122 / 426
第122話 壁穴
しおりを挟む
お風呂から出て、スウェットの上下に着替え終わってから、気づいた。
いつのまにか壁に穴が開いている。
え? まじ?
顔から血の気が引くのがわかった。
いくらボロアパートとはいえ、こんな穴、きのうまでなかったはずだ。
のぞき?
若いOLのひとり暮らしってこと、隣の住人に気づかれたのだろうか。
おそるおそる覗き返してみて、私は危うく悲鳴を上げそうになった。
血走った眼球が、見えたのだ。
一気に頭に血が上り、気づいた時には、右手にボールペンを握っていた。
ほとんど本能的な動作だった。
眼球めがけて、穴にボールペンの先を突き立てた。
ーぎゃっ!
絶叫とともに、飛び散る血。
こうしてはいられない。
私は部屋を飛び出した。
アパートの前に交番があることを思い出したのだ。
110番して、警察が来るのを待つより、直接交番に駆け込むほうが早いだろう。
5分後。
私は息を切らして、交番の前に立っていた。
ガラス扉の向こうに、人影はない。
いつもは人のよさそうな若いお巡りさんがひとりいるのに、深夜の巡回にでも出ているのだろうか。
「すみませーん」
中に入って、呼んでみた。
奥で、人の気配がした。
ほっと胸をなでおろす。
よかった。
おまわりさん、いるじゃない!
「はあい、ただいま」
奥の部屋との境の扉を開けて出てきたのは、いつものあの若い警官である。
がー。
その顔を一目見るなり、私の背筋を悪寒が駆け抜けた。
彼は、右手で左の眼を押さえていた。
鮮血のしたたる、左目をー。
いつのまにか壁に穴が開いている。
え? まじ?
顔から血の気が引くのがわかった。
いくらボロアパートとはいえ、こんな穴、きのうまでなかったはずだ。
のぞき?
若いOLのひとり暮らしってこと、隣の住人に気づかれたのだろうか。
おそるおそる覗き返してみて、私は危うく悲鳴を上げそうになった。
血走った眼球が、見えたのだ。
一気に頭に血が上り、気づいた時には、右手にボールペンを握っていた。
ほとんど本能的な動作だった。
眼球めがけて、穴にボールペンの先を突き立てた。
ーぎゃっ!
絶叫とともに、飛び散る血。
こうしてはいられない。
私は部屋を飛び出した。
アパートの前に交番があることを思い出したのだ。
110番して、警察が来るのを待つより、直接交番に駆け込むほうが早いだろう。
5分後。
私は息を切らして、交番の前に立っていた。
ガラス扉の向こうに、人影はない。
いつもは人のよさそうな若いお巡りさんがひとりいるのに、深夜の巡回にでも出ているのだろうか。
「すみませーん」
中に入って、呼んでみた。
奥で、人の気配がした。
ほっと胸をなでおろす。
よかった。
おまわりさん、いるじゃない!
「はあい、ただいま」
奥の部屋との境の扉を開けて出てきたのは、いつものあの若い警官である。
がー。
その顔を一目見るなり、私の背筋を悪寒が駆け抜けた。
彼は、右手で左の眼を押さえていた。
鮮血のしたたる、左目をー。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
追っかけ
山吹
ホラー
小説を書いてみよう!という流れになって友達にどんなジャンルにしたらいいか聞いたらホラーがいいと言われたので生まれた作品です。ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください。
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる