みたいな顔をしているのだが、それが今は白を通り越して、限りなく青に近づいてしまっている。
「だってしょうがないじゃない。何の特技もないの、あんただけなんだから」
自分用の武器を探しながら、阿修羅がそっけなく答えた。
「元気くんはね、一応タイムリープって超能力が使えるの。たった5秒間だけの制限付きだけど、それであんたやアンアンの命を助けたこともあるんだよ」
「そ、そうなのか?」
目をぱちぱちさせる一ノ瀬。
あれ、言ってなかったっけ?
話があんまり長いんで、話したかどうか忘れちまったぞ。
「わたしとアンアンは見ての通り、魔人族の王女と破壊神だし、玉はどんなミサイルでもぶっ放せるアンドロイド召喚獣でしょ? でも、あんたはそうじゃない。将来性のないただの人間のエロガキに過ぎないの。だったら身体を張るしかできることはないんじゃなくって?」
「元気い、どう思う? その言い方、あんまりだよな」
落ち込む一ノ瀬を、玉がなぐさめた。
「あー、でも、玉は一ノ瀬君のそういうとこ、可愛いと思いますよ。熱湯風呂や氷風呂に裸で飛び込んだり、ゴキブリやサソリ食べて死にそうになる売れない芸人みたいで、とってもキュートです」
あんまり誉め言葉にはなっていないが、
「そ、そうかなあ」
と、一ノ瀬は満更でもなさそうである。
そこに真紅のハイレグアーマーに身を包んだアンアンがやってきて、武器と防具を差し出した。
「ほら、蚊トンボはこれでいいだろう。武器は元気と同じ、こうもり傘タイプのスパイグッズ、防具はSAT御用達の突入用プロテクターだ。ふたりとも素人だから、グンニグルやラグナログは無理だと思う」
というわけで、僕と一ノ瀬は、プロテクターにこうもり傘という、妙にアンバランスなスタイルになった。
「玉はちょっちミサイルの予備と、機動性を考慮に入れてサブマシンガンを持っていこうと思います。玉の両手首は着脱式ですから、マシンガンを取りつけることもできるのです」
丸眼鏡の玉は、楽しそうに重火器コーナーを眺めている。
まったくその体で、おまえはガン〇ムかよ。
「よし、だいたい準備は整った。で、轟天号のとこにはどう行けばいい?」
アンアンが締めたのは、全員が武器防具を選んだ後のことだった。
「メイン通路をずっとまっすぐ奥まで行くと、地下に下りるらせん階段があるから、そこを100回くらいくるくる回って下りるだけ。格納庫のドアはわたしの指紋認証で開くから、これも問題なし。ただね」
そこまで一気に言って、阿修羅が一瞬、口ごもる。
「ただ、何なんだよ?」
と、眉根を寄せたのは、アンアンだ。
「このメイン通路には、昔から色々魔物が住んでてさあ、それがみんな餓鬼に憑りつかれてるとなると、けっこうやっかいだったりして」
「魔物って、何がいるんだ?」
「オークでしょ、ゴーレムでしょ、デュラハンでしょ、メデューサでしょ…」
アンアンの問いに、阿修羅が唇に人差し指を当て、夢見る少女のような顔で、おぞましい名前を次から次へと列挙する。
いやはや。
僕はげんなりした。
まだまだ先は長そうだ。
つくづくそう思ったからである。
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