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第27話 ヴァーチャル・ガール
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外は台風でめちゃくちゃになってるけど、僕の心は天国だった。
パソコンの画面越しに、あこがれのヴァーチャル・ガール、いずなちゃんが、こう言ってくれたのだ。
「健太くん、あたし、決めました! あなたの恋人になります!」
いずなちゃんが身に着けているのは、いつもの水色のビキニ。
画面越しにぐっと顔を寄せてきたはずみに、意外に豊かな胸の谷間が見えた。
マシュマロみたいなおっぱいが今にもこぼれ落ちそうだ。
「ま、マジで?」
突然の恋人宣言に、僕は目を白黒させた。
びっくり仰天とはこのことだ。
いずなちゃんは、ネット動画で大人気の、今をときめくヴァーチャル・アイドルなのだ。
そのいずなちゃんが、なんで僕なんかに。
僕、山田健太はニートの37歳。
中1の時、あこがれのマヤちゃんに、
「うざい、デブ、死ね。二度とあたしの前に顔見せるな」
そう怒鳴られて以来、ずっと家にひきこもってニート生活を謳歌している。
はっきり言って、3次元のリアルな女子は怖い。怖すぎる。
僕にとっては、もう天敵といってもいい。
しょせんひきこもりの僕には、2次元が性に合っているのだ。
「だって、健太君は、あたしの一番の理解者ですもの。デビューの時からずっと応援しててくれたでしょ?」
いずなちゃんはどうやら真剣らしい。
そうだ。
自慢じゃないけど、ファン第1号はこの僕だった。
「じゃあ、今からそっちに行きますからね! お夕食つくってあげます。こう見えて、いずな、お料理、得意なんですよ!」
ウインクしたかと思うと、おお、なんてことだ。
パソコンの画面から、本当にいずなちゃんの上半身が現れたではないか。
が、その瞬間だった。
外がまばゆいばかりに光り、爆音が大地を揺るがせた。
同時に家中の電気が消え、世界が闇に包まれた。
落雷だ。
これは近い。すぐ近くの電柱にでも落ちたに違いない。
「やあねえ。ヒューズ飛んじゃったわ。ちょっと待っててね」
部屋の外で母の声がした。
「えーっと、確かこのへんに…。あ、あったあった。これをこうして、ほら!」
瞬きするように蛍光灯が光り、明かりがついた。
ブーンという音がして、パソコンが息を吹き返す。
が、視界に飛び込んできた異様な光景に、僕は固まってしまった。
画面から上半身を突き出し、いずなちゃんが死んでいる。
仰向けになった顔は苦しげに歪み、半ば開いた口から舌が飛び出していた。
白目を剥いた眼球が、恨めしげに僕をにらんでいる。
「いずなちゃん…」
あまりのショックに尿を漏らしながら、僕は声もなく泣き始めた。
パソコンの画面越しに、あこがれのヴァーチャル・ガール、いずなちゃんが、こう言ってくれたのだ。
「健太くん、あたし、決めました! あなたの恋人になります!」
いずなちゃんが身に着けているのは、いつもの水色のビキニ。
画面越しにぐっと顔を寄せてきたはずみに、意外に豊かな胸の谷間が見えた。
マシュマロみたいなおっぱいが今にもこぼれ落ちそうだ。
「ま、マジで?」
突然の恋人宣言に、僕は目を白黒させた。
びっくり仰天とはこのことだ。
いずなちゃんは、ネット動画で大人気の、今をときめくヴァーチャル・アイドルなのだ。
そのいずなちゃんが、なんで僕なんかに。
僕、山田健太はニートの37歳。
中1の時、あこがれのマヤちゃんに、
「うざい、デブ、死ね。二度とあたしの前に顔見せるな」
そう怒鳴られて以来、ずっと家にひきこもってニート生活を謳歌している。
はっきり言って、3次元のリアルな女子は怖い。怖すぎる。
僕にとっては、もう天敵といってもいい。
しょせんひきこもりの僕には、2次元が性に合っているのだ。
「だって、健太君は、あたしの一番の理解者ですもの。デビューの時からずっと応援しててくれたでしょ?」
いずなちゃんはどうやら真剣らしい。
そうだ。
自慢じゃないけど、ファン第1号はこの僕だった。
「じゃあ、今からそっちに行きますからね! お夕食つくってあげます。こう見えて、いずな、お料理、得意なんですよ!」
ウインクしたかと思うと、おお、なんてことだ。
パソコンの画面から、本当にいずなちゃんの上半身が現れたではないか。
が、その瞬間だった。
外がまばゆいばかりに光り、爆音が大地を揺るがせた。
同時に家中の電気が消え、世界が闇に包まれた。
落雷だ。
これは近い。すぐ近くの電柱にでも落ちたに違いない。
「やあねえ。ヒューズ飛んじゃったわ。ちょっと待っててね」
部屋の外で母の声がした。
「えーっと、確かこのへんに…。あ、あったあった。これをこうして、ほら!」
瞬きするように蛍光灯が光り、明かりがついた。
ブーンという音がして、パソコンが息を吹き返す。
が、視界に飛び込んできた異様な光景に、僕は固まってしまった。
画面から上半身を突き出し、いずなちゃんが死んでいる。
仰向けになった顔は苦しげに歪み、半ば開いた口から舌が飛び出していた。
白目を剥いた眼球が、恨めしげに僕をにらんでいる。
「いずなちゃん…」
あまりのショックに尿を漏らしながら、僕は声もなく泣き始めた。
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