20 / 40
#20 美醜審問会④
しおりを挟む
ただでさえ、毎日いじめられて、灰色の日々を送っている玉である。
本当に、これ以上、どうしろというのだろうか…?
ぼんやり佇んでいると、やがて囚人が集まってくるように、四方八方から生徒たちがやってきた。
誰もが背を丸め、屠場に向かう家畜のように打ちひしがれている。
「玉、あんたのせいだからね!」
いきなりぽかぽか後頭部をなぐられた。
振り向くと、泣きべそをかいた木下さわが立っていた。
さわは、小太りの少女である。
顔面偏差値は玉より多少ましかもしれないが、ここに呼ばれた理由は明らかだった。
3頭身なのだ。
その意味では、総合偏差値は玉とあまり変わらない。
「そうだ。おまえが同じクラスにいるから、俺たちも同類に見られちまったんだ」
その後ろから怒鳴って寄こしたのは、同じくクラスメートの尾崎雄太。
この少年の特徴は、鼻の穴だ。
まるでロバのそれのように、穴が正面を向いているのである。
剛毛が林のように密生した巨大な鼻の穴がふたつ、ブラックホールよろしくこちらを見つめてくるのだ。
近くで見ると、吸い込まれそうで怖くなるほどだった。
玉は無言でふたりを見た。
己を知らぬということは、ある意味幸せなのだろう。
その点玉は不幸だった。
客観的に見て、自分がブスだということは、物心ついた頃から知っている。
3人、三すくみのようににらみ合っていると、マイクの入る音がして、校内放送が流れてきた。
「これより、美醜審問会を始めます。関係のない生徒は、至急、下校してください。繰り返します…」
本当に、これ以上、どうしろというのだろうか…?
ぼんやり佇んでいると、やがて囚人が集まってくるように、四方八方から生徒たちがやってきた。
誰もが背を丸め、屠場に向かう家畜のように打ちひしがれている。
「玉、あんたのせいだからね!」
いきなりぽかぽか後頭部をなぐられた。
振り向くと、泣きべそをかいた木下さわが立っていた。
さわは、小太りの少女である。
顔面偏差値は玉より多少ましかもしれないが、ここに呼ばれた理由は明らかだった。
3頭身なのだ。
その意味では、総合偏差値は玉とあまり変わらない。
「そうだ。おまえが同じクラスにいるから、俺たちも同類に見られちまったんだ」
その後ろから怒鳴って寄こしたのは、同じくクラスメートの尾崎雄太。
この少年の特徴は、鼻の穴だ。
まるでロバのそれのように、穴が正面を向いているのである。
剛毛が林のように密生した巨大な鼻の穴がふたつ、ブラックホールよろしくこちらを見つめてくるのだ。
近くで見ると、吸い込まれそうで怖くなるほどだった。
玉は無言でふたりを見た。
己を知らぬということは、ある意味幸せなのだろう。
その点玉は不幸だった。
客観的に見て、自分がブスだということは、物心ついた頃から知っている。
3人、三すくみのようににらみ合っていると、マイクの入る音がして、校内放送が流れてきた。
「これより、美醜審問会を始めます。関係のない生徒は、至急、下校してください。繰り返します…」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
5A霊話
ポケっこ
ホラー
藤花小学校に七不思議が存在するという噂を聞いた5年生。その七不思議の探索に5年生が挑戦する。
初めは順調に探索を進めていったが、途中謎の少女と出会い……
少しギャグも含む、オリジナルのホラー小説。
都市伝説 短編集
春秋花壇
ホラー
都市伝説
深夜零時の路地裏で
誰かの影が囁いた
「聞こえるか、この街の秘密
夜にだけ開く扉の話を」
ネオンの海に沈む言葉
見えない手が地図を描く
その先にある、無名の場所
地平線から漏れる青い光
ガードレールに佇む少女
彼女の笑顔は過去の夢
「帰れないよ」と唇が動き
風が答えをさらっていく
都市伝説、それは鏡
真実と嘘の境界線
求める者には近づき
信じる者を遠ざける
ある者は言う、地下鉄の果て
終点に続く、無限の闇
ある者は聞く、廃墟の教会
鐘が鳴れば帰れぬ運命
けれども誰も確かめない
恐怖と興奮が交わる場所
都市が隠す、その深奥
謎こそが人を動かす鍵
そして今宵もまた一人
都市の声に耳を澄ませ
伝説を追い、影を探す
明日という希望を忘れながら
都市は眠らない、決して
その心臓が鼓動を刻む
伝説は生き続ける
新たな話者を待ちながら
無能な陰陽師
もちっぱち
ホラー
警視庁の詛呪対策本部に所属する無能な陰陽師と呼ばれる土御門迅はある仕事を任せられていた。
スマホ名前登録『鬼』の上司とともに
次々と起こる事件を解決していく物語
※とてもグロテスク表現入れております
お食事中や苦手な方はご遠慮ください
こちらの作品は、
実在する名前と人物とは
一切関係ありません
すべてフィクションとなっております。
※R指定※
表紙イラスト:名無死 様
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
人形の輪舞曲(ロンド)
美汐
ホラー
オカルト研究同好会の誠二は、ドSだけど美人の幼なじみーーミナミとともに動く人形の噂を調査することになった。
その調査の最中、ある中学生の女の子の異常な様子に遭遇することに。そして真相を探っていくうちに、出会った美少女。彼女と人形はなにか関係があるのか。
やがて誠二にも人形の魔の手が迫り来る――。
※第1回ホラー・ミステリー小説大賞読者賞受賞作品
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
二人称・短編ホラー小説集 『あなた』
シルヴァ・レイシオン
ホラー
普通の小説に読み飽きたそこの『あなた』
そんな『あなた』にオススメします、二人称と言う「没入感」+ホラーの旋律にて、是非、戦慄してみて下さい・・・・・・
※このシリーズ、短編ホラー・二人称小説『あなた』は、色んな"視点"のホラーを書きます。
様々な「死」「痛み」「苦しみ」「悲しみ」「因果」などを描きますので本当に苦手な方、なんらかのトラウマ、偏見などがある人はご遠慮下さい。
小説としては珍しい「二人称」視点をベースにしていきますので、例えば洗脳されやすいような方もご観覧注意、願います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる