あばたとえくぼの異界怪奇事件帳

2

　声をかけて来たのは桜井と小島。
　クラスメイトの中ではチャラ男に属するアホ二人組だ。
　ここはあたしの席なんだし、当然久保以外にあたしもいるのだが、
　アホ二人組の目は、当然久保しか見ていない。
　慣れているとはいえ、全く、敵ながらあっぱれといいたくなるほどの無視具合である。
「なんですかあ？」
　久保が舌足らずな口調で訊き、上目遣いにアホどもを見る。
　そう言う態度だから誤解されるんだ、と言いたくなるけど、ブスのあたしが口を出しても始まらない。
「いやさ、駅前のスタバでも行かないかなと思って」
　ツーブロック？
　変な風に側面の髪を刈り上げた桜井が鼻の下を伸ばして久保に言う。
「えー、どうしよっかなあ、あ、そうだ、ウタ子ちゃんも一緒なら」
　真顔で答える久保に、ロン毛のコジマが絶句する。
「へ？　ウタ子って、このお化け？」
　両手の人差し指をそろえてあたしを指してきた。