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第146話 見えない強姦魔(中編)
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「う~ん、なんだろ」
いくら写真をにらみつけても、わからない。
元来あたしは、”間違い探し”の類いは苦手なのだ。
「ほんとにあんたは見掛け倒しだね」
勝ち誇ったように鼻を鳴らす律子。
「IQ200超のあなたと比べないでよ。気づいたなら意地悪しないで教えてよね」
律子の言う通り、見掛け倒しのあたしとしては、ここは白旗上げるしかない。
知恵比べでこの友人に勝てたことなど一度もないのだから。
「その前に確認したいんだけどさ」
電子タバコを咥えると、律子が声のトーンを変えた。
「連続強姦事件っていうけど、被害者たちは本当に性的被害に遭ってるの? 集団妄想ってことはない?」
「まさか」
あたしはオーバーにかぶりを振った。
「発見時、被害者たちはみんな服装が乱れてたし、皮膚には複数の擦り傷等も。しかも、そのうち4人の性器からは同じDNAの体液が検出されている。みんな、その…バックからいきなり犯されたみたい」
4人と断ったのは、最後のひとりが未遂で終わっているからである。
「なるほどね。じゃあ、やっぱり、これしかないか」
写真を見つめる律子の細い目が、銀縁メガネの奥できらりと光った。
「わからない? 鏡だよ」
「は?」
「どの現場にも、等身大か、それに近い大きさの姿見がある」
「それがどうしたの?」
そんなことなら、言われなくてもわかってる。
試着室や女子更衣室、ホテルの部屋に鏡はつきものだろう。
「これが、犯人の通り道」
何でもないことのように、律子が続けた。
「犯人は、鏡から出てきて、事が済むと、鏡の中に逃げたんだよ」
「は、はあ? な、何それ?」
目が点になった。
この女、何を言い出すのだ?
研究室に籠り過ぎて、ついに頭がイカレたのだろうか?
「馬鹿も休み休み言いなよ。鏡を通り抜けられるなんて、そんな人間いるわけないじゃん!」
「いるもいないも、論理的帰結なんだから仕方ないでしょうが。どの現場にも犯人が出入りした形跡がない。つまり、どれも密室で、”出入口”がないのは、あんたたち一課の刑事と鑑識がいやというほど調べた結果でしょ」
「でも、だからと言って…」
「鏡人間、いえ、”鏡人”とでもいうべきかしら。そんなやつらが人間社会に紛れ込んで、陰で悪さをしでかしている…。そんな可能性も、ゼロではないと思うけど」
「キョウジン?」
あたしは絶句した。
それを言うなら、律子、むしろあなたが狂人なんじゃない?
思わずそう言い返したくなったのだ。
いくら写真をにらみつけても、わからない。
元来あたしは、”間違い探し”の類いは苦手なのだ。
「ほんとにあんたは見掛け倒しだね」
勝ち誇ったように鼻を鳴らす律子。
「IQ200超のあなたと比べないでよ。気づいたなら意地悪しないで教えてよね」
律子の言う通り、見掛け倒しのあたしとしては、ここは白旗上げるしかない。
知恵比べでこの友人に勝てたことなど一度もないのだから。
「その前に確認したいんだけどさ」
電子タバコを咥えると、律子が声のトーンを変えた。
「連続強姦事件っていうけど、被害者たちは本当に性的被害に遭ってるの? 集団妄想ってことはない?」
「まさか」
あたしはオーバーにかぶりを振った。
「発見時、被害者たちはみんな服装が乱れてたし、皮膚には複数の擦り傷等も。しかも、そのうち4人の性器からは同じDNAの体液が検出されている。みんな、その…バックからいきなり犯されたみたい」
4人と断ったのは、最後のひとりが未遂で終わっているからである。
「なるほどね。じゃあ、やっぱり、これしかないか」
写真を見つめる律子の細い目が、銀縁メガネの奥できらりと光った。
「わからない? 鏡だよ」
「は?」
「どの現場にも、等身大か、それに近い大きさの姿見がある」
「それがどうしたの?」
そんなことなら、言われなくてもわかってる。
試着室や女子更衣室、ホテルの部屋に鏡はつきものだろう。
「これが、犯人の通り道」
何でもないことのように、律子が続けた。
「犯人は、鏡から出てきて、事が済むと、鏡の中に逃げたんだよ」
「は、はあ? な、何それ?」
目が点になった。
この女、何を言い出すのだ?
研究室に籠り過ぎて、ついに頭がイカレたのだろうか?
「馬鹿も休み休み言いなよ。鏡を通り抜けられるなんて、そんな人間いるわけないじゃん!」
「いるもいないも、論理的帰結なんだから仕方ないでしょうが。どの現場にも犯人が出入りした形跡がない。つまり、どれも密室で、”出入口”がないのは、あんたたち一課の刑事と鑑識がいやというほど調べた結果でしょ」
「でも、だからと言って…」
「鏡人間、いえ、”鏡人”とでもいうべきかしら。そんなやつらが人間社会に紛れ込んで、陰で悪さをしでかしている…。そんな可能性も、ゼロではないと思うけど」
「キョウジン?」
あたしは絶句した。
それを言うなら、律子、むしろあなたが狂人なんじゃない?
思わずそう言い返したくなったのだ。
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