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第123話 パラサイト
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「ハリガネムシって知ってる?」
いきなりユースケが話し出した。
お昼休みの学食。
ユースケはざるそば、私はキツネうどんという、実にシンプルなランチである。
「知らない」
私はかぶりを振った。
虫と聞いただけでぞっとする。
飯食ってる時にそんな話題振るなよ、とちょっとむっとした。
「ハリガネムシってすごいんだぜ。カマキリの体内に寄生するんだけどさあ、寄生した後、カマキリの脳を操って、水際まで誘導して、溺れさせるんだ。そうして、水中に産卵する。つまり、ハリガネムシに寄生されたカマキリは、哀れなことに、ゾンビになっちゃうってわけ」
「何それ、キモ! だいたい、ハリガネムシって何なのよ?」
「知らないの? 線虫の一種でさ、長さはこれくらい…」
その時だった。
ぽとり。
ユースケの手から箸が落ちた。
ふらっと立ち上がる。
「どうしたの? もう食べないの?」
ざるそばはまだ半分近く残っている。
食いしん坊のユースケには珍しいことだ。
が、ユースケはうつろな目をして私を見返すばかり。
そのうちにふらふら歩き出して、学食を出て行ってしまった。
ちょ、ちょっと、急に何なのよ!」
あわてて追いかけた私は見た。
学食の前は、私たち学生の憩いのための広場になっている。
その中央にある噴水の池に、ユースケは頭を突っ込んで倒れていた。
「ユースケ!」
駆け寄った私は、一目見た瞬間、悲鳴を上げた。
水につかったユースケの耳や鼻、そして口から、白いミミズみたいなものがゆらゆら湧き出している。
それは、ついさっきまで彼が食べていたそばだった。
いや、違う。
そばに似た、何か。
生き物、みたいなもの…。
ひょっとしてこれ、寄生虫…?
いきなりユースケが話し出した。
お昼休みの学食。
ユースケはざるそば、私はキツネうどんという、実にシンプルなランチである。
「知らない」
私はかぶりを振った。
虫と聞いただけでぞっとする。
飯食ってる時にそんな話題振るなよ、とちょっとむっとした。
「ハリガネムシってすごいんだぜ。カマキリの体内に寄生するんだけどさあ、寄生した後、カマキリの脳を操って、水際まで誘導して、溺れさせるんだ。そうして、水中に産卵する。つまり、ハリガネムシに寄生されたカマキリは、哀れなことに、ゾンビになっちゃうってわけ」
「何それ、キモ! だいたい、ハリガネムシって何なのよ?」
「知らないの? 線虫の一種でさ、長さはこれくらい…」
その時だった。
ぽとり。
ユースケの手から箸が落ちた。
ふらっと立ち上がる。
「どうしたの? もう食べないの?」
ざるそばはまだ半分近く残っている。
食いしん坊のユースケには珍しいことだ。
が、ユースケはうつろな目をして私を見返すばかり。
そのうちにふらふら歩き出して、学食を出て行ってしまった。
ちょ、ちょっと、急に何なのよ!」
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「ユースケ!」
駆け寄った私は、一目見た瞬間、悲鳴を上げた。
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