超短くても怖い話【ホラーショートショート集】

戸影絵麻

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第229話 ある女教師の聖なる犯罪(後編)

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最後に会った日ですか?
 確か、一週間前の日曜日だったと思います。
 会うなり、いきなり告げられたんです。
 真っ青な顔をして、両親にバレたから、もう会えないと・・・。
 仕方ないですよね。
 いつかこんな日がくるとは思ってましたから。
 むしろ、彼には、こんなおばちゃんにいい夢見せてくれて、ありがとうと言いたいです。
 ただ、ちょっと残念なのは、お別れの真相が、他にあったらしいこと。
 そのあと少しして、私、見ちゃったんです。
 彼が、可愛らしい女の子と、私服で街を歩いてるところを…。
 嫉妬、ですか?
 まあ、ぜんぜん胸が痛まなかったといえば、うそになりますね。
 彼は私が生まれて初めて身体を許した、ただひとりの男性でしたから。
 でも…。
 こう見えて、私も、大人の女です。
 教職者という立場も、一応、わきまえているつもりです。
 ですから、愉しそうに笑いながら手をつないで歩くふたりを見た時、心の中で祝福を送りましたよ。
 頑張ってね。
 君には私より、その子のほうがずっと似合ってる。
 そのほうが、君にとって、良いに決まってる。
 だって、若い君には、輝かしい未来があるのだから…って。

 え?
 彼がいなくなった?
 行方ですか?
 さあ・・・私にはわかりません。
 あれから、一度も会っていませんから・・・。
 はあ、見てほしいものがある?
 それはなんですか?
 あら、もしかしてそれ、私のお弁当箱・・・?
 そうでした。お昼休みに食べようと思って、忘れてましたね。
 突然、ここへ連れてこられてしまったのでー。
 あ、勝手に蓋を開けないでくださいませんか?
 え? このおかずはなんだ、ですって?
 見ての通りですよ。ただのウインナーソーセージです。
 え?
 こっちですか?
 このふたつは銀杏ですよ。ギンナン。
 私、この苦さが大好きなんです。
 は? 血痕?
 お米に血がしみ込んでる?
 あれ? おかしいですねえ。
 そんなはず、ないんですけど。
 だって…。
 切断した後しっかり血抜きをしましたし、今朝解凍してからも、隅々までちゃんと綺麗に洗ったはずですからー。
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