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第174話 クローズドサークルの殺人【解決編】
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パニックになる前に、もう一度冷静に考えてみよう。
まず、死因だ。
4人の死体に外傷はなかった。
僕は専門の検視官じゃないから何とも言えないが、少なくとも刺殺や絞殺などではないことがわかる。
ならば、病気だろうか。
しかし、それなら、僕だけぴんぴんしている理由がわからない。
食事に毒が入っていたという可能性も、同様の理由で”なし”だろう。
僕らは同じものを食べていたし、各部屋の冷蔵庫の中身も同一だからだ。
外部からの侵入の痕跡がなく、他の4人がみんな死んでいるということは、論理的に考えると、犯人は…。
この僕しかいないことになる。
でも、僕には彼らを殺した記憶もないし、第一、動機がない。
4人とも大学のサークルの仲間で、仲のいい友人たちなのである。
となるとー。
考えられる可能性は、ただ一つ。
少々突飛かもしれないが、原因は、僕の体内にあるのではないか?
例えば何か未知の寄生生物が僕の体の中に潜んでいて、そいつが夜な夜な外に出て、他の4人に寄生したとか。
なぜ僕だけが死なないのかというと、それは僕が長年そいつの宿主をやっていて、身体が寄生されるのに順応しているからで…。
そういえば、ここのところずっと、腹の調子がおかしかった。
便秘気味というか、いくら排泄してもしたりないような…。
あれはもしや、腸内に何物かが潜んでいるからではないのか…?
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
僕はキッチンに行き、包丁を取り出した。
確かめてみよう。
もう、それしかない。
寄生生物を無理やり取り出したら僕も死ぬかもしれないが、その時はその時のことだ。
仲間の弔いのためにも、僕には真相を明らかにする義務があるー。
翌日。
大雪の撤去が終わり、山荘にK社の修理班がやってきた。
「電池切れですね、極度の低温で、バッテリーがいかれたようです。4体とも同じ時期に作られたアンドロイドですからもしかすると、最初から不具合があったのかもしれません」
「彼らの緊急信号発信で事態が判明したのはいいにしても、これはいったいどういうことなんだ? なぜ、被験者が死んでいる? しかも、自分で切腹みたいなマネまでして?」
「さあ…。よほど精神を病んでいたんじゃないでしょうか。それが、ケアマネージャーのアンドロイドたちが一斉に動かなくなったのを見て、絶望してしまったとか…」
「ありえるな。せっかくの”ぼっち”支援プロジェクトだったのに…残念なことだ」
修理係たちの前には、動かなくなった4体のアンドロイドの機体と、血だらけになり、裂けた下腹部からあふれ出る自らの腸にまみれた若者の死体が横たわっていた。
まず、死因だ。
4人の死体に外傷はなかった。
僕は専門の検視官じゃないから何とも言えないが、少なくとも刺殺や絞殺などではないことがわかる。
ならば、病気だろうか。
しかし、それなら、僕だけぴんぴんしている理由がわからない。
食事に毒が入っていたという可能性も、同様の理由で”なし”だろう。
僕らは同じものを食べていたし、各部屋の冷蔵庫の中身も同一だからだ。
外部からの侵入の痕跡がなく、他の4人がみんな死んでいるということは、論理的に考えると、犯人は…。
この僕しかいないことになる。
でも、僕には彼らを殺した記憶もないし、第一、動機がない。
4人とも大学のサークルの仲間で、仲のいい友人たちなのである。
となるとー。
考えられる可能性は、ただ一つ。
少々突飛かもしれないが、原因は、僕の体内にあるのではないか?
例えば何か未知の寄生生物が僕の体の中に潜んでいて、そいつが夜な夜な外に出て、他の4人に寄生したとか。
なぜ僕だけが死なないのかというと、それは僕が長年そいつの宿主をやっていて、身体が寄生されるのに順応しているからで…。
そういえば、ここのところずっと、腹の調子がおかしかった。
便秘気味というか、いくら排泄してもしたりないような…。
あれはもしや、腸内に何物かが潜んでいるからではないのか…?
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
僕はキッチンに行き、包丁を取り出した。
確かめてみよう。
もう、それしかない。
寄生生物を無理やり取り出したら僕も死ぬかもしれないが、その時はその時のことだ。
仲間の弔いのためにも、僕には真相を明らかにする義務があるー。
翌日。
大雪の撤去が終わり、山荘にK社の修理班がやってきた。
「電池切れですね、極度の低温で、バッテリーがいかれたようです。4体とも同じ時期に作られたアンドロイドですからもしかすると、最初から不具合があったのかもしれません」
「彼らの緊急信号発信で事態が判明したのはいいにしても、これはいったいどういうことなんだ? なぜ、被験者が死んでいる? しかも、自分で切腹みたいなマネまでして?」
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「ありえるな。せっかくの”ぼっち”支援プロジェクトだったのに…残念なことだ」
修理係たちの前には、動かなくなった4体のアンドロイドの機体と、血だらけになり、裂けた下腹部からあふれ出る自らの腸にまみれた若者の死体が横たわっていた。
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