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#39 いじめられっ子、世にはばかる④
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「どうする?」
美化委員たちが動揺から立ち直り、相談を始めている。
「メル、可哀相だけど、これじゃ、殺処分決定だよね」
「うん、俺もこんな醜い人間、生まれて初めて見た」
「あたしだったら、きっと死んじゃうと思う。こんな気持ち悪い体と顔にされたらさ」
その言葉に、メルの巨体がぶるぶる震え始めた。
「ちょっとあんたたち!」
ヒグマのように二本脚で立ち上がると、短い両腕を降り上げて吠えた。
「何勝手なこといってんのよ! 外見は変わっても、私の中身はメルのままなのよ! 殺処分ですって! そんなひどいことが許されると思ってるの?」
「だって、外見がすべてを決めるって言ったの、メルじゃないか」
人垣の中から誰かが言った。
「そうよね。中身なんて関係ない。人間は、第一印象ですべて決まるんだからって…それがメルの持論だったよね」
別の女生徒がうなずいた。
「だね。今こそこの国に優性思想を復活させるのだ、とかなんとか息巻いてたよね」
美化委員たちはすでに全員メルを糾弾する立場に回っているようだ。
玉は呆れ、うんざりした。
人間って、こうも変われるものなのだろうか。
この中に、メルのことを心の底から案じる真の友達はいないのだろうか。
これなら、ひょっとして私のほうが救われているのかもしれない。
ちらりと隣の涼のゴリラ顔を盗み見て、そう思う。
少なくとも、この涼君は、変わる前の私も、変わった後の私も、両方とも受け止めてくれたのだ。
しかも、元のブスな私のほうがいい、とまで言ってくれた。
その涼はといえば、事の成り行きに度肝を抜かれ、ほぼ呆然自失の体である。
玉はそんな涼が愛おしくなった。
確かに彼には何のとりえもなさそうだし、外見は人間より限りなく猿に近いけれど、でもその心は…。
玉が涼の横顔に見とれ、そんなことを思っている時だった。
「人間は外見じゃない!」
だしぬけにメルが叫んだ。
「人間の真価は中身にあるのよ! あなたたちには、どうしてそれがわからないの! 外見なんて、外見なんて、どうでもいいんだからあっ!」
美化委員たちが動揺から立ち直り、相談を始めている。
「メル、可哀相だけど、これじゃ、殺処分決定だよね」
「うん、俺もこんな醜い人間、生まれて初めて見た」
「あたしだったら、きっと死んじゃうと思う。こんな気持ち悪い体と顔にされたらさ」
その言葉に、メルの巨体がぶるぶる震え始めた。
「ちょっとあんたたち!」
ヒグマのように二本脚で立ち上がると、短い両腕を降り上げて吠えた。
「何勝手なこといってんのよ! 外見は変わっても、私の中身はメルのままなのよ! 殺処分ですって! そんなひどいことが許されると思ってるの?」
「だって、外見がすべてを決めるって言ったの、メルじゃないか」
人垣の中から誰かが言った。
「そうよね。中身なんて関係ない。人間は、第一印象ですべて決まるんだからって…それがメルの持論だったよね」
別の女生徒がうなずいた。
「だね。今こそこの国に優性思想を復活させるのだ、とかなんとか息巻いてたよね」
美化委員たちはすでに全員メルを糾弾する立場に回っているようだ。
玉は呆れ、うんざりした。
人間って、こうも変われるものなのだろうか。
この中に、メルのことを心の底から案じる真の友達はいないのだろうか。
これなら、ひょっとして私のほうが救われているのかもしれない。
ちらりと隣の涼のゴリラ顔を盗み見て、そう思う。
少なくとも、この涼君は、変わる前の私も、変わった後の私も、両方とも受け止めてくれたのだ。
しかも、元のブスな私のほうがいい、とまで言ってくれた。
その涼はといえば、事の成り行きに度肝を抜かれ、ほぼ呆然自失の体である。
玉はそんな涼が愛おしくなった。
確かに彼には何のとりえもなさそうだし、外見は人間より限りなく猿に近いけれど、でもその心は…。
玉が涼の横顔に見とれ、そんなことを思っている時だった。
「人間は外見じゃない!」
だしぬけにメルが叫んだ。
「人間の真価は中身にあるのよ! あなたたちには、どうしてそれがわからないの! 外見なんて、外見なんて、どうでもいいんだからあっ!」
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