72 / 462
第72話 父の遺言
しおりを挟む
父が死んだ。
「これがお父様があなたに遺されたものです」
沈痛な表情で、弁護士が蒲団をめくった。
現れたのは、裸の女、もとい、人形である。
「なんだこれは。ダッチワイフじゃないか」
俺はむっとした。
こんなもの、誰が欲しがるというのだ?
「ダッチワイフというのは死語ですね。今はラブドールというのです」
真面目な顔して弁護士が言う。
「そんなのどっちでもいい。要らないよ、そんなもん」
俺が怒鳴った時である。
悲し気にかぶりを振って、弁護士が続けた。
「そうはいきません。遺言では、この人形を末代まで大切にせよと。なぜなら・・・」
ふいに嫌な予感がした。
ヤメロ。それ以上言うな。聞きたくない。
が、そうはいかなかった。
弁護士の最後のひと言が、俺を絶望の淵に突き落とした。
酷薄な笑みを口元に浮かべると、やつは言ったのだ。
「この人形こそが、あなたのお母さまだからです」
「これがお父様があなたに遺されたものです」
沈痛な表情で、弁護士が蒲団をめくった。
現れたのは、裸の女、もとい、人形である。
「なんだこれは。ダッチワイフじゃないか」
俺はむっとした。
こんなもの、誰が欲しがるというのだ?
「ダッチワイフというのは死語ですね。今はラブドールというのです」
真面目な顔して弁護士が言う。
「そんなのどっちでもいい。要らないよ、そんなもん」
俺が怒鳴った時である。
悲し気にかぶりを振って、弁護士が続けた。
「そうはいきません。遺言では、この人形を末代まで大切にせよと。なぜなら・・・」
ふいに嫌な予感がした。
ヤメロ。それ以上言うな。聞きたくない。
が、そうはいかなかった。
弁護士の最後のひと言が、俺を絶望の淵に突き落とした。
酷薄な笑みを口元に浮かべると、やつは言ったのだ。
「この人形こそが、あなたのお母さまだからです」
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説

本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio



会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる