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#5 生徒募集

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 大して苦労することもなく、手頃な空き家が見つかった。

 建てられてから日が浅いのか、木造にしては柱も屋根も割と新しい。

「ここがいいわね」

 中をひととおり見て回ると、緋美子が言った。

 パーテーションで仕切れば、4教室は取れそうだし、離れもあるから私たちはそこで寝起きすればいい」

「よし、じゃ、俺、何か間仕切りの代わりになるもの、探してくる」

 太田が言った。

「じゃ、太田君、内装係、お願いね。ヒバナと五代君はさっそく生徒募集の準備、よろしく。ほかのメンバーは、私と一緒に村中の家を回って、何か教材の代わりになる物。探しましょ」

 さすが緋美子、、仕切るのはお手のものという感じ。

 誰もが認める美少女で才媛だから、反対する者などいるはずがない。

 というわけで、俺とヒバナでちらしをつくって撒きに行くことになった。

 幸い、油性マジックやら蛍光ペンやらは、みんなの持ち物の中から調達できた。

 村長に要らない紙を大量にもらい、その裏にヒバナが俺の考えたキャッチコピーを書いていく。

 印刷機がないから、こればっかりは手作業でやるしかない。

「ねえ、五代君、塾なのに、新装開店って変じゃない?」

「大丈夫だって。そんなの誰も気づかねえよ。第一、ここ、塾なんてはじめっから存在しないんだから」

「あ、そうか。じゃ、世界最初の塾、新装オープンってのは?」

「いいんじゃね。ついでに、美人の先生、そろってます、って書いとけよ」

「まあ、ひみちゃんとあたしはそうだけどさ、貞子もいるよ」

「負の側面は伏せておく。宣伝広告の基本だぜ」

「はいよ。オリジナル完成!」

「どれどれ」

 俺はヒバナの労作を手に取った。

 字体が思いっきり丸文字なのが気になるが、俺が書くよりかはずいぶんましだろう。、

「このイラスト、なんだ? ダンスしてるスルメイカ?」

「失礼ね。あたしの似顔絵に決まってるでしょ!」

「あ、そうなの。ま、いいや。じゃ、その調子であと200枚ほど」

「ふえーん、五代君の鬼! あとでなにかおごってよね」

 そうして2時間後。

 なんとかブツをそろえた俺たちは、意気揚々と村を出た。

 行く先はとなり村。

 丘を越えた向こうに大きな村があると聞いたからだ。

「雑魚モンスターとか出るかもね」

 ヒバナが言った時だった。

「わ」

 僕は危うく腰を抜かしそうになった。

 草むらがざわめいたかと思うと、出たからである。

 そう。

 まさにその、雑魚モンスターの一団が。





 
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