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「まあまあ、そんなにカッカしないで」
 久保があたしをなだめにかかる。
「高田ちゃんが悪い訳じゃないし、も少し大人しく話を聞こうじゃありませんか」
「それで、彼は会ったんだね? その珍朴菜と名乗る輩と」
「え、ええ。待ち合わせは、駅前の商業施設だったそうです。多機能トイレってあるでしょ?」
「出たー! 多機能トイレ。ある意味不純なセックスの温床ともいえるエロスポット」
 久保はなぜだかうれしそうだ。
「それで、どんなやつだったって? そのX、いや、珍朴菜は」
 冷静なのは源さんだけかもしれない。
「大きなマスクで顔はわからなかったそうです。しかも、ふたりともすぐに全裸になって、お互いのアレを・・・」
 高田刑事が口ごもり、顏を赤らめた。
「扱き合ったの? そういうの、なんて言うのかな。相互オナニー?」
「し、知りません」
 久保の突っ込みに、ますます赤くなる新米刑事。
 あたしはちょっと彼が可哀想になってきた。
 そんなの、まあ、ふつう、知らんわな。
「でも、なんでその程度のことで、シゲアキは珍朴菜の言いなりに?」
「それが・・・」
 久保の追及に、うしろめたそうに顏を背ける高田刑事。
「彼が飲んでくれたからだそうです」
「何を? あ、やだ。もしかして」
「ええ、はい」
 消え入るような声で、高田刑事がうなずいた。
「被疑者が出す寸前、アレを口に咥えて・・・。初めての経験に、被疑者は彼のことを、神だと思ったそうです」
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