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プロローグA-③

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 ベッドの上に仰向けになり、膝を曲げた鈴の股間に、紘一が顏をうずめている。

 その舌が肉襞の間を上下し、ぺちゃぺちゃと湿った音を立てるたびに、鈴の膝がわなないた。

 いつもなら快感に我を忘れるはずなのに、きょうはなぜか愉楽の淵に没入できない自分がいる。

 頭の隅に、美咲の声がこびりついているからだった。

 あの時、怒りで顔を真っ赤にして、美咲は怒鳴ったのだ。

 -鈴、だめだよ! そんなこと、すぐにやめないと、あんた、どんどん汚れちゃうよ!-

 汚れる・・・?

 私が・・・?

 お仕事で疲れたパパを、ただ慰めてあげたかっただけなのに?

 鈴の股間が十分に潤ったのを見て取ると、紘一が顔を上げ、おもねるような口調で訊いてきた。

「鈴、いいね?」

 鈴の脚を大きく左右に押し開き、骨張った腰を入れてくる。

「でも、ママが・・・」

 太腿を閉じようとしたが、もう遅かった。

 股間の濡れた部位に、熱く猛った紘一の性器の先が当たっている。

 さっきまでの口と手による鈴の”ご奉仕”のせいで、紘一の性器はすでに石のように硬くなっていた。

 ここから先は、初めてだ。

 きっと、気持ちいいのだろうと、そう思う。
 
 でも、ダメなのだ。

 本当は鈴にも分かっている。

 親子でこんなこと、しちゃいけない。

 もし妊娠して赤ちゃんができたりしたら、美咲の言う通り、私の人生は、ジ・エンドだ。

 だから・・・。

「ママも分かってくれている。おまえは私の女神なんだ。最愛の女なんだよ」

 口から鈴の愛液を垂れ流し、うわ言のように紘一が言う。


 めりっ。

 無毛の鈴の股間に、縦に開いたピンクの肉の谷間。

 そこに赤黒く充血した亀頭がめり込んだ時だった。

「いやあああああっ!」

 鈴の眉間が、突如として縦に割れた。

 裂け目からせり上がる、赤く血走った眼。

「うぐっ」

 鈴の裸身の上で、紘一が硬直する。

 透明な触手のようなものが2本、鈴の額の生え際から伸び出し、紘一の首に巻きついたのだ。

「や、やめろ、く、苦しい、な、なんだ、これは?」

 首に手をやり、紘一が苦痛にうめいた。

 その瞬間だった。

 不可視の触手が跳ねるように動き、紘一を大きく吹き飛ばした。

「ぎゃあああっ!」

 天井に背中を打ちつけ、全裸の紘一が壊れた人形のように床に落下する。

 裸のまま、鈴は立ち上がった。

 風もないのに髪が広がり、小作りな顔の周りで波打っている。

 額の眼で、気を失った父親を見下ろした。

「やめろと言っただろ」

 鈴の口から、冷たい声が流れ出す。

「いい気になるんじゃないよ、このクズが。下等動物のくせに、ざけんなよ」

 



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