あばたとえくぼの異界怪奇事件帳

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「ていうわけで、アバタとエクボといたしましてはですねえ」
　紙ストローで『マローネ カシス フラペチーノ』とかをかき混ぜながら、久保が言う。
　”アバタとエクボ”というのはうちらのあだ名である。
　筋肉系ドブスと可愛い系美少女という不思議な組み合わせだから、クラスでは異様に目立っているのだ。
　久保がエクボで、あたし＝小幡がアバタ。
　確かに言い得て妙ではある。
「こんな破廉恥極まりない猟奇事件、放ってはおけないわけですよ」
　あたしは頬杖をついて対面の久保を見る。
　そして、つくづく神様は不公平だな、と痛感する。
　同じ人間とは思えないこの可愛らしさはなんだ。
　あたしがメイクに何時間かけようと、久保の秒で済む化粧水ペチペチにはかなわない。
　なんせ土台が違い過ぎるのだ。
　ちなみにあたしは心が狭い。
　略語なんかも大嫌いである。
　スターバックスをスタバと略すなんてのはその最たるものだ。
　ファミマ、ケンタ、マクド、ミスドetc…。
　世の中にはくだらない略語が多すぎる。