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第9話 内線電話
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電話が鳴った。
僕はびくりとして顔を上げた。
パソコンのモニター画面の横で、電話機の受信ボタンが光っている。
内線だ。
ばかな。
僕は腰を浮かせてがらんとしたオフィスを見回した。
誰もいない。
それもそのはずだった。
さっき、最後のひとり、僕の直属の上司が帰ったところなのだ。
ほかのフロアからだろうか。
が、その可能性もない。
1時間ほど前、トイレに立った。
その時確かめたのだが、僕のいる3階を残して、ほかのフロアはすべてセキュリティがオンになっていたのだ。
つまりは、僕が最終退館者になるはずなのである。
おそるおそる、受話器を取った。
耳に当てると、切れていた。
なんだ、機械のバグじゃないか。
ほっと胸をなでおろし、受話器を置いたとたん、また鳴り出した。
くそ、なんなんだ。
僕は机の脚を蹴りつけた。
これじゃ、仕事にならないじゃないか。
ただでさえ計算が合わなくて、イラついてるっていうのに。
「誰だ? いたずらするのは?」
立ち上がって、叫んだ。
もちろん、答える者は、誰もいない。
どこからかけてる?
鳴り続ける電話を放置して、フロアじゅうのデスクの電話を見て回った。
異常なし。
なのに、戻ってくると、まだ内線は鳴っていた。
受話器を耳に当てた。
切れていた。
「バカにしやがって!」
頭にきて、受話器を電話機本体にたたきつけた時である。
ふいに、冷たいものが僕の手の甲を覆った。
白い、女の手。
背後から伸びている。
「だ、誰?」
声がひきつった。
「当ててごらん」
僕の耳元に冷たい息を吐きかけて、女が言った。
女の吐息には、かすかな腐臭が混じっていた。
僕はびくりとして顔を上げた。
パソコンのモニター画面の横で、電話機の受信ボタンが光っている。
内線だ。
ばかな。
僕は腰を浮かせてがらんとしたオフィスを見回した。
誰もいない。
それもそのはずだった。
さっき、最後のひとり、僕の直属の上司が帰ったところなのだ。
ほかのフロアからだろうか。
が、その可能性もない。
1時間ほど前、トイレに立った。
その時確かめたのだが、僕のいる3階を残して、ほかのフロアはすべてセキュリティがオンになっていたのだ。
つまりは、僕が最終退館者になるはずなのである。
おそるおそる、受話器を取った。
耳に当てると、切れていた。
なんだ、機械のバグじゃないか。
ほっと胸をなでおろし、受話器を置いたとたん、また鳴り出した。
くそ、なんなんだ。
僕は机の脚を蹴りつけた。
これじゃ、仕事にならないじゃないか。
ただでさえ計算が合わなくて、イラついてるっていうのに。
「誰だ? いたずらするのは?」
立ち上がって、叫んだ。
もちろん、答える者は、誰もいない。
どこからかけてる?
鳴り続ける電話を放置して、フロアじゅうのデスクの電話を見て回った。
異常なし。
なのに、戻ってくると、まだ内線は鳴っていた。
受話器を耳に当てた。
切れていた。
「バカにしやがって!」
頭にきて、受話器を電話機本体にたたきつけた時である。
ふいに、冷たいものが僕の手の甲を覆った。
白い、女の手。
背後から伸びている。
「だ、誰?」
声がひきつった。
「当ててごらん」
僕の耳元に冷たい息を吐きかけて、女が言った。
女の吐息には、かすかな腐臭が混じっていた。
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