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ACT12 腸詰帝国潜入作戦
#16 ハル⑤
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『また、拷問でっか。あんたも好きだねえ』
セラフィムが言った。
ハルのシナプスに、半ば呆れた響きが伝わってくる。
「拷問とは人聞きの悪い。私はただ、腸詰帝国に関する詳細な情報を知りたいだけだ」
翌朝、ハルはひとり早起きして、1階のジムにいた。
昨夜のリコとアリアの特訓を目の当たりにして、帝国襲撃の意志は固まっている。
こっちにはふたりもスーパーヒーローがいるのだから、相手が何であろうと負けるはずがない。
腸詰帝国の中枢に潜入したら、まずは皇帝珍墨彩を捕獲する。
そしてアリアの体内から淫者の石を取り外させ、基地自体をぶっ潰すのだ。
それにはまず、基地内の詳細な地図が要る。
データが存在するとしたら、ビュンビュン丸の海馬の中である。
口頭で説明させるより、直接脳内を探って情報を取り出したほうが早いだろう。
それがハルの出した結論だった。
『記憶を探るだけならワイひとりで十分なんやが』
セラフィムはまだぶつぶつ言っている。
「いいからおまえは黙ってデータ収集に徹するんだ」
ハルはブレスレットを外すと、それを作業台の上のヘッドギアに取りつけた。
「おはよう、ハル、早いね。もう朝食は食べたのかい?」
そこに現れたのは、すっかりさわやかな青年を気取ったビュンビュン丸である。
外に出て、朝のラジオ体操でも始めるつもりなのか。
首にタオルを下げている。
「ちょうどいいところに来た」
ハルはびゅんびゅん丸を手招きした。
「作戦会議の前に、ビュンビュン丸、おまえの力を借りたい」
「いいけど、どうすれば?」
けげんそうな表情を顔に浮かべ、ビュンビュン丸が近づいてきた。
「服を脱いで、そのベッドの上に横になれ」
「え?」
ハルの命令に、思わず絶句するビュンビュン丸。
目が複眼でなかったら、おそらく点になっていたところだろう。
「腸詰帝国の情報を、おまえの脳から直接引き出したい。潜在意識にのほうに大事な情報が含まれている場合もあるからな」
「それはそうだけど…でも、なんで裸に?」
「そのほうが、私も張りが出るからだ」
「はあ?」
「いや、何でもない」
ハルはすばやく訂正した。
しまった。
危うく本音を漏らすところだった。
「ほかならぬハルの命令だから、従わないでもないけれど」
ビュンビュン丸がしぶしぶジャンプスーツを脱ぎ始めた。
下着をつけていないその裸体は、まだ若いだけあって肌の艶もいい。
「でも、この前みたいなのはやめてよね。こう見えても俺、シャイなんだ」
ビュンビュン丸をベッドに寝かせると、ハルはヘッドギアを手に取った。
「これをかぶるんだ。このヘッドギアには、私のパーソナルAI、セラフィムがセットされている。彼がおまえの記憶を探ってくれる手はずになっている」
「痛くないといいけど」
ベッドに仰臥したビュンビュン丸が、不安そうにハルを見上げた。
「大丈夫だ。気がまぎれるよう、その間、私が体に刺激を与えてやるから」
ハルはブラウスの袖を腕まくりし、両手にローションオイルを塗りたくりながらそう言った。
作業台の上には、消毒の済んださまざまな器具が並んでいる。
リコ相手だと気の毒で気が引けるものも、男が相手なら使い放題だ。
「では、始めるぞ」
萎縮したビュンビュン丸のペニスをつまみ上げ、厳かな口調で、そうハルは宣言した。
セラフィムが言った。
ハルのシナプスに、半ば呆れた響きが伝わってくる。
「拷問とは人聞きの悪い。私はただ、腸詰帝国に関する詳細な情報を知りたいだけだ」
翌朝、ハルはひとり早起きして、1階のジムにいた。
昨夜のリコとアリアの特訓を目の当たりにして、帝国襲撃の意志は固まっている。
こっちにはふたりもスーパーヒーローがいるのだから、相手が何であろうと負けるはずがない。
腸詰帝国の中枢に潜入したら、まずは皇帝珍墨彩を捕獲する。
そしてアリアの体内から淫者の石を取り外させ、基地自体をぶっ潰すのだ。
それにはまず、基地内の詳細な地図が要る。
データが存在するとしたら、ビュンビュン丸の海馬の中である。
口頭で説明させるより、直接脳内を探って情報を取り出したほうが早いだろう。
それがハルの出した結論だった。
『記憶を探るだけならワイひとりで十分なんやが』
セラフィムはまだぶつぶつ言っている。
「いいからおまえは黙ってデータ収集に徹するんだ」
ハルはブレスレットを外すと、それを作業台の上のヘッドギアに取りつけた。
「おはよう、ハル、早いね。もう朝食は食べたのかい?」
そこに現れたのは、すっかりさわやかな青年を気取ったビュンビュン丸である。
外に出て、朝のラジオ体操でも始めるつもりなのか。
首にタオルを下げている。
「ちょうどいいところに来た」
ハルはびゅんびゅん丸を手招きした。
「作戦会議の前に、ビュンビュン丸、おまえの力を借りたい」
「いいけど、どうすれば?」
けげんそうな表情を顔に浮かべ、ビュンビュン丸が近づいてきた。
「服を脱いで、そのベッドの上に横になれ」
「え?」
ハルの命令に、思わず絶句するビュンビュン丸。
目が複眼でなかったら、おそらく点になっていたところだろう。
「腸詰帝国の情報を、おまえの脳から直接引き出したい。潜在意識にのほうに大事な情報が含まれている場合もあるからな」
「それはそうだけど…でも、なんで裸に?」
「そのほうが、私も張りが出るからだ」
「はあ?」
「いや、何でもない」
ハルはすばやく訂正した。
しまった。
危うく本音を漏らすところだった。
「ほかならぬハルの命令だから、従わないでもないけれど」
ビュンビュン丸がしぶしぶジャンプスーツを脱ぎ始めた。
下着をつけていないその裸体は、まだ若いだけあって肌の艶もいい。
「でも、この前みたいなのはやめてよね。こう見えても俺、シャイなんだ」
ビュンビュン丸をベッドに寝かせると、ハルはヘッドギアを手に取った。
「これをかぶるんだ。このヘッドギアには、私のパーソナルAI、セラフィムがセットされている。彼がおまえの記憶を探ってくれる手はずになっている」
「痛くないといいけど」
ベッドに仰臥したビュンビュン丸が、不安そうにハルを見上げた。
「大丈夫だ。気がまぎれるよう、その間、私が体に刺激を与えてやるから」
ハルはブラウスの袖を腕まくりし、両手にローションオイルを塗りたくりながらそう言った。
作業台の上には、消毒の済んださまざまな器具が並んでいる。
リコ相手だと気の毒で気が引けるものも、男が相手なら使い放題だ。
「では、始めるぞ」
萎縮したビュンビュン丸のペニスをつまみ上げ、厳かな口調で、そうハルは宣言した。
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