あばたとえくぼの異界怪奇事件帳

戸影絵麻

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 青鬼山ー。
 私は庭に目をやった。
 樹木と樹木の間に、抜けるように青い空を背景にして、こんもりとした緑色の山が見える。
 そういえば、被害者は、あそこで見つかったのだ・・・。
 あたしと久保にとって、ある意味因縁の土地。
 久保がこの事件にこだわるのは、そのせいもあるのだろうか・・・。
「被害者は柚木詩織さん、W県立大学1年生で18歳。7月25日、コンビニのアルバイトから帰宅途中に行方不明。彼女は当時大学の寮に住んでいて、隣県にある青鬼山周辺には土地勘なし。コンビニから寮までは人通りの少ない山道でほぼ直線道路。その途上で車で拉致された可能性が高いと後に警察は判断したんだが・・・。翌26日の夜、娘と連絡が取れないと両親より訴えがあり、捜査中に8月1日、青鬼山で頭部発見の知らせが入る。そしてその後立て続けに8月20日に右足首、9月1日に胴体と左足首が同じ青鬼山山中で発見されて・・・。被害者がバラバラにされたのが死後だというのは確かなんだが、死体の各パーツをなぜ一度に捨てなかったのか、そこが腑に落ちなくてね」
「そんなの」
 王手。
 パチンと駒を鳴らして、久保が言った。
「決まってるじゃありませんか」
「え?」
 鳩に豆鉄砲、といった顏で、源さんが久保の顏と指先を交互に見た。
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