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ACT12 腸詰帝国潜入作戦

#8 リコ②

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 ジラフ?
 ジラフとは、確かハルが追っている宇宙盗賊だ。
 だからといって、殺してもかまわないとは、いくらなんでも言い過ぎじゃないか?
 胸を揉まれたままの姿勢から、リコは上体をねじってアリアンの顎に肘打ちをかました。
「いたっ!」
 怯むアリアン。
 その右腕を取り、肩にかけた。
 腰のばねを効かせて、豪快な一本背負いを決める。
 アリアンが頭から砂浜に突っ込んでいく。
 その背中にまたがり、顎の下に両手を入れた。
 思いっきり引き上げると、
「きゃんっ!」
 アリアンがリコの下で逆海老の形に反り返る。
 プロレス技のひとつ、キャメルクラッチだ。
 リコが住居の1階をトレーニング・ジムにしているのは、伊達ではない。
 怪獣との対決に備えて、日ごろから色々な技の練習をしているのだ。
 そんなリコが、にわかヒーローのアリアンに負けるはずがない。
「うぐぐぐぐ、リコさま、痛いよ、助けて」
 アリアンが早くも弱音を吐いた。
「いいか、アリア。変身できるだけじゃ、ヒーローは名乗れないんだ」
 身体を素早く入れ替えると、リコはアリアの下になった。
 両手両足をアリアンの四肢に絡め、仰向けにしたまま、アリアンをやぐらのように持ち上げた。
 背中側に手足を引っ張られ、アリアンの身体がせり上がる。
 胸元の大きく開いたコスチュームの間からせり出した乳房が、今にも布地を突き破りそうな勢いだ。
 短いフレアスカートは腹の上までめくれあがり、鋭く切れ上がったハイレグレオタードに包まれた下半身がまる見えになる。
「どうする? アリア? ハルはおまえを殺せと言ってるが?」
 四肢を駆使してアリアンを宙に持ち上げ、ぎりぎりとその手足を引き絞りながら、リコは言った。
「なんなら、このままバラバラにしてやってもいいんだが」
「や、やめて」
 苦しそうに身もだえしながら、アリアがすすり泣く。
「アリアは、ジラフなんかじゃ、ありません。ただ、ちょっと変身して、リコさまを助けようと思っただけなんですぅ」
「言い訳は、ハルにするんだな」
 足の戒めを解くと、リコはアリアンを肩に担いで立ち上がった。
 今度はサバ折りの体勢である。
「はあっ! ふひいっ!」
 リコの肩の上で背中を折り曲げられ、アリアンが苦しげ泣き叫ぶ。
 あんまりうるさいので、いったん下ろして、後ろから抱きかかえてやった。
 ちょうど、母親が幼児に小便をさせる時のように、背後からアリアンの両脚を持ち上げたのだ。
「どうする? ハル」
 ハルの許までアリアンを運ぶと、リコはたずねた。
「怪しいのはそこだ」
 ハルが指さしたのは、アリアの股間だった。
「ものすごいエネルギー反応だ。ちょっとなかを調べる必要がある」

 
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