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第120話 ボーリング
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泊まった旅館の地下に、ボーリング場があった。
「ボーリングかあ、懐かしいね。行ってみない?」
妻が言うので、ひと風呂浴びた後、のぞいてみることにした。
行ってみると、ボーロング場は、妙に薄暗く、あちこちで多くの人影がうごめいていた。
「なんだか不気味ね」
浴衣の襟元を掻き合わせる妻。
言われてみればその通りで、ピンの倒れる音もしないし、妙に静かである。
「気のせいだよ」
沸き上がる不安を押さえて妻の肩を押し、レーンに向かう。
「あのピン、ちょっと変じゃない?」
レーンの先に目を凝らし、震える声で妻が言った。
「暗くてよく見えないけど…ピンに顔が描いてあるみたい…」
「そういう模様のピンなんじゃないの? アニメのキャラとか」
笑い飛ばしてみたものの、実は僕も気づいていた。
遠近法のせいで小さく見えるけど、レーンの奥で正三角形に並んだ10本のピン。
その1本1本が、みんな両腕をもがれ、頭の毛をそられた裸の人間に見えるのだ。
恐怖が絶頂に達したのは、それでも1ゲームぐらいはと、ボールに手を伸ばした時だった。
ぐにゃり。
妙な感触に手元に目をやると、穴の中からせりあがってきたのは、首の所で切断された女性の頭部だったのだ。
「うわっ」
「きゃあっ!」
僕らの悲鳴に、ほかのレーンの客たちが一斉に振り向く気配がした。
薄闇の中で、血走った無数の眼が光っている。
その時になって、ようやく僕は思い出した。
この旅館の名前って、確か…。
その時、僕の心を読んだかのように、恐怖にわななきながら、ぽつりと妻がつぶやいた。
「…ホテル鬼ヶ島」
「ボーリングかあ、懐かしいね。行ってみない?」
妻が言うので、ひと風呂浴びた後、のぞいてみることにした。
行ってみると、ボーロング場は、妙に薄暗く、あちこちで多くの人影がうごめいていた。
「なんだか不気味ね」
浴衣の襟元を掻き合わせる妻。
言われてみればその通りで、ピンの倒れる音もしないし、妙に静かである。
「気のせいだよ」
沸き上がる不安を押さえて妻の肩を押し、レーンに向かう。
「あのピン、ちょっと変じゃない?」
レーンの先に目を凝らし、震える声で妻が言った。
「暗くてよく見えないけど…ピンに顔が描いてあるみたい…」
「そういう模様のピンなんじゃないの? アニメのキャラとか」
笑い飛ばしてみたものの、実は僕も気づいていた。
遠近法のせいで小さく見えるけど、レーンの奥で正三角形に並んだ10本のピン。
その1本1本が、みんな両腕をもがれ、頭の毛をそられた裸の人間に見えるのだ。
恐怖が絶頂に達したのは、それでも1ゲームぐらいはと、ボールに手を伸ばした時だった。
ぐにゃり。
妙な感触に手元に目をやると、穴の中からせりあがってきたのは、首の所で切断された女性の頭部だったのだ。
「うわっ」
「きゃあっ!」
僕らの悲鳴に、ほかのレーンの客たちが一斉に振り向く気配がした。
薄闇の中で、血走った無数の眼が光っている。
その時になって、ようやく僕は思い出した。
この旅館の名前って、確か…。
その時、僕の心を読んだかのように、恐怖にわななきながら、ぽつりと妻がつぶやいた。
「…ホテル鬼ヶ島」
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