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第4話 人間原理
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「人間原理宇宙論って、知ってるか?」
にたりと笑って、ヒロシが言った。
学食の片隅のテーブル。
ヒロシの横では、カノジョの有希が退屈そうに頬杖をついている。
「万物は、観測する人間がいるからこそ存在するって考え方だよ。つまり、俺がよそを向いている間は、トモユキ、おまえは存在しないってことになる」
「なんでそうなるんだよ」
僕は少なからずむっとした。
ヒロシは暇があると僕にからんでくる。
美人の彼女を見せつけたいのか、そんな時はたいてい有希も一緒である。
「なぜなら、俺こそが観測者、この宇宙の中心だからだ。その気になれば、おまえを消すことだってできるんだぜ」
「ばかばかしい、なら、やってみろよ」
呆れて言い返すと、ヒロシのにやにや笑いが大きくなった。
「言ったな。後悔してもしらないぞ」
そして、大げさに指をパチンと鳴らした。
が。
消えたのは、僕ではなく、ヒロシのほうだった。
「え?」
ぽかんと口を開ける僕に、それまで黙っていた有希が、投げやりな口調で言った。
「馬鹿かつーの。観測者は、このあたしだよ」
にたりと笑って、ヒロシが言った。
学食の片隅のテーブル。
ヒロシの横では、カノジョの有希が退屈そうに頬杖をついている。
「万物は、観測する人間がいるからこそ存在するって考え方だよ。つまり、俺がよそを向いている間は、トモユキ、おまえは存在しないってことになる」
「なんでそうなるんだよ」
僕は少なからずむっとした。
ヒロシは暇があると僕にからんでくる。
美人の彼女を見せつけたいのか、そんな時はたいてい有希も一緒である。
「なぜなら、俺こそが観測者、この宇宙の中心だからだ。その気になれば、おまえを消すことだってできるんだぜ」
「ばかばかしい、なら、やってみろよ」
呆れて言い返すと、ヒロシのにやにや笑いが大きくなった。
「言ったな。後悔してもしらないぞ」
そして、大げさに指をパチンと鳴らした。
が。
消えたのは、僕ではなく、ヒロシのほうだった。
「え?」
ぽかんと口を開ける僕に、それまで黙っていた有希が、投げやりな口調で言った。
「馬鹿かつーの。観測者は、このあたしだよ」
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