リバース醜少女戦士 玉 

戸影絵麻

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#12 魔女狩り⑤

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「うんち、うんち、うんち」
 手を叩きながら、亜美が迫ってくる。
 亜美はキャバ嬢を思わせる肉食系女子である。
 追い詰められたら、草食系どころかもやし系にしかならない玉には逃れるすべはない。
 亜美は普段から、玉いじめの急先鋒だ。
 よりによって、最悪の相手に絡まれてしまうとは…。
「ち、違うよ」
 じりじり詰め寄られ、壁際に追い込まれる玉。
 もうこれ以上、後ろには下がれない。
「おい、おったまなんか、放っておこうぜ。それより早く倉庫であれを」
 呆れたように桃山が言う。
 顔つきはごついが、この大男の方が、亜美よりまだ頭の中身はまともらしい。
 しかし、いったい、このわずかな放課を使って亜美と何をするつもりなのだろう。
「やだよ、玉いじめるほうが面白いもん」
 亜美はすっかり玉に夢中になっている。
 魔女みたいに両手の指を鉤型に曲げ、ねずみをいたぶる猫のようにとびかかってきた。
「ほら、脱ぎな。お姉さんが見てやるから」
「や、やめて」
 身体を縮めて懇願する玉。
 が、亜美が素直に願いを受け入れてくれるわけがない。
 たちまちのうちに体を反転させられ、顔を壁に押しつけられた。
 ブルマに包まれた玉の尻は、今や無防備に亜美の前にさらされている。
「な、なにこれ?」
 そのブルマをずり下げるなり、亜美がびっくりしたような声を上げた。
 が、すぐにそれは爆発するような高笑いに変わった。
「やだ、こいつ、お尻にしっぽが生えてる!」
 玉はとっさに尻を隠そうともがいた。
 だが、亜美のほうがずっと力が強かった。
 どんっと玉を床につき転がすと、両手でしっぽの端を握ったまま、勝ち誇ったように叫んだ。
「ちょっと、桃君、見なよ! ほら、これ、本物のしっぽだよ!」
「馬鹿言うな。いくらおったまがブスでも、しっぽまではさすがに…おわ」
 近づいてきた桃山が、亜美の手の中のしっぽを見るなり、仰天して固まった。
 と、何を思ったか、亜美が突然しっぽを手元に手繰り寄せ始めた。
「ふふ、試しに引っ張っちゃおうか。ああー、すごー! どんどん伸びるよ! どうなってるの? これ?」
 玉は四つん這いになり、裸の尻を高く上げていた。
 その、まだ熟れる前の白桃みたいな尻の割れ目から、するすると腸が引き出されていく。
「いやあっ! 誰か、助けて!」
 声を限りに叫んだ時である。
 玉は奇妙な違和感を覚えて、慄然となった。
 ”しっぽ”が引かれるに従い、首が肩にめり込んでいく。
 な、な、なに?
 そして。
 次の瞬間、ついにそれが起こったのだ。





 


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