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第94話 離島怪異譚⑥
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和室の続き部屋が私と野崎の部屋だった。
「同室でもよかったのに」
「まだ言ってる」
恨めしそうに言う野崎に軽くパンチを食らわせてやり、
「とっとと先にお風呂にでも入ってきな」
と追い出した。
少し待ってから女湯に行き、露天風呂にゆっくり浸かった。
ひなびた宿にもかかわらず、なかなかもっていい湯である。
心ゆくまで漬かって部屋に戻ると、すでに料理の支度ができていた。
料理は私の部屋で二人一緒ということらしく、ひと足先に上がっていた野崎はもうビールで顔を赤くしている。
「で、さっき、何見たんですか? 先輩、タコとか言ってましたけど」
箸で酢だこを抓み上げ、口に抛り込みながら、野崎が訊いた。
「よくわからない」
私は肩をすくめ、一気にジョッキに残ったビールを飲み干した。
潮だまりのあの光景がフラッシュバックのように、脳裏によみがえる。
少女はスカートの下に、何も穿いていなかった。
その裸の局部に触手を潜り込ませていたのは、確かに生きた蛸だった。
なのに少女は嫌がるどころか、まるでオナニーの最中のように、陶然とした表情を顔に浮かべていたのだ。
そして、車を追ってきたあの人間離れした身のこなし。
そう。
まるで都市伝説に登場する、幽霊か妖怪の類いみたいな・・・。
「同室でもよかったのに」
「まだ言ってる」
恨めしそうに言う野崎に軽くパンチを食らわせてやり、
「とっとと先にお風呂にでも入ってきな」
と追い出した。
少し待ってから女湯に行き、露天風呂にゆっくり浸かった。
ひなびた宿にもかかわらず、なかなかもっていい湯である。
心ゆくまで漬かって部屋に戻ると、すでに料理の支度ができていた。
料理は私の部屋で二人一緒ということらしく、ひと足先に上がっていた野崎はもうビールで顔を赤くしている。
「で、さっき、何見たんですか? 先輩、タコとか言ってましたけど」
箸で酢だこを抓み上げ、口に抛り込みながら、野崎が訊いた。
「よくわからない」
私は肩をすくめ、一気にジョッキに残ったビールを飲み干した。
潮だまりのあの光景がフラッシュバックのように、脳裏によみがえる。
少女はスカートの下に、何も穿いていなかった。
その裸の局部に触手を潜り込ませていたのは、確かに生きた蛸だった。
なのに少女は嫌がるどころか、まるでオナニーの最中のように、陶然とした表情を顔に浮かべていたのだ。
そして、車を追ってきたあの人間離れした身のこなし。
そう。
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