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ACT12 腸詰帝国潜入作戦

#32 ハル⑬

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 まったく、いいところだったのに!

 ハルはしぶしぶリコの上から起き上がり、声のしたほうに目をやった。

 50メートルプールの中央あたりに水しぶきがあがり、アリアが浮いたり沈んだりしているのが見える。

 その背後に浮かび上がったのは、赤黒い大きな袋状の物体だ。

 なんだろう?

 とたんに、アリアの身体が水中から跳ね上がった。
 
 吸盤だらけの太い触手がその細い胴に巻きつき、アリアを宙に持ち上げたのだ。

「アリア!」

 叫んだのは、ビュンビュン丸だった。

 ハルやリコより近い位置にいたビュンビュン丸が、プールサイドを駆けていく。

 と、水中からもう1本触手が伸び、そのビュンビュン丸の右足に巻きついた。

「うわああつ!」

 見る間に逆さ吊りにされ、手足をばたつかせる改造人間。

「あの触手。あの頭部の形状。あれはどう見ても、タコだ。それも、超でかい」

 難しい顔で、ハルはつぶやいた。

 何かのショーの一環だろうか。

 それにしても、観客がひとりもいないのは不自然だ。

 あるいはこれもサービスのひとつなのだろうか。

 しかし、ハロウィーンでもあるまいし、客を脅してどうするというのだ?

 コネクトを再接続すると、頭の中でセラフィムがわめいた。

『だからいわんこっちゃない! ハルさん、怪獣反応でっせ!』

「なんだと? あれは怪獣なのか? 道理で着ぐるみにしてはよくできてると思った」

『腸詰帝国が先手を打ってきたに違いおまへん! こりゃ、急がないと!』

 コネクトを切られているうちに襲撃を受けたことに、セラフィムはかなり怒っているようだ。

『ったく、あんさんが余計なことばかりしよるから!』

「何寝ぼけたこと言ってるんだ? 早くアリアを助けないと」
 
 ハルのつぶやきを聞きつけて、リコが憮然とした表情で言う。

 リコはすでに乱れた水着を直し、9頭身のボディを惜しげなくさらしてすっくとプールサイドに立っている。

 さっきまでの触れなば落ちんといった風情はどこへやら、すっかり元の凛々しいリコに戻っている。

 残念だ。
 
 残念でたまらない。

 またこれで欲求不満が溜まってしまった。

 水着姿のリコを凌辱するのは、なかなか心ときめくひとときだったのに。

 ハルはため息をついた。

「仕方ない。リコ。続きはまた今度だ。MILKYに変身して、早くアリアを助けてやれ」

「はあ? ハルはどうすんだよ?」

「催してきた。我慢できないほどにな。だから、私は戦うおまえをオカズにオナニーでもしようと思う」


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