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第169話 トイレの神様
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新年早々、トイレが壊れた。
正月三が日は修理業者も休みらしく、どこへ電話してもつながらない。
ネット検索しまくって、やっと見つけたのは、『何でも屋ヤプー』なる怪しげな会社だった。
でも、背に腹は代えられない。
藁にもすがる気持ちで連絡すると、すぐに来てくれるという。
1時間後。
やってきたのは、作業着姿のおじさんと、小学生くらいの男の子の二人組だった。
気味が悪いのはその男の子のほうで、妙に口が大きく、関節が外れたように下顎が胸のあたりまで垂れている。
「さっそく始めますか」
おじさんが言うと、少年が服を脱いで全裸になった。
「ちょ、ちょっと、何を…」
「いいから、お客様はそこで見ててください。まず、便器を取り外して、と」
洋式便器を撤去すると、そのあとに空いた穴に全裸の少年が座り込んだ。
両膝を開き、その上に両手を添え、首をのけぞらせて例の巨大な口を限界まで開く。
「おまたせしました。完成です」
得意げなおじさんの言葉に、私は茫然となった。
今まで便器のあったところに、少年の口がある。
あまりに口が大きいので、小さな体はほとんど見えないのだ。
「な、なに、これ…?」
「わが社自慢の肉便器です。水道代もかからないし、自前の舌で後処理も完璧にしてくれます。すごく気持ちいいと特に女性のお客様からは大評判なのですよ」
あの口の中にお尻を入れて、椅子の肘みたいな形に固定されている少年の両腕で身体を支えるのだろう。
「見た目は少しグロいですが、使い勝手の良さは保証します。とにかく一度、お使いください」
言われるまでもなかった。
さっきからずっと我慢しているのだ。
「わかったから、あっち行ってて」
原初の欲求には勝てなかった。
私はおじさんを追い出すと、スカートと下着を下ろし、少年の顔の上に坐り込んだ。
「いかがでしたか?」
数分後、用を足して出てきた私におじさんが声をかけてきた。
興奮冷めやらぬ至福の境地のまま、
「最高」
頬を染めてうなずいた。
これなら確かに、水道代はタダ。
おまけに、トイレットペーパーもナプキンもいらないのだ。
しかも、舐めてもらう時、めっちゃ気持ちよくって、危うくイッちゃいそうになる。
こんな素敵なトイレ、ほかにあるだろうか。
「レンタルで結構ですし、むろん餌代も不要です」
にこっと笑っておじさんが言う。
「生きてるのに、なんにも食べさせなくてもいいっていうの?」
びっくりして訊くと、おじさんが大きくうなずいた。
「ええ」
その瞬間、おじさんの笑顔が下衆っぽく歪んだように見えたのは、私の気のせいだろうか。
「だって、あいつの主食は、お客様の排泄物全般なんですから」
正月三が日は修理業者も休みらしく、どこへ電話してもつながらない。
ネット検索しまくって、やっと見つけたのは、『何でも屋ヤプー』なる怪しげな会社だった。
でも、背に腹は代えられない。
藁にもすがる気持ちで連絡すると、すぐに来てくれるという。
1時間後。
やってきたのは、作業着姿のおじさんと、小学生くらいの男の子の二人組だった。
気味が悪いのはその男の子のほうで、妙に口が大きく、関節が外れたように下顎が胸のあたりまで垂れている。
「さっそく始めますか」
おじさんが言うと、少年が服を脱いで全裸になった。
「ちょ、ちょっと、何を…」
「いいから、お客様はそこで見ててください。まず、便器を取り外して、と」
洋式便器を撤去すると、そのあとに空いた穴に全裸の少年が座り込んだ。
両膝を開き、その上に両手を添え、首をのけぞらせて例の巨大な口を限界まで開く。
「おまたせしました。完成です」
得意げなおじさんの言葉に、私は茫然となった。
今まで便器のあったところに、少年の口がある。
あまりに口が大きいので、小さな体はほとんど見えないのだ。
「な、なに、これ…?」
「わが社自慢の肉便器です。水道代もかからないし、自前の舌で後処理も完璧にしてくれます。すごく気持ちいいと特に女性のお客様からは大評判なのですよ」
あの口の中にお尻を入れて、椅子の肘みたいな形に固定されている少年の両腕で身体を支えるのだろう。
「見た目は少しグロいですが、使い勝手の良さは保証します。とにかく一度、お使いください」
言われるまでもなかった。
さっきからずっと我慢しているのだ。
「わかったから、あっち行ってて」
原初の欲求には勝てなかった。
私はおじさんを追い出すと、スカートと下着を下ろし、少年の顔の上に坐り込んだ。
「いかがでしたか?」
数分後、用を足して出てきた私におじさんが声をかけてきた。
興奮冷めやらぬ至福の境地のまま、
「最高」
頬を染めてうなずいた。
これなら確かに、水道代はタダ。
おまけに、トイレットペーパーもナプキンもいらないのだ。
しかも、舐めてもらう時、めっちゃ気持ちよくって、危うくイッちゃいそうになる。
こんな素敵なトイレ、ほかにあるだろうか。
「レンタルで結構ですし、むろん餌代も不要です」
にこっと笑っておじさんが言う。
「生きてるのに、なんにも食べさせなくてもいいっていうの?」
びっくりして訊くと、おじさんが大きくうなずいた。
「ええ」
その瞬間、おじさんの笑顔が下衆っぽく歪んだように見えたのは、私の気のせいだろうか。
「だって、あいつの主食は、お客様の排泄物全般なんですから」
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