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第329話 息子の異変(前編)
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30歳を目前にして、ようやく結婚することができた。
結婚後も仕事は続けることにして、彼と私の職場のちょうど中間地点に、マンションを借りることにした。
親族だけのささやかな式を挙げ、しばらくは幸せの絶頂期が続いた。
結婚相談所を通じて知り合った彼はとても優しく、これまで付き合ったどの男性よりも私を愛してくれたからだ。
順調な生活に少し躓きを覚え始めたのは、結婚後2年して、子供ができた頃からだった。
正直、彼の収入だけでは生活が厳しかった。
だから、子供ができたからといって、私が仕事を辞めるわけにはいかなかったのだ。
幸い、近所に彼の母が住んでいた。
連れ合いを早くに失くした義母は長い間彼とふたりで暮らしていて、彼が私と一緒になった後も、その古い一軒家で暮らしていた。
「明夫は私が預かってあげるから」
私の妊娠を知った時、義母はそう言ってくれ、事実出産後も、ほとんど毎日のようにうちに来て、昼の間、生まれたての赤ん坊の明夫の世話をしてくれたのだったけど…。
実のところ、私はこの義母がちょっぴり苦手だった。
粘着質、というのか、しゃべり方も、彼への接し方も、なんとなく、ネチャネチャしていて気持ち悪いのだ。
特に後者はひどかった。
親子なのに、異様にボディタッチが多いのである。
私の前でも必要以上にべたべたするので、彼も時々怒って「やめろよ」とまとわりつくその手を振り払ったりすることがよくあった。
そのベタベタが、孫の明夫ができてから緩和され、彼への態度も多少控えめなものに変わったのはいいのだがー。
今度は、孫への密着ぶりが尋常ではなくなってきたのだ。
ある日のことだった。
仕事中に生理が来て体調を崩した私は、いつもよりかなり早めに家に帰った。
その日も義母が来ていて、明夫の面倒を見ていてくれるはずだった。
「ただいま」
倒れ込むように居間に入ってきた私を見て、
「あら、加奈さん、どうしたの?」
明夫を抱いたまま振り向いた義母が目を丸くした。
が…。
驚愕したのは、むしろ私のほうだった。
目の前の光景に、私は腹痛も忘れ、うめくように声を絞り出していた。
「お、お義母さん、あ、あなた、明夫に、何してるんですか?」
結婚後も仕事は続けることにして、彼と私の職場のちょうど中間地点に、マンションを借りることにした。
親族だけのささやかな式を挙げ、しばらくは幸せの絶頂期が続いた。
結婚相談所を通じて知り合った彼はとても優しく、これまで付き合ったどの男性よりも私を愛してくれたからだ。
順調な生活に少し躓きを覚え始めたのは、結婚後2年して、子供ができた頃からだった。
正直、彼の収入だけでは生活が厳しかった。
だから、子供ができたからといって、私が仕事を辞めるわけにはいかなかったのだ。
幸い、近所に彼の母が住んでいた。
連れ合いを早くに失くした義母は長い間彼とふたりで暮らしていて、彼が私と一緒になった後も、その古い一軒家で暮らしていた。
「明夫は私が預かってあげるから」
私の妊娠を知った時、義母はそう言ってくれ、事実出産後も、ほとんど毎日のようにうちに来て、昼の間、生まれたての赤ん坊の明夫の世話をしてくれたのだったけど…。
実のところ、私はこの義母がちょっぴり苦手だった。
粘着質、というのか、しゃべり方も、彼への接し方も、なんとなく、ネチャネチャしていて気持ち悪いのだ。
特に後者はひどかった。
親子なのに、異様にボディタッチが多いのである。
私の前でも必要以上にべたべたするので、彼も時々怒って「やめろよ」とまとわりつくその手を振り払ったりすることがよくあった。
そのベタベタが、孫の明夫ができてから緩和され、彼への態度も多少控えめなものに変わったのはいいのだがー。
今度は、孫への密着ぶりが尋常ではなくなってきたのだ。
ある日のことだった。
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その日も義母が来ていて、明夫の面倒を見ていてくれるはずだった。
「ただいま」
倒れ込むように居間に入ってきた私を見て、
「あら、加奈さん、どうしたの?」
明夫を抱いたまま振り向いた義母が目を丸くした。
が…。
驚愕したのは、むしろ私のほうだった。
目の前の光景に、私は腹痛も忘れ、うめくように声を絞り出していた。
「お、お義母さん、あ、あなた、明夫に、何してるんですか?」
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