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第263話 壁穴
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いつのまにか、壁に穴が開いていた。
それまで、アニメのポスターが貼ってあって、気づかなかったのである。
僕が暮らしているのは、マンションとは名ばかりのボロアパートの一室。
取り柄があるとしたら、職場に近いということだけ。
穴は直径5センチほどで、けっこう大きい。
確か隣は、若い女性だった気がする。
顔ははっきり見たことがないけれど、部屋に入ろうとする後ろ姿を何度か見かけていたからだ。
いけないとは思いつつも、好奇心には勝てなかった。
思い切って覗くと、何やら肌色のものが見えた。
穴が開いているのは、ベッドが接している側の壁である。
もし隣の部屋が似た配置になっているのならやはり穴の向こうはベッドで、彼女は裸で寝ているのかもしれない。
ぞくぞくしてきて更に目を近づけると、肌色が動いて今度は赤い肉がむっちりとこちら側にはみ出てきた。
え?
僕が驚いたのは他でもない。
穴から押し出されるようにして出てきたそれは、明らかにルージュを塗った唇だったからである。
唇は誘うようにうっすらと口を開けている。
ベッドの上に腹這いになり、思い切ってキスしてみた。
温かく湿ったそれは、蕩けるほど柔らかかった。
夢中になって吸っているうちに、僕はたまらなく欲情している自分に気づいた。
明らかに相手も悦んでいる。
それなら、きっと…。
全裸になり、ベッドの上に膝立ちになった。
穴はちょうどいい高さにあった。
固くなったモノを、肉厚の花びらみたいに開いた唇に、ぐいぐい突っ込んだ。
天にも昇る心地とはこのことを言うのだろう。
アアアアアアアア・・・。
得も言われぬ快感に意識が飛びかけた時である。
ガリッ!
嫌な音とともに、凄まじい激痛が僕の股間で爆発した。
支えを失って仰向けに倒れながら、僕は下半身から噴き出る鮮血をただ茫然と眺めていた…。
ーきょう未明、中村町5丁目のアパートで、男性の変死体が発見されました。
死亡が確認されたのはこの部屋に住む佐竹昭雄さん(26歳)で、佐竹さんは全裸のまま、性器を噛みちぎられ、部屋の中央に仰向けに倒れていたということです。現場は窓もドアも内側からカギがかけられた密室で、佐竹さんの身体から切断された例の部位は見つかっていないということです。警察は、最近同町で立て続けに起きている猟奇殺人事件との関連も視野に入れ、失われた佐竹さんの局部を探しています…。
それまで、アニメのポスターが貼ってあって、気づかなかったのである。
僕が暮らしているのは、マンションとは名ばかりのボロアパートの一室。
取り柄があるとしたら、職場に近いということだけ。
穴は直径5センチほどで、けっこう大きい。
確か隣は、若い女性だった気がする。
顔ははっきり見たことがないけれど、部屋に入ろうとする後ろ姿を何度か見かけていたからだ。
いけないとは思いつつも、好奇心には勝てなかった。
思い切って覗くと、何やら肌色のものが見えた。
穴が開いているのは、ベッドが接している側の壁である。
もし隣の部屋が似た配置になっているのならやはり穴の向こうはベッドで、彼女は裸で寝ているのかもしれない。
ぞくぞくしてきて更に目を近づけると、肌色が動いて今度は赤い肉がむっちりとこちら側にはみ出てきた。
え?
僕が驚いたのは他でもない。
穴から押し出されるようにして出てきたそれは、明らかにルージュを塗った唇だったからである。
唇は誘うようにうっすらと口を開けている。
ベッドの上に腹這いになり、思い切ってキスしてみた。
温かく湿ったそれは、蕩けるほど柔らかかった。
夢中になって吸っているうちに、僕はたまらなく欲情している自分に気づいた。
明らかに相手も悦んでいる。
それなら、きっと…。
全裸になり、ベッドの上に膝立ちになった。
穴はちょうどいい高さにあった。
固くなったモノを、肉厚の花びらみたいに開いた唇に、ぐいぐい突っ込んだ。
天にも昇る心地とはこのことを言うのだろう。
アアアアアアアア・・・。
得も言われぬ快感に意識が飛びかけた時である。
ガリッ!
嫌な音とともに、凄まじい激痛が僕の股間で爆発した。
支えを失って仰向けに倒れながら、僕は下半身から噴き出る鮮血をただ茫然と眺めていた…。
ーきょう未明、中村町5丁目のアパートで、男性の変死体が発見されました。
死亡が確認されたのはこの部屋に住む佐竹昭雄さん(26歳)で、佐竹さんは全裸のまま、性器を噛みちぎられ、部屋の中央に仰向けに倒れていたということです。現場は窓もドアも内側からカギがかけられた密室で、佐竹さんの身体から切断された例の部位は見つかっていないということです。警察は、最近同町で立て続けに起きている猟奇殺人事件との関連も視野に入れ、失われた佐竹さんの局部を探しています…。
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