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第236話 ひとつ屋根の下のストーカー(前編)
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まただ…。
SNSにアップされた写真を見て、私は蒼ざめた。
脱衣所で全裸になった少女。
真上からのアングルなのではっきり顔は映っていないが、それでもこれが自分であることくらいはすぐわかる。
私は深いため息をついた。
これでもう、何度目だろう。
しかも、写真の内容は、どんどんエスカレートしている。
最初は着衣姿だったのが、パジャマ姿、下着姿となり、そしてついに、裸である。
全部、この家、屋島家の養女になってから、始まったことだった。
交通事故で両親を一度に失った私が、父方の親戚にあたるこの屋島の家に引き取られてから、ほぼ2か月。
私を被写体にしたSNSへの投稿は、ここへきて10日目頃から始まった。
初めは、玄関で靴を履く制服姿の私。
次は、部屋で寝ている私の寝顔。
その次が、部屋で着替え中の私の半裸体。
そしてついにきょうー。
完全な裸の写真を上げられてしまった。
やめさせなければ、絶対に。
このままでは、住所や名前を特定されて、通学途中に勘違いした変態たちの餌食にされかねない…。
嫌悪感を抑えて、私はいままでにアップされた盗撮画像を見比べてみた。
共通点には気づいていた。
アングルである。
SNS上に投稿された写真は全部、真上から撮られたものなのだ。
しかも、撮影場所は、すべてこの家の中。
ただ、そう思って探してみたけど、この家に隠しカメラの類は存在しなかった。
玄関、廊下、私の部屋、そして脱衣所、浴室の中ー。
どこの天井にも、怪しいものはみつからなかったのである。
それともう一つの謎は、誰が盗撮魔か、ということ。
この家に住んでいるのは、私の養父と養母、屋島夫妻だけ。
ふたりとも60代前半の穏やかな人物で、とても盗撮なんて行為をしそうには思えない。
でも、ひとつだけ、気になることがあった。
私の部屋と同じ2階に、使われていない小部屋があるのだ。
養父母の説明だと、そこは、県外の大学に行っている息子の部屋なのだという。
鍵がかかっているわけではないので一度中を覗いたことがあるけど、確かに男子の部屋って感じだった。
それも、ちょっとオタクっぽい…。
壁にはアニメのキャラとかアイドルとかのポスターがいっぱい貼ってあり、本棚は悪趣味なロリコン漫画ばかりだったのだ。
もし、あの部屋の主が、まだこの家に住んでいるのだとしたら、現役の女子中学生である私なんて、かっこうのターゲットであるに違いない。
そんなことを想像すると、ざわっと背筋に悪寒が走った。
でも、それなら、部屋の主は普段、どこにいるのだろう?
2階建てといっても、この家はそこまで大きくはない。
なのに、この2か月間、一度も会ったことがないのである。
くそ、こうなったら…。
私は決意を固めた。
わなを仕掛けて、敵をおびき出すしかない。
ー続くー
SNSにアップされた写真を見て、私は蒼ざめた。
脱衣所で全裸になった少女。
真上からのアングルなのではっきり顔は映っていないが、それでもこれが自分であることくらいはすぐわかる。
私は深いため息をついた。
これでもう、何度目だろう。
しかも、写真の内容は、どんどんエスカレートしている。
最初は着衣姿だったのが、パジャマ姿、下着姿となり、そしてついに、裸である。
全部、この家、屋島家の養女になってから、始まったことだった。
交通事故で両親を一度に失った私が、父方の親戚にあたるこの屋島の家に引き取られてから、ほぼ2か月。
私を被写体にしたSNSへの投稿は、ここへきて10日目頃から始まった。
初めは、玄関で靴を履く制服姿の私。
次は、部屋で寝ている私の寝顔。
その次が、部屋で着替え中の私の半裸体。
そしてついにきょうー。
完全な裸の写真を上げられてしまった。
やめさせなければ、絶対に。
このままでは、住所や名前を特定されて、通学途中に勘違いした変態たちの餌食にされかねない…。
嫌悪感を抑えて、私はいままでにアップされた盗撮画像を見比べてみた。
共通点には気づいていた。
アングルである。
SNS上に投稿された写真は全部、真上から撮られたものなのだ。
しかも、撮影場所は、すべてこの家の中。
ただ、そう思って探してみたけど、この家に隠しカメラの類は存在しなかった。
玄関、廊下、私の部屋、そして脱衣所、浴室の中ー。
どこの天井にも、怪しいものはみつからなかったのである。
それともう一つの謎は、誰が盗撮魔か、ということ。
この家に住んでいるのは、私の養父と養母、屋島夫妻だけ。
ふたりとも60代前半の穏やかな人物で、とても盗撮なんて行為をしそうには思えない。
でも、ひとつだけ、気になることがあった。
私の部屋と同じ2階に、使われていない小部屋があるのだ。
養父母の説明だと、そこは、県外の大学に行っている息子の部屋なのだという。
鍵がかかっているわけではないので一度中を覗いたことがあるけど、確かに男子の部屋って感じだった。
それも、ちょっとオタクっぽい…。
壁にはアニメのキャラとかアイドルとかのポスターがいっぱい貼ってあり、本棚は悪趣味なロリコン漫画ばかりだったのだ。
もし、あの部屋の主が、まだこの家に住んでいるのだとしたら、現役の女子中学生である私なんて、かっこうのターゲットであるに違いない。
そんなことを想像すると、ざわっと背筋に悪寒が走った。
でも、それなら、部屋の主は普段、どこにいるのだろう?
2階建てといっても、この家はそこまで大きくはない。
なのに、この2か月間、一度も会ったことがないのである。
くそ、こうなったら…。
私は決意を固めた。
わなを仕掛けて、敵をおびき出すしかない。
ー続くー
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