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第244話 墓のない村⑤
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それからどうなったのか、意識がもうろうとして、はっきり覚えていない。
気がつくと、僕は浴衣に着替えさせられ、布団の上に寝かされていた。
薄目を開けると、そこは裸電球がひとつともっただけの薄暗い和室で、傍らに彼女が正座していた。
吐き気は収まっていたけど、胸の奥に得体のしれぬ不快感は残ったままだった。
「ここは?」
半身を起こすと、
「さっきのお部屋。まずは着替えたほうがいいと思ったから…」
幸いなことに、あの気味の悪い料理の数々は綺麗に片づけてあった。
幽霊の掛け軸はそのままだ。
それにしても、ここって、こんなに暗かっただろうか?
天井の裸電球を見上げて、ふと思った。
「ごめんなさいね。この村は色々、普通と違うのよ」
膝でにじり寄ってくると、僕の額に手を当て、彼女が言った。
「そ、そうみたいだね…」
微笑み返したつもりだったが、頬がひきつっただけだった。
普通と違う?
確かにそうだ。
でも、この家の異様さは、そんなレベルだろうか?
魂の抜けたでく人形みたいな両親。
どこからか聴こえてくる奇声。
あり得ない食材を使った、想像を絶する食事。
そしてあの、蛆虫だらけの汚物溜めのような便所…。
この娘は、十数年間、こんな場所で暮らしていたのか。
被差別民。
ここへ来る前、彼女はそう自分のことを卑下して言った。
が、それは僕の認識とかなり違った意味だったのだ。
ここはそもそも、人間の住む場所ですら、ないのではないか…?
正直、今すぐにも逃げ帰りたかった。
婚約など、とんでもない話だった。
これは彼女個人の問題ではない。
結婚となれば、僕はこの忌まわしい家に永久に縛りつけられることになる…。
「何考えてるの?」
ふと我に返ると、彼女が身を乗り出してきていた。
彼女も浴衣に着替えていることに、その時になって僕は初めて気づいた。
浴衣の胸元がはだけて、その下には何も着ていないのかー。
真っ白い肌と、痩せた身体に不似合いなほど豊満な乳房、そしてその頂の薔薇色の蕾が覗いていたからである。
「ひょっとして、ここへ来たこと、後悔してる?」
試すような口調で言い、僕の目をのぞきこむ。
「それとも、私と出会ったこと自体を?」
「……」
答えられなかった。
何を口にしてもうそになる。
そんな気がしたからだった。
無意識に顔を背けると、
「おいしそう…」
妙にうっとりとした声で、彼女がつぶやくのが聴こえてきた。
「そんなことより、まずは身体を綺麗にしましょうか…」
繊細な指がうごめき、僕の浴衣を脱がしていく。
その下から現れたのは、吐しゃ物にまみれた肌だった。
「な、なにを…?」
身を起こそうとする僕を、
「動かないで」
叱咤するように彼女が止めた。
そうして顔を僕の胸に近づけると、舌を突き出して、胸板一面を汚した吐しゃ物を嘗め始めたのだ。
清楚な外見と普段のしとやかな印象からは予想もつかない、あまりに変態的な行為だった。
「おいしい…」
陶然とした表情をその細面の顔に浮かべ、血の滴るような赤い舌で、僕の肌を舐め回す。
「や、やめ…」
最後まで、言えなかった。
舐められる範囲が広がるにつれー。
信じられないことに、僕はひどく倒錯的な快感に襲われ始めたのだった。
いつの間にか、全裸にされていた。
股間で燃え盛るように熱いものが勃ち上がる気配がした。
彼女は僕の下半身の上にかがみこみ、ヌルヌルの舌をその中心部に這わせている。
「種をください」
屹立した竿を旨そうにしゃぶりながら、懇願するような声音で、彼女がささやいた。
「あの世に行く前に、あなたの種を…」
気がつくと、僕は浴衣に着替えさせられ、布団の上に寝かされていた。
薄目を開けると、そこは裸電球がひとつともっただけの薄暗い和室で、傍らに彼女が正座していた。
吐き気は収まっていたけど、胸の奥に得体のしれぬ不快感は残ったままだった。
「ここは?」
半身を起こすと、
「さっきのお部屋。まずは着替えたほうがいいと思ったから…」
幸いなことに、あの気味の悪い料理の数々は綺麗に片づけてあった。
幽霊の掛け軸はそのままだ。
それにしても、ここって、こんなに暗かっただろうか?
天井の裸電球を見上げて、ふと思った。
「ごめんなさいね。この村は色々、普通と違うのよ」
膝でにじり寄ってくると、僕の額に手を当て、彼女が言った。
「そ、そうみたいだね…」
微笑み返したつもりだったが、頬がひきつっただけだった。
普通と違う?
確かにそうだ。
でも、この家の異様さは、そんなレベルだろうか?
魂の抜けたでく人形みたいな両親。
どこからか聴こえてくる奇声。
あり得ない食材を使った、想像を絶する食事。
そしてあの、蛆虫だらけの汚物溜めのような便所…。
この娘は、十数年間、こんな場所で暮らしていたのか。
被差別民。
ここへ来る前、彼女はそう自分のことを卑下して言った。
が、それは僕の認識とかなり違った意味だったのだ。
ここはそもそも、人間の住む場所ですら、ないのではないか…?
正直、今すぐにも逃げ帰りたかった。
婚約など、とんでもない話だった。
これは彼女個人の問題ではない。
結婚となれば、僕はこの忌まわしい家に永久に縛りつけられることになる…。
「何考えてるの?」
ふと我に返ると、彼女が身を乗り出してきていた。
彼女も浴衣に着替えていることに、その時になって僕は初めて気づいた。
浴衣の胸元がはだけて、その下には何も着ていないのかー。
真っ白い肌と、痩せた身体に不似合いなほど豊満な乳房、そしてその頂の薔薇色の蕾が覗いていたからである。
「ひょっとして、ここへ来たこと、後悔してる?」
試すような口調で言い、僕の目をのぞきこむ。
「それとも、私と出会ったこと自体を?」
「……」
答えられなかった。
何を口にしてもうそになる。
そんな気がしたからだった。
無意識に顔を背けると、
「おいしそう…」
妙にうっとりとした声で、彼女がつぶやくのが聴こえてきた。
「そんなことより、まずは身体を綺麗にしましょうか…」
繊細な指がうごめき、僕の浴衣を脱がしていく。
その下から現れたのは、吐しゃ物にまみれた肌だった。
「な、なにを…?」
身を起こそうとする僕を、
「動かないで」
叱咤するように彼女が止めた。
そうして顔を僕の胸に近づけると、舌を突き出して、胸板一面を汚した吐しゃ物を嘗め始めたのだ。
清楚な外見と普段のしとやかな印象からは予想もつかない、あまりに変態的な行為だった。
「おいしい…」
陶然とした表情をその細面の顔に浮かべ、血の滴るような赤い舌で、僕の肌を舐め回す。
「や、やめ…」
最後まで、言えなかった。
舐められる範囲が広がるにつれー。
信じられないことに、僕はひどく倒錯的な快感に襲われ始めたのだった。
いつの間にか、全裸にされていた。
股間で燃え盛るように熱いものが勃ち上がる気配がした。
彼女は僕の下半身の上にかがみこみ、ヌルヌルの舌をその中心部に這わせている。
「種をください」
屹立した竿を旨そうにしゃぶりながら、懇願するような声音で、彼女がささやいた。
「あの世に行く前に、あなたの種を…」
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