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第282話 ギャクタイ
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「また漏らしちゃったの? もう、布団がぐしょぐしょじゃない!」
「ご、ごめんなさい…」
ママが掛け布団を引っ張り、ボクをベッドから転げ落とした。
「オムツしなきゃなんない歳でもないのに、いったい何考えてるの?」
足蹴にされたボクは、ほうほうの体でリビングへと逃げ出した。
「やだ、床におしっこがついたじゃないの! 早く脱ぎなさい! 早く!」
「ああ、ママ、ご、ごめんなさい…」
シャツもパンツも脱がされ、全裸にされた挙句、
「あんたみたいな子は、どっかいっちゃいなさい! もう帰ってこなくていいから!」
玄関から外に放り出されてしまった。
アパートの廊下には誰もいない。
切れかけた電灯がパカパカしていてそれもこわい。
しかも、外は夜だから暗くてしとしとと小雨が降っている。
裸の身にはさすがに寒かった。
「ママ、ごめんよう…。お願い、開けて…中に入れて…」
ドアに縋りつき、訴える。
ボクときたらいつもこうだ。
いつもいつも、ママの気に障ることをしでかしてしまう。
ママに気に入られることだけが、ボクの生き甲斐なのに、最近では、なぜか一緒に寝てもくれないのだ。
「ママ…ママ…寒いよ…このままだと、ボク、こごえて、死んじゃうよ…」
ドアに縋りついてどれだけ哀れっぽくすすり泣いても、反応はなかった。
部屋の中からは、かすかにテレビの音が聴こえてくるだけだ。
その合間に時々挟まる、ママの笑い声。
どうやらママはボクのことなど、すっかり忘れてしまっているらしい。
どれだけ時間が経ったのか。
寒さでまたしても尿意がぶりかえしてきて、僕は思わず身震いした。
まずい。
このままでは、また漏らしてしまう。
尿意の強さは、下半身にも如実に表れていた。
おちんちんが固くなり始めているのだ。
こんなところでちびったりしたら、ママがどんなに怒り狂うことか。
そう思うと、悲しくて泣きたくなってきた。
どうしよう…?
周りを見回したボクは、ふと思い出した。
そうだ。
隣の403号室には、やさしそうなお姉さんが住んでいたはずだ。
あの人なら、中に入れてくれるかもしれない…。
隣のドアの前まで這って行って、低い姿勢から手だけ伸ばし、インターフォンのボタンを押した。
何度も押していると、
「どなたさまですか?」
ドアの向こうから、か細い声がした。
「隣の、404号室のカズキって、いいます。ママに、追い出されちゃって…。その、もう、寒くって…」
「カズキ、くん? まあ、かわいそうに…。ちょっと、待ってて」
ガチャリ。
ドアチェーンの外れる音がした。
「でも、お隣に、子供さんなんていたかしら?」
隙間から若い女の人の顔がのぞいた。
そのとたん、
「きゃっ!」
女の人が悲鳴を上げた。
「どうしたんですか?」
ドアを閉められないようにと、とっさに隙間に足を滑り込ませて、ボクは訊いた。
まん丸に見開かれた女の人の目には、真っ裸のボクが映っている。
それは、股間のイチモツを醜く膨らませた、小太りで髪の薄い無様な中年男の裸体だった。
「ご、ごめんなさい…」
ママが掛け布団を引っ張り、ボクをベッドから転げ落とした。
「オムツしなきゃなんない歳でもないのに、いったい何考えてるの?」
足蹴にされたボクは、ほうほうの体でリビングへと逃げ出した。
「やだ、床におしっこがついたじゃないの! 早く脱ぎなさい! 早く!」
「ああ、ママ、ご、ごめんなさい…」
シャツもパンツも脱がされ、全裸にされた挙句、
「あんたみたいな子は、どっかいっちゃいなさい! もう帰ってこなくていいから!」
玄関から外に放り出されてしまった。
アパートの廊下には誰もいない。
切れかけた電灯がパカパカしていてそれもこわい。
しかも、外は夜だから暗くてしとしとと小雨が降っている。
裸の身にはさすがに寒かった。
「ママ、ごめんよう…。お願い、開けて…中に入れて…」
ドアに縋りつき、訴える。
ボクときたらいつもこうだ。
いつもいつも、ママの気に障ることをしでかしてしまう。
ママに気に入られることだけが、ボクの生き甲斐なのに、最近では、なぜか一緒に寝てもくれないのだ。
「ママ…ママ…寒いよ…このままだと、ボク、こごえて、死んじゃうよ…」
ドアに縋りついてどれだけ哀れっぽくすすり泣いても、反応はなかった。
部屋の中からは、かすかにテレビの音が聴こえてくるだけだ。
その合間に時々挟まる、ママの笑い声。
どうやらママはボクのことなど、すっかり忘れてしまっているらしい。
どれだけ時間が経ったのか。
寒さでまたしても尿意がぶりかえしてきて、僕は思わず身震いした。
まずい。
このままでは、また漏らしてしまう。
尿意の強さは、下半身にも如実に表れていた。
おちんちんが固くなり始めているのだ。
こんなところでちびったりしたら、ママがどんなに怒り狂うことか。
そう思うと、悲しくて泣きたくなってきた。
どうしよう…?
周りを見回したボクは、ふと思い出した。
そうだ。
隣の403号室には、やさしそうなお姉さんが住んでいたはずだ。
あの人なら、中に入れてくれるかもしれない…。
隣のドアの前まで這って行って、低い姿勢から手だけ伸ばし、インターフォンのボタンを押した。
何度も押していると、
「どなたさまですか?」
ドアの向こうから、か細い声がした。
「隣の、404号室のカズキって、いいます。ママに、追い出されちゃって…。その、もう、寒くって…」
「カズキ、くん? まあ、かわいそうに…。ちょっと、待ってて」
ガチャリ。
ドアチェーンの外れる音がした。
「でも、お隣に、子供さんなんていたかしら?」
隙間から若い女の人の顔がのぞいた。
そのとたん、
「きゃっ!」
女の人が悲鳴を上げた。
「どうしたんですか?」
ドアを閉められないようにと、とっさに隙間に足を滑り込ませて、ボクは訊いた。
まん丸に見開かれた女の人の目には、真っ裸のボクが映っている。
それは、股間のイチモツを醜く膨らませた、小太りで髪の薄い無様な中年男の裸体だった。
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