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第107話 ICカード
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メールの着信音で目が覚めた。
スマホを開くと、会社からだった。
業務の内容で不明点があるから出社しろ、という。
本来、今日は休みのはずなのに、なんともブラックな命令だった。
その下に、カード会社からのメールの見出しが見えた。
『決算方法変更のお知らせ』とある。
日付は3日前だ。
しばらくメール欄を開けていなかったから、全然気づいていなかった。
どうせ大した内容じゃないだろう。
中身を読む気にもなれず、ベッドから降り、身支度をした。
二日酔いでもないのに、体がだるくて仕方がない。
ここのところ残業が続いたせいである。
頭痛もするし、胃のむかつきも半端ない。
今月の残業はすでに100時間を超えているに違いない。
だからといって休むわけにもいかず、ふらつく足で駅まで行った。
改札の前で気が遠くなりかける。
まずい。
心臓がバクバクする。
なんだか拍動のリズムがいつもに比べておかしい気がする。
行列に並ぶと、やがて自分の番が来た。
改札口のパネルにICカードをかざした瞬間、
ピーピーピー。
警報装置が鳴り出した。
「ポイントが足りません。チャージしてから、やり直してください」
AIが若い女の声で叫びたてる。
ポイント?
俺は首をひねった。
おかしい。
それなら先週、1万円ほどチャージしたばかりのはずなのにー。
が。
まともに思考できたのは、そこまでだった。
急激な胸の痛みに、俺はその場に崩れ落ちた。
遠ざかる意識の中で、AI音声だけが、聴こえている。
「ポイントが足りません。チャージしてから、やり直してください。繰り返します。あなたのライフポイントはゼロです。チャージしてから、やり直して…」
スマホを開くと、会社からだった。
業務の内容で不明点があるから出社しろ、という。
本来、今日は休みのはずなのに、なんともブラックな命令だった。
その下に、カード会社からのメールの見出しが見えた。
『決算方法変更のお知らせ』とある。
日付は3日前だ。
しばらくメール欄を開けていなかったから、全然気づいていなかった。
どうせ大した内容じゃないだろう。
中身を読む気にもなれず、ベッドから降り、身支度をした。
二日酔いでもないのに、体がだるくて仕方がない。
ここのところ残業が続いたせいである。
頭痛もするし、胃のむかつきも半端ない。
今月の残業はすでに100時間を超えているに違いない。
だからといって休むわけにもいかず、ふらつく足で駅まで行った。
改札の前で気が遠くなりかける。
まずい。
心臓がバクバクする。
なんだか拍動のリズムがいつもに比べておかしい気がする。
行列に並ぶと、やがて自分の番が来た。
改札口のパネルにICカードをかざした瞬間、
ピーピーピー。
警報装置が鳴り出した。
「ポイントが足りません。チャージしてから、やり直してください」
AIが若い女の声で叫びたてる。
ポイント?
俺は首をひねった。
おかしい。
それなら先週、1万円ほどチャージしたばかりのはずなのにー。
が。
まともに思考できたのは、そこまでだった。
急激な胸の痛みに、俺はその場に崩れ落ちた。
遠ざかる意識の中で、AI音声だけが、聴こえている。
「ポイントが足りません。チャージしてから、やり直してください。繰り返します。あなたのライフポイントはゼロです。チャージしてから、やり直して…」
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