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第91話 あくび
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帰りの地下鉄は混んでいた。
僕の前に座っているのは、清楚な感じの若い女性である。
綺麗な人だったので、ついついそちらへ目が行ってしまう。
と、その彼女があくびを始めた。
始めた、とわざわざ断ったのは、それが美女らしからぬひどく大きなあくびだったからだ。
まず、徐々に口が開いていき、次にフルフェイスのヘルメットを脱ぐような感じで、ガクンと顔の上半分が後ろに倒れた。
と思ったら、その下から現れたのは、血まみれの髑髏である。
僕は唖然とした。
髑髏の眼がぎょろりと動き、僕を見た。
が、異変はそれだけでは終わらなかった。
彼女の両隣の乗客が同じようにあくびを始め、それはやがて車両全体に広がり、乗客全員が髑髏と化すのに、大して時間はかからなかった。
ヤバい。
僕は蒼ざめた。
あくびは感染するのだ。
次の駅を待つ心の余裕はなかった。
緊急停止ボタンに手を伸ばしかけた時だった。
やにわに、すさまじい眠気が襲ってきた。
そしてー。
気づくと、僕も髑髏になっていた。
僕の前に座っているのは、清楚な感じの若い女性である。
綺麗な人だったので、ついついそちらへ目が行ってしまう。
と、その彼女があくびを始めた。
始めた、とわざわざ断ったのは、それが美女らしからぬひどく大きなあくびだったからだ。
まず、徐々に口が開いていき、次にフルフェイスのヘルメットを脱ぐような感じで、ガクンと顔の上半分が後ろに倒れた。
と思ったら、その下から現れたのは、血まみれの髑髏である。
僕は唖然とした。
髑髏の眼がぎょろりと動き、僕を見た。
が、異変はそれだけでは終わらなかった。
彼女の両隣の乗客が同じようにあくびを始め、それはやがて車両全体に広がり、乗客全員が髑髏と化すのに、大して時間はかからなかった。
ヤバい。
僕は蒼ざめた。
あくびは感染するのだ。
次の駅を待つ心の余裕はなかった。
緊急停止ボタンに手を伸ばしかけた時だった。
やにわに、すさまじい眠気が襲ってきた。
そしてー。
気づくと、僕も髑髏になっていた。
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