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第125話 究極ののぞき
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ニュースを見て、これだ、と思った。
これぞ、究極の”のぞき”。
この方法なら、女子高生のスカートの中が見放題じゃないか。
そのニュースは、歩道際の側溝に潜んで通行人の女性たちの下着をスマホで盗撮していた若者が捕まった、というものだった。
側溝の中に潜む、か。
なるほど、そいつはいい。
俺は感動した。
気がつかなかった。
そんな効率の良い窃視法があったとは。
早速試してみることにした。
家の近くにも女子中学生や女子高生の通学路があり、車道との間にはもちろん側溝も設置されている。
むろん、先駆者のあの変態みたいに捕まっては元も子もないから、工夫が必要だ。
早朝、古着屋で買った迷彩服を着て、スマホ片手に家を出ると、俺は問題の場所に向かった。
思った通り、側溝を覆う金属の格子は清掃用に所々外してあり、そこから中に入ることが可能になっていた。
周囲に人の気配がないことを確かめ、側溝の中に降り、仰向けに寝そべった。
これも予想通り、秋という季節柄、側溝の底は落葉でいっぱいだ。
俺はカモフラージュのために落葉をたっぷり身体の上にかけ、目元以外は見えないようにした。
準備完了である。
これであとは獲物が通りかかるのを待つだけだ。
ほどなくして、少女たちの小鳥のさえずりみたいな笑い声が近づいてきた。
来た!
興奮で下半身がカッと熱くなる。
ズボンの前のふくらみが枯葉を持ち上げて山を作った。
軽やかな足音とともに、かわいらしい笑い声がどんどん大きくなる。
来い、さあ、来い!
俺は枯葉の下から両手だけを出して、胸の所でスマホを構えた。
こんなチャンス、めったにない。
当然、記録に残しておくべきだろう。
俺の立場なら、男なら誰でも、きっとそう思うに違いない。
頭の上のほうで、白いソックスとスニーカーの底が、ちらりと見えた、その時だった。
ーきゃああっ!
突然、少女たちの悲鳴が上がったかと思うと、
キキキキッ!
タイヤの軋むような音が鳴り響いた。
な、なんだ?
飛び起きようとして、俺はしたたかに側溝の鉄格子に額を打ち付けた。
「いててて…」
涙にかすむ目に、信じられない光景が飛び込んできたのは、その時だ。
タンクローリーが、倒れてくる。
その回転するタンクが車体から外れ、中の生コンをまき散らしながら、俺の真上にー。
「ぎゃああああ! 助けてくれえ!」
格子の隙間からなだれ込む熱いコンクリートに溺れながら、俺は喉も枯れよとばかりに絶叫した。
これぞ、究極の”のぞき”。
この方法なら、女子高生のスカートの中が見放題じゃないか。
そのニュースは、歩道際の側溝に潜んで通行人の女性たちの下着をスマホで盗撮していた若者が捕まった、というものだった。
側溝の中に潜む、か。
なるほど、そいつはいい。
俺は感動した。
気がつかなかった。
そんな効率の良い窃視法があったとは。
早速試してみることにした。
家の近くにも女子中学生や女子高生の通学路があり、車道との間にはもちろん側溝も設置されている。
むろん、先駆者のあの変態みたいに捕まっては元も子もないから、工夫が必要だ。
早朝、古着屋で買った迷彩服を着て、スマホ片手に家を出ると、俺は問題の場所に向かった。
思った通り、側溝を覆う金属の格子は清掃用に所々外してあり、そこから中に入ることが可能になっていた。
周囲に人の気配がないことを確かめ、側溝の中に降り、仰向けに寝そべった。
これも予想通り、秋という季節柄、側溝の底は落葉でいっぱいだ。
俺はカモフラージュのために落葉をたっぷり身体の上にかけ、目元以外は見えないようにした。
準備完了である。
これであとは獲物が通りかかるのを待つだけだ。
ほどなくして、少女たちの小鳥のさえずりみたいな笑い声が近づいてきた。
来た!
興奮で下半身がカッと熱くなる。
ズボンの前のふくらみが枯葉を持ち上げて山を作った。
軽やかな足音とともに、かわいらしい笑い声がどんどん大きくなる。
来い、さあ、来い!
俺は枯葉の下から両手だけを出して、胸の所でスマホを構えた。
こんなチャンス、めったにない。
当然、記録に残しておくべきだろう。
俺の立場なら、男なら誰でも、きっとそう思うに違いない。
頭の上のほうで、白いソックスとスニーカーの底が、ちらりと見えた、その時だった。
ーきゃああっ!
突然、少女たちの悲鳴が上がったかと思うと、
キキキキッ!
タイヤの軋むような音が鳴り響いた。
な、なんだ?
飛び起きようとして、俺はしたたかに側溝の鉄格子に額を打ち付けた。
「いててて…」
涙にかすむ目に、信じられない光景が飛び込んできたのは、その時だ。
タンクローリーが、倒れてくる。
その回転するタンクが車体から外れ、中の生コンをまき散らしながら、俺の真上にー。
「ぎゃああああ! 助けてくれえ!」
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