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ACT13 怪獣牧場

#27 リコ⑲

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 珍墨彩が立ち上がった。

 第二形態へと変貌を遂げた怪人は、マックスまで巨大化したリコより更に頭一つ分、背が高い。

「ぐふぐふぐふ、皇帝殿下の超絶パワーの前に、おのれの無力を思い知るがいい!」

 背後からリコを羽交い絞めした、ビュンビュン丸が耳元でいひひと笑った。

 死からよみがえったビュンビュン丸は、なぜか完全に珍墨彩にコントロールされてしまっているようだ。

 腸詰帝国の戦闘員見習いだった過去に植え付けられた忠誠心が、命とともによみがえったのかもしれなかった。

「は、離せ、ビュンビュン丸!」

 リコは身をよじった。

 だが、ゾンビのくせに、ビュンビュン丸は意外に手強かった。

 リコの両腕を背中に押しつけてねじり上げ、複雑な固め方で動けなくしているようだ。

「よくもわしをたばかったな」

 拷問のような声が響き、皇帝が右の拳を突き出した。

 ずぼっ。

 バストアーマーとマイクロミニのすき間からのぞく平らなお腹に、皇帝の鋼鉄のパンチがめり込んだ。

 さらに左のストレートをもろにくらってうめくリコ。

「うぐっ」

 躰を二つに折ることも許されず、立て続けにジャブの嵐を浴びてしまう。

 ドスッ、ドスッ、ドスッ。

 無防備な腹が真っ赤な拳の跡がつく。

 重いパンチの連打を食らい、リコの全身から急速に力が抜けていく。

 その両の太腿を両手で握り、腰を宙に浮かせると、皇帝が股裂きの要領で、リコの両足を押し広げにかかった。

「くくくくく、口ほどもない奴じゃ。バラバラに引き裂き、死体をぐちょぐちょに犯してくれるわい!」

 卑猥な顔で、珍墨彩が哄笑する。

 -リコ! 起きて!

 前頭葉で、イオが金切り声を上げた。

 -早く起きて反撃しないと、本当にバラバラ死体にされてしまいます!
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