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ACT1 邂逅

#6 リコ③

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 周囲の空間が虹色に耀いた。
 光の渦に包まれて、リコの身体が回転する。
 それに合わせて、きわどい紐状の水着が光の中に溶けていき、見事な裸身が浮かび上がった。
 リコの肩、胸、腰、手足が銀色の新たな光芒に包まれたかと思うとー。
 未知のエネルギーが全身の細胞に行き渡り、体が巨大化し始める。
 VL.10の基準は身長10メートル。
 そこまで到達するのに、コンマ5秒とかからない。
 巨大化終了とともに、今度は装備が出現した。
 異次元に収納されていたアーマーが3次元空間に実体化し、リコの肉体に装着し始めたのだ。
 頭部を保護するバイザー付戦闘用ヘルム。
 純白のレオタード。
 シルバーのプロテクターとマイクロミニ。
 そして白いロンググローブとロングブーツ。
 ヘルムの隙間から流れる髪は、水色に変化している。
 光の粒子をすべて吸収すると、リコは両手のこぶしを握り、全身に気合を行き渡らせた。
 バイザー越しに、地表を観察する。
 コンクリートに開いた穴から、全身を現わそうとしている地底怪獣。
 遠くの交差点では、警官たちのバリケードのせいで車が大渋滞を起こしている。
 デパートの前の歩道は通行止めを食らった歩行者たちでいっぱいだが、幸いまだリコの姿に気づいた者はいないようだ。
「一気に行くぞ」
 胸のプロテクターから突き出した金と銀の乳首に指を当て、リコは言った。
 警官だか機動隊だかがこっちにやってくる前に、必殺技で一気にカタをつけるのだ。
 モタモタしていると、今のご時世、動画に撮られてネットに拡散・炎上である。
 が。
 行動に移そうと指先に力を籠めた瞬間、イオが言った。
『待ってください。怪獣の近くに人間がいます』
「なんだと?」
 バイザーの倍率を上げてみる。
 視界の左上には、残存時間を表示する数字のカウントダウン。
 照準器と化したふたつの円が中央で捉えたのは、黒っぽい服を着た少女である。
「何やってるんだ? あいつ」
 もう少し倍率を上げ、忌々しげにリコはつぶやいた。
 それにしてもおかしな格好だ。
 なぜあの娘、学ランなんか着ている?
『おっぱいビームは危険です。彼女を巻き添えにする可能性が高すぎます』
「なら、どうしろと?」
『近接戦闘武器でとどめを刺すしかないですね。VL.10なら、Sブリンガーの使用が可能です』
 Sブリンガーは両刃の両手剣だ。
 重くて動作は鈍るが、一撃必殺を狙うなら短剣より率がいい。
「じゃ、それで」
 リコがうなずくと、音もなく背中に光輝く大剣が出現した。

 

 
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