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第10部 姦禁のリリス
#101 女王と魔少女①
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「杏里の言う通りだよ。僕らがここにいても、足手まといになるだけだ。外に出れば、富樫博士と塔子さんが車で待ってる。ここまできたら、もう、敵も味方もないだろう? みんなで車まで逃げるんだ」
重人の言葉に、小田切がうなずいた。
「そうだな。いずなと、それからそこのばあさんと兄さんも、一緒に来い」
「兄さんって、俺のことか?」
百足丸が目を丸くする。
「マジで言ってんのか? 俺は、おまえらから見れば、れっきとした外来種だぞ」
「まあ、この際、そんなことはどうでもいいのさ」
間に割って入ったのは、りつだった。
「あんただって、杏里ちゃんを助けるために、あの女王様に歯向かったんだ。あんたが極悪人じゃないってことは、このあたしが保証してあげるから」
「詳しい事情は後で聞かせてもらう。それより、急げ。嫌な予感がする」
放心状態の冬美を抱きかかえるようにして、小田切が後じさる。
眼鏡越しに見つめる先は、少女を貪り食う零の姿だ。
零は少女の右腕を引きちぎり、骨付き肉を貪るように齧っている。
乳房をむしり取られた少女の胸には無残な穴が開き、あばら骨と蠢動する内臓が見えている。
が、異様なのは、少女が薄笑いを口元に浮かべて蹂躙の限りを尽くす零を眺めていることだった。
全身バラバラにされようとしているのに、気を失うどころか、自分の置かれた境遇を面白がっているようにすら見える。
骨だけになった少女の右腕を投げ捨てると、間髪を入れず、零は少女の腹腔を引き裂きにかかった。
鳩尾のあたりに爪を食い込ませ、ナイフでバターを切るように、性器まで一直線に切れ込みを入れていく。
深い傷口からあふれ出す鮮血で、少女の下半身が見る間に真っ赤に染まっていった。
零がその傷口に両手をかけ、無造作に左右に開いたその時だった。
「そろそろ、いいかしら?」
からかうような口調で、少女が言った。
「もう、いい加減、気が済んだでしょ?」
その言葉が終わるか終わらないうちだった。
だしぬけに、引き裂かれた少女の腹腔から、黒光りするおびただしい触手があふれ出た。
巨大化した糸ミミズの塊のようなそれが、瞬く間に零を頭から呑み尽くす。
「きさま! 何をする!」
零がわめいた。
触手同士が融合して等身大の袋状の肉の膜となり、それが零の全身を包み込んでいる。
膜の中で零が暴れるが、よほど強靭なのか、タールを塗りたくったように黒い膜は破れる気配もない。
杏里はぞっとなった。
初めて見る現象だった。
あの少女、零を体内に取り込もうとしているのだ。
真の脅威は、零ではない。
杏里に瓜ふたつの、得体の知らないあの少女のほうなのだー。
このままだと、次は、間違いなく・・・。
「由羅、それにルナも、ねえ、起きてよ!」
杏里は床に仰向けになった由羅と、その傍らにうずくまるルナに呼びかけた。
「まだ回復には程遠いのはわかってる。でも、もう限界! この調子だと、私たち、3人ともあいつに・・・」
重人の言葉に、小田切がうなずいた。
「そうだな。いずなと、それからそこのばあさんと兄さんも、一緒に来い」
「兄さんって、俺のことか?」
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「マジで言ってんのか? 俺は、おまえらから見れば、れっきとした外来種だぞ」
「まあ、この際、そんなことはどうでもいいのさ」
間に割って入ったのは、りつだった。
「あんただって、杏里ちゃんを助けるために、あの女王様に歯向かったんだ。あんたが極悪人じゃないってことは、このあたしが保証してあげるから」
「詳しい事情は後で聞かせてもらう。それより、急げ。嫌な予感がする」
放心状態の冬美を抱きかかえるようにして、小田切が後じさる。
眼鏡越しに見つめる先は、少女を貪り食う零の姿だ。
零は少女の右腕を引きちぎり、骨付き肉を貪るように齧っている。
乳房をむしり取られた少女の胸には無残な穴が開き、あばら骨と蠢動する内臓が見えている。
が、異様なのは、少女が薄笑いを口元に浮かべて蹂躙の限りを尽くす零を眺めていることだった。
全身バラバラにされようとしているのに、気を失うどころか、自分の置かれた境遇を面白がっているようにすら見える。
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深い傷口からあふれ出す鮮血で、少女の下半身が見る間に真っ赤に染まっていった。
零がその傷口に両手をかけ、無造作に左右に開いたその時だった。
「そろそろ、いいかしら?」
からかうような口調で、少女が言った。
「もう、いい加減、気が済んだでしょ?」
その言葉が終わるか終わらないうちだった。
だしぬけに、引き裂かれた少女の腹腔から、黒光りするおびただしい触手があふれ出た。
巨大化した糸ミミズの塊のようなそれが、瞬く間に零を頭から呑み尽くす。
「きさま! 何をする!」
零がわめいた。
触手同士が融合して等身大の袋状の肉の膜となり、それが零の全身を包み込んでいる。
膜の中で零が暴れるが、よほど強靭なのか、タールを塗りたくったように黒い膜は破れる気配もない。
杏里はぞっとなった。
初めて見る現象だった。
あの少女、零を体内に取り込もうとしているのだ。
真の脅威は、零ではない。
杏里に瓜ふたつの、得体の知らないあの少女のほうなのだー。
このままだと、次は、間違いなく・・・。
「由羅、それにルナも、ねえ、起きてよ!」
杏里は床に仰向けになった由羅と、その傍らにうずくまるルナに呼びかけた。
「まだ回復には程遠いのはわかってる。でも、もう限界! この調子だと、私たち、3人ともあいつに・・・」
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