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#335話 僕の妹飼育日記(36)

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「じゃ、もう大丈夫だね」
 僕の胸にしがみつき、妹が熱っぽい眼で見上げてきた。
「だって私、こんなにも、お兄ちゃんのこと…」
 僕の右手を取り、スクール水着のふくらみに押し当てた。
 それはちょうど手のひらにすっぽり入る大きさで、何か硬い突起が真ん中あたりに突き出しているのがわかる。
 そう。
 妹の乳首は、何もしていないのにもう勃起しているのだ。
「それで、どこへ行くの? あと、私、どんな服を着ていけばいい? かわいい系? それともセーラー服?」
 甘えるような口調で訊いてきた。
 さっきまでの不機嫌さは雲散霧消して、突然訪れた幸福に酔っているような表情をしている。
「駅前に新しい商業施設ができたの、おまえも知ってるだろう? あそこに一度行ってみたかった。ああ、それから、着ていく服だが、そのスクール水着のままでいい」
「え?」
 妹が、ぽかんと口を開けて僕を見た。
 何を言われたのか、とっさには判断できかねるといった顔つきだ。
「そんな…これ、濡れてるし…こんなの着てったら、私、風邪ひいちゃうよ」
 ようやく僕の言葉が理解できたらしく、抗うようにそう言った。
「新しい水着に着替えていけばいいだろう。競泳用の水着なら、何着も持ってるはずだ。それ以外は、許さない」
「ど…どうして…?」
 妹の瞳が、親に叱られた子どものそれのように、揺らいだ。
 その瞳をじっとのぞきこんで、噛んで含めるように、僕は言った。
「わからないのか? これも調教のひとつなんだ。水着だけじゃない。俺と一緒に外出するには、まだほかにも条件がある」
「条件って…?」
「まあ、いい。とにかく、いったん家の中に入れ」
 僕は、立ちすくむ妹の肩を押す。
「う、うん…」
 妹が、ロボットのような足取りで、ぎこちなく歩き出した。

 妹はシャワーを浴びに浴室に入っていくと、やがてバスローブを裸身に巻いただけの姿で戻ってきた。
 それはそれでひどくそそる眺めではあったが、僕にはまだやるべきことがあった。
「先に着替えてこい」
 そう言い置いて、姉の部屋に忍び込む。
 以前見つけた机の引き出しの隠し空間とは別に、衣裳箪笥の最下段にも同じような仕掛けがある。
 それをこの一週間の間に、僕は発見していたのだ。
 ”宝物”を分散して隠す。
 神経の細かい姉のやりそうなことである。
 衣装箪笥の最下段の引き出しは、当然ながら机の引き出しよりスペースが広い。
 だから、引き出しの二重底の下に隠された空間も広く、更に色々なものが隠されていた。
 SMグッズ、潤滑油代わりの媚薬入りローション、そして僕がかつて姉との情事に使ったアダルトグッズの数々…。
 どれも近いうちに使うことになりそうだ。
 これだけあれば、夏休み中、存分に楽しめるに違いない。
 だが、今日は舞台が家の外である。
 あまり重装備は持ち歩けない。
 とりあえず今日のところは、これでいこう。
 僕が手に取ったのは、小指より細い極小ローターである。
 直径8ミリ、長さ2センチ。
 これでも超強力モーター内蔵で、20パターンの振動を使い分けることができる優れものだ。
 が、このアイテムの最も優れた点は、完全にワイヤレスであるところだった。
 半径5メートル以内なら、別の発信機でON/OFFの切り替えや強度の変更ができる仕組みになっている。
 すなわちこれは、外出時に女性に装着させるための、調教用アダルトグッズなのだ。
 Gスポット攻略はおろか、尿道を”開発”するためにも使用されるらしい。
 姉を究極の性奴に変えるために、以前僕がネット通販で購入したものである。
 この前、机の中にローターとバイブを見つけた時、もしや思ったのだが、やはり残っていた。
 結婚の記念に僕はそうしたグッズ一式を姉に進呈したのだが、彼女はそれらをすべて実家に置いていったのだ。
 新たな門出を前に、実の弟との爛れた過去を、彼女なりに清算したかったのかもしれない。
「これでいい?」
 引き出しを元に戻した時、背後で妹の声がした。
 肩越しに振り向くと、戸口に新しいスクール水着に着替えた妹が佇んでいた。
 その姿をひと目見るなり、僕は思わず息を呑んだ。
「お、おまえ…その水着、どうしたんだ?」
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